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児玉化 Research Memo(5):「樹脂と金属の融合」で唯一無二のソリューションパートナーへ

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■中長期の成長戦略

1. 中期ビジョン
児玉化学工業<4222>は、「樹脂と金属、2つのコア技術の融合により唯一無二のソリューションパートナーに」なることを中期ビジョンとして掲げ、5年後の2031年3月期に売上高90,000百万円、営業利益率5.0%を目標としている。成長戦略は3段階で構成されている。第1段階は「既存事業の収益基盤強化」であり、各事業における収益力向上を図る。第2段階は「モビリティ領域でのシナジー創出」であり、樹脂・金属・粉末冶金の技術融合によるシナジーの最大化を目指す。第3段階は「非モビリティ領域への展開」であり、医療、半導体、インフラ、産業機器など、自動車以外の分野に展開していく考えである。

2029年3月期に売上高83,000百万円、営業利益3,200百万円を目指す

2. 現中期経営計画
現中期経営計画では、最終年度の2029年3月期に売上高83,000百万円、営業利益3,200百万円、自己資本比率45.0%以上を目標としている。営業利益率については、計画期間を通じて恒常的に3%超を目指す。また、設備の維持更新投資の継続と戦略投資により新製品開発や生産体制強化を進め、各事業の収益基盤を強化する方針だ。

(1) 樹脂成形事業
樹脂成形事業では、「ものづくり基盤の再強化」を重点施策としている。関東圏における樹脂製品需要の減少や競争激化を見据え、埼玉工場への生産集約により稼働率と競争力の向上を図る。一方、西湘工場と袋井工場では、省人化・自動化の検証や次世代製品開発への投資を進める。これらの拠点再編は、後述する「ハブ&サテライト構想」の足掛かりとなる。また、西湘工場とタイを中心に高機能素材の量産体制の確立を目指す。

(2) 鋳鍛造事業
鋳鍛造事業では、xEV向け製品ラインナップの拡充を成長ドライバーと位置付ける。既存のアルミ製電子部品ケースや鉄製モーターシャフトに加え、デファレンシャルASSYや減速機ケースなどの受注拡大を進める。同時に、国内赤字拠点を中心にコスト構造改革も推進し、中期経営計画期間中に約660百万円の収益改善を目標としている。外部委託している工程の内製化や鋳造工程の収益改善、キャストホイール塗装の内製化などを進めるほか、海外でも生産性改善に取り組み、恒常的な黒字体質の確立と営業利益率3.9%までの改善を目指す。

(3) 粉末冶金事業
粉末冶金事業では、国内既存製品の収益最大化に加え、電源向け新製品の育成を成長戦略としている。既存製品では、輸出機会の取り込みや、他工法から焼結への置き換え需要の獲得を進める。新規分野では、データセンターや半導体向けを中心とした電力需要拡大を背景に、高効率・小型化ニーズが高まるスイッチング電源市場へ参入する。海外では、インドを成長戦略の中核に位置付け、新工場での量産開始により、現地企業向け販売拡大を目指す。前掲の「ハブ&サテライト構想」の延長線上の構想として、同工場内で樹脂成形も展開し、粉末冶金との組み合わせた製品のインド市場へのワンストップ供給する将来構想もある。

技術融合の加速により買収シナジー創出を本格化

3. 次期中期経営計画以降を見据えた成長戦略
(1) ハブ&サテライト構想
グループ内拠点間の相互活用を目的として、製品・領域ごとに役割を柔軟に変更する「ハブ&サテライト構想」を推進する。開発を行うハブと技術供与されるサテライトで構成されるが、サテライトが別の加工技術においてはハブにもなり得るもので、各拠点が有機的に連携する生産ネットワークの構築を目指している。現中期経営計画期間中に、西湘工場と袋井工場において実証実験を開始し、将来の展開可否を確認する。成功すれば、インドやアメリカなどのメプロHDが有する各拠点での樹脂成形部品とのセット販売が可能になり、シナジー獲得に大いに貢献することとなる。

(2) マルチマテリアル技術によるシナジー発現
金属加工と樹脂成形の両方を手掛ける強みを生かし、自動車OEMが直面する軽量化・コスト・機能性という3つの課題を同時に解決する複合部品ソリューションの提案を本格化しており、具体的な検討も進んでいる。含油軸受と樹脂インサート技術の組み合わせでは、アルミと樹脂の一体成形を可能とし、構造強度の確保と軽量化を実現する。この技術により、シートフレームの鉄製からアルミ+樹脂複合材への置き換えが可能となる。軟磁性材コアと樹脂インサート技術の組み合わせでは、電装品ケースにおいて電磁ノイズ遮断と軽量化を両立する。粉末冶金事業では、軟磁性材料(圧粉磁心)を用いた超小型トランス及び変換回路(トライマジックコンバータ)の開発を行っており、これが成功したあかつきには、ダイキャストケース・軟磁性トランス・樹脂カバーの3社の技術を総動員した電装品ケース類への適用も視野に入る。

これらは一例に過ぎないが、複合素材・技術による一貫開発は同社にしかできない取り組みであり、開発スピード、コスト、品質管理のすべてにおいて顧客メリットを訴求できる。単品部品では系列を超えた参入は容易ではないが、モジュール化によって障壁を越えた受注獲得を目指せる点が、今回のメプロHD買収による最大のシナジーである。

(3) 非モビリティ展開
前述のマルチマテリアル技術を活用し、非モビリティ領域への展開を進める方針である。住宅設備や家電など、同社の既存領域での金属部品需要の取り込みに加えて、医療、半導体、インフラ、産業機器などの成長市場において、樹脂と金属の一体成形による高付加価値化を通じて顧客開拓を行っていく。

さらに、長期的な構想として、新たな素材(ガラスやゴムなど)への展開も視野に入れ、パーパスで掲げる「異素材加工技術の統合を軸に、製造業発展の一翼を担う」の実現を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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