LiNKX株式会社(584A)のグロース上場を記念した記者会見が行われ、代表取締役社長CEOのオサムニア・モハメッド氏と執行役員COOデジタル部長の中尾公一氏、執行役員CFOコーポレート部長の小林正典氏が登壇しました。
企業情報
設立:2020年7月
事業内容:金融分野を中心とした基幹システム等のモダナイゼーション事業
登壇者名
LiNKX株式会社 代表取締役社長 CEO オサムニア・モハメッド 氏
LiNKX株式会社 執行役員COO デジタル部長 中尾公一 氏
LiNKX株式会社 執行役員CFO コーポレート部長 小林正典 氏
日本のミッション・クリティカル・システムが直面している課題
オサムニア・モハメッド氏(以下、オサムニア):LiNKX株式会社代表取締役社長CEOのオサムニアです。よろしくお願いします。本日はお越しいただき、ありがとうございます。
LiNKXは東京証券取引所グロース市場に上場しました。これまでサポートしてくださったみなさまに感謝申し上げます。また、本日の上場記者会見に際し、私の日本語がまだ不十分な点をお詫び申し上げます。
それでは、LiNKXのビジネスをご紹介します。LiNKXはレガシーシステムをモダナイズする架け橋となり、日本のIT課題を解決します。このモダナイゼーションにより、日本企業がグローバルで戦えるように、システムの競争力を高めていきます。
わたしたちが目指していること

LiNKXがサポートするのは、優秀なエンジニアによるCloudベースモダナイゼーションとAIベースモダナイゼーションです。システムをモダナイズすれば、日本企業はさらに柔軟に対応できるようになります。
沿革

LiNKXの最初の実績はみんなの銀行との取り組みです。これは、日本で最新のテクノロジーを活用したデジタルバンクです。LiNKXのサポートはここから始まりました。
また、金融セクターで先進的な挑戦を行っている北國銀行からアプローチを受け、デジタルプロダクトの開発をサポートしました。2023年には、スタートアップとして史上初となる勘定系システムの開発を開始しました。難易度の高い勘定系システムを攻略するためにAIを活用しています。
Who We Are

これらの取り組みを実現できた背景には、LiNKXの優秀なエンジニアの存在があります。LiNKXの社員の約80パーセントがエンジニアであり、そのうち50パーセント以上がグローバル人材です。
優位性①ユニークポジションでの採用 LiNKXに集結するハイエンド・エンジニア

LiNKXの強みは3つあります。
1つ目はハイレベルなエンジニアチームです。世界トップクラスのコンピューターサイエンスやAIの知見を持つハイエンド・エンジニアがLiNKXに在籍しています。もともと、CEOもCTOもグローバルエンジニアです。
優位性①ユニークポジションでの採用 採用したエンジニア組織の維持・成長に向けた取組み

エンジニアがLiNKXに残るように、エンジニアファーストを大切にしています。日本人と外国人の人材が一緒にハイブリッドなカルチャーを作りながら働く環境が非常に良く、離職率も低い状況です。
優位性②AI活用 AI技術の進化に関する当社見解

ストロングポイントの2つ目はAI活用です。
LiNKXはAIをリスクではなく、チャンスだと考えています。簡単なエンジニアリングはAIで置き換えることができますが、難しいモダナイゼーションはAIツールだけではうまくできません。
優位性②AI活用 LiNKX AXcelerator ーブラックボックス化したシステムの可視化ー

LiNKXはオリジナルAIソリューション「LiNKX AXcelerator」を活用することで、AIによりレガシーシステムを可視化することができます。このソリューションは桁違いのインパクトがあり、今後の大きな取り組みにつながります。
優位性③金融領域での実績 プロジェクトにおけるAI活用の実績

ストロングポイントの3つ目は、金融機関におけるサポート実績です。
北國銀行のプロジェクトは、日本で初めてのクラウドネイティブコアバンキングの取り組みとなりました。このプロジェクトでは、AIの活用が必須でした。
成長戦略ロードマップ(イメージ)

