■事業概要
和田興産<8931>は事業セグメントを分譲マンション販売、戸建て住宅販売、その他不動産販売、不動産賃貸収入の4つに分けて開示している。2026年2月期の実績では、分譲マンション販売が売上高の81.1%、売上総利益の75.3%を占める主力事業となっており、不動産賃貸収入が売上高の7.8%、売上総利益の13.3%、その他不動産販売が売上高の6.4%、売上総利益の7.1%、戸建て住宅販売が売上高の4.2%、売上総利益の2.6%と続く。不動産賃貸収入は他の事業と比べて利益率が高く、同社にとって安定収益源となっている。
1. 分譲マンション販売
同社売上高の約8割を占める主力事業である。1991年から「ワコーレ」のブランド名で、日本有数の住宅地である神戸市・明石市・阪神間を中心に展開し、大阪府や姫路市・加古川市などにも進出している。30~60戸/棟の中小型の分譲マンションを中心に年間20棟前後のペースで開発を続けており、年間1~2棟は100戸/棟超の大型マンションの開発にも取り組んでいる。
「プレミアムユニーク」をプロダクトコンセプトに掲げ、安心・安全を基本とした街並みに調和する「街のシンボル」となるマンション開発を進めている。機能性や快適性を重視し、最新の住宅設備を取り入れるなど、企画力を追求するとともに、資産性及び安全性にも考慮し、購入者の資産価値を見据えた品質重視の住まいを提供している。
販売については、営業エリア各地にマンションギャラリーを常設し(16ヶ所)、各地域で販売力のある住宅販売会社がギャラリー内で販売活動を行うことで、コストの低減を図っている。同社は設計から建築・販売・管理を協力会社に委託しており、「選ばれるマンションづくり」をキーワードに、企画及びデザインなどの商品力で顧客に訴求する戦略をとっている。
1991年3月の事業開始から「ワコーレ」の累積供給実績は588棟23,095戸(着工ベース、2026年2月末時点)となっており、同社資料によると、2025年には近畿圏のマンション供給棟数で第3位(前年は第2位)、神戸市内供給棟数で28年連続第1位となっている。仕入から竣工・引渡まで、50~100戸の物件では平均2~2.5年であるが、着工して1~2ヶ月で発売し竣工前販売を進めることで、価格変動リスクを回避している。安定した市場環境が続いていることに加えて、幅広い層のニーズを取り込むため、多様な間取りを企画しており、早期の契約につなげている。
2. 戸建て住宅販売
中小規模の宅地造成開発を行い、戸建て住宅を販売する事業である。2009年より新たなブランド名「ワコーレノイエ」で、主に神戸・阪神間を中心に北摂地域を含め展開している。分譲マンション販売で培った用地仕入のネットワークを活用し、5戸程度の街並みとの調和を基本とした企画力やデザイン性によって付加価値をつけ、他社との差別化を図っている。戸建て住宅は仕入から竣工・引渡まで6ヶ月~1年程度が平均的であり、分譲マンション販売事業と比べて事業期間が短い。
3. その他不動産販売
主に小型収益マンションの企画開発及び販売を行う事業である。ブランド名は、RC(鉄筋コンクリート)・鉄骨収益マンションでは「ワコーレヴィータ」、木造収益アパートでは「ワコーレヴィアーノ」で展開している。また、開発用地の有効活用を推進する過程において、その不動産の価値増大が見込める場合には、マンションや戸建て用として仕入れた土地の素地売却も行っている。鉄骨収益マンション及び木造収益アパートでは、仕入から竣工まで約1年、竣工後2~3年ほど保有し、賃貸収入を得た後に売却するケースが一般的で、売却物件数によっては不動産賃貸収入の変動要因となる。また、近年では高齢者施設の需要の高まりをうけ、開発・販売する事業も活発化している。
4. 不動産賃貸収入
創業時から続く安定収益事業であり、レジデンスを中心に店舗・事務所、駐車場、トランクルームなどを運営している。神戸市及び阪神エリアを中心に、主に駅より半径1km以内の交通利便性を重視した物件を保有し、賃貸収入を得ている。設備・機能性を重視しており、ペット特化型マンションや、デザイナーズ・マンションなど独自性のあるマンションを提供している。新築物件を自社開発しているほか、新築に比べて建築コストの抑制と工期短縮が見込めるバリューアップ方式(既存賃貸物件を購入し、改修工事により資産価値増大を図ること)の賃貸マンション開発も行っている。
住居・店舗等の入居率は98%程度の高水準を維持しており、2026年2月期の賃貸収入の構成比は、レジデンス74.7%、店舗・事務所等21.2%、駐車場2.7%、トランクルーム他1.4%である。また、賃貸等不動産の時価評価額は2026年2月末時点で34,256百万円となっており、簿価に対して6,916百万円の含み益を有している。
5. その他
「その他」には、同社の事業に関連して付随的に発生する収入(解約手数料収入、保険代理店手数料収入、仲介手数料など)のほか、2026年2月期より新規事業として開始した系統用蓄電所の売電収入が含まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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