成長戦略についてです。
LiNKXはCloudベースモダナイゼーションとAIベースモダナイゼーションの2つを軸に、それぞれでフロー型とストック型のビジネスを伸ばしていく方針です。
この2年から3年が特に重要で、AIを活用してマーケットにインパクトを残す必要があります。金融セクターでAIソリューションを磨いた後、他のセクターにも横展開する予定です。
成長戦略①AIベースモダナイゼーション ーAI活用による成長加速に向けた取組みー

メインの成長ドライバーはAI活用の加速です。AIベースモダナイゼーションの拡大を目指しています。
LiNKXのエンジニアは非常に高いレベルでAIを活用しています。「LiNKX AXcelerator」でAIワークフローをさらに向上させていきます。これは必ず、売上を拡大する重要なドライバーとなります。
質疑応答:初値の受け止めについて
質問者:初値の受け止めについてお聞かせください。
オサムニア:株価はマーケットが決めるものですが、評価していただいたことについては期待の高さが表れていると受け止めており、今後の企業成長につなげていきたいと認識しています。
我々が支援できるモダナイゼーションを通じて、日本の社会をより良くすることで、企業価値を高めていきます。そのようなかたちで今後も経営に取り組んでいきます。
質疑応答:日本市場でモダナイゼーションに取り組む意義について
質問者:日本市場において、御社の強みであるモダナイゼーションに取り組む意義について教えてください。
オサムニア:日本企業の約65パーセントがレガシーと呼ばれる古いシステムを抱えており、この古いシステムが成長の足かせや障害になっています。同時に、AI技術は急速に進歩しており、それに対応できる企業と対応できない企業の間で競争力に大きな差が生まれています。
我々としては、自社のテクノロジーを活用して、レガシーシステムを抱えて苦しんでいる企業のシステムをモダナイズし、AIを活用できる状態にすることで、競争力を持っていただきたいと考えています。それにより、日本社会を元気にしたいと考えています。
質疑応答:特定顧客への依存とリスク分散について

質問者:顧客構成についてです。直近では取引額上位2社の合計販売比率が7割を超えています。そのうち、1位の北國銀行が約50パーセントを占めており、特定顧客への依存度がまだ高い状態にあると考えています。
この点はリスクになりやすいと思いますが、どのように考えていますか? また、今後のリスク分散に関する戦略があれば教えてください。
オサムニア:北國銀行のプロジェクトでは「BankWill」という次世代型勘定系システムの開発を支援しています。これを無事にローンチさせることは、北國銀行にとって非常に重要であるだけでなく、我々のビジネスにとっても勘定系で1つの大きなトラックレコードを得るという意味で、大きなマイルストーンとなります。
そのため、まずはここにフォーカスしていますが、我々としてもお客さまのポートフォリオが偏っているという課題を認識しています。したがって、北國銀行でのトラックレコードを活かしながら、他のパイプラインを獲得する取り組みをすでに進めています。
質疑応答:公募株数の比率とIPOの目的について
質問者:今回、発行済株式総数に対する公募株数の比率は3パーセント程度という理解でよろしいでしょうか?
小林正典氏(以下、小林):おっしゃるとおりです。我々のビジネスモデルをご覧いただくとおわかりのとおり、すでに黒字化しており、大きな資金が必要なわけではありません。そのため、希薄化を最大限抑え、上場維持基準である流通株式比率25パーセントを確保したいと考えています。
このような事情を鑑み、最小限の希薄化で今回の上場でのファイナンスを行ったかたちになります。
質問者:将来の成長性を考えるのであれば、もう少し株数を増やす選択肢もあったのではないかと思います。
小林:今後そのような選択肢もあると思いますが、今回は市場に認知していただくことを目的としたIPOとなります。ファイナンスよりも、市場から信頼を獲得することで顧客との取引拡大を狙ったり、システムモダナイゼーションの意義や当社の存在価値を市場に認識していただくことが重要だと考えています。
これは採用活動にも関連しますが、このように認知度を高めて成長を目指すことが、今回のIPOの主目的です。資金よりも市場からの信頼を得ることを優先しています。
質疑応答:テクノロジーに先進的でない企業へのアプローチについて
質問者:これまでの顧客は、みんなの銀行や北國銀行のように、テクノロジーへの理解が非常に深く、技術力もある企業だったと思います。
おそらくこれから展開していくのは、テクノロジーへの理解も技術力もそこまでない企業等を相手にしていくことになるかと思います。そのような企業に御社のソリューションを広めるために、新しい施策は考えていますか?
オサムニア:ご指摘のとおり、みんなの銀行や北國銀行は、テクノロジー面で先進的な取り組みを行っている銀行であると認識しています。
我々がアーリーステージにおいて、金融機関のミッションクリティカルな領域でAPIやデータ基盤の取り組みを進めていこうとすると、テクノロジーに精通したお客さまからトラックレコードを作るというのは、自然な流れだったと考えています。
これまでテクノロジーに先進的ではなかったお客さまに、どのようにアプローチするかという点については、タイミングも重要になりますが、AIの進化が我々の活動を後押ししています。現在、多くのお客さまが「AIを攻めの取り組みとして活用したい」と考える一方で、「AIの脅威に対する守りの取り組みも進めたい」と考えています。
また、これまでテクノロジーを使ってきたお客さまにおいても、「攻めと守りの両方をキャッチアップして取り込んでいきたい」というニーズが強まっています。我々がこれらのニーズにお応えするというところで、パイプラインが非常に増えてきている状況です。
質疑応答:金融セクター以外への展開について
質問者:金融セクターで得たノウハウを他の領域にも横展開したいというお話がありました。金融セクター以外に、どのような領域を重視したいと考えているのかを教えてください。
オサムニア:金融セクター以外で、今後どこにターゲティングしていくかについては、さまざまなインダストリーのお客さまからデマンドをいただいています。特に明確なニーズがあるのは、製造業などです。
ただし、どのインダストリーを攻めるにしても、「LiNKX AXcelerator」というAIソリューションでレガシーシステムを可視化していくことを考えています。それが活かせるインダストリーであれば、今後ポジティブに検討する可能性もあります。
質疑応答:成長見通しについて
質問者:直近の予想値は、売上高19億円、営業利益4億円という規模感ですが、いつ頃に、どの程度の規模感まで拡大していきたいと考えていますか? また、数字以外の面で、今回の上場を経て何年後にどのような会社の姿を目指していきたいと考えていますか?
小林:具体的な数字の規模感は開示していませんので、明確な回答は控えます。ただし、現在の成長率である30パーセントから40パーセントを中長期的に維持しながら、モダナイズに対するニーズを取り込んでいきたいと考えています。
また、当社の場合は他のSIerと比較しても営業利益率が高い水準にあるかと思います。既存のいわゆる人工(にんく)ビジネスではない、「LiNKX AXcelerator」といった自社のソリューションを通じて、収益性の向上や利益率の引き上げを目指しています。
質疑応答:競合他社との差別化について
質問者:数日前に、日立製作所や富士通がAIを活用したシステム刷新事業を発表しました。今後はそのような大手企業が競合相手になると思いますが、どのように差別化を図っていくのかについて教えてください。
オサムニア:まず、このような流れになってきていることについて、我々は非常に感銘を受けており、日本社会にとって非常に良いことだと思います。また、我々にとって実は追い風になると考えています。
AIを基幹系のシステムで活用するには、AIと既存のシステムの両方について深く理解している必要があります。その両方を満たすことは、大手のSIerでさえ非常に難しい場合があります。
我々は、テクノロジーに特化している点において、1つのポジショニングを確立しています。大手のSIerが「レガシーはわかるけど、AIとの融合についてキャッチアップしたい」という時に、我々がその手助けをするなど、実際にそのようなコラボレーションも始まっています。
我々としては、日立製作所や富士通などと競争するのではなく、イネーブラーとして我々のケイパビリティを届けると言いますか、能力を活用してSIerを支援することで、日本社会の生産性向上に貢献したいと考えています。
