■矢作建設工業<1870>の業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比20.4%増の169,399百万円、営業利益で同58.8%増の13,742百万円、経常利益で同59.0%増の13,698百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同50.0%増の8,468百万円と、売上高・各利益とも過去最高を更新した。また、前中期経営計画の最終年度として、売上高目標130,000百万円と営業利益目標10,000百万円を大幅超過で達成した。期首予想に対しても、売上高は0.8%、営業利益は37.4%、親会社株主に帰属する当期純利益は28.3%それぞれ上回った。
売上面では、建築事業において複数の大型物流施設工事が施工の最盛期を迎えたことが増収の主因となった。特に、野村不動産発注の東海大府及び千葉県野田市における大型物流施設2案件が順調に進捗し、建築事業の売上拡大をけん引した。利益面では、建築・土木両事業の竣工工事において、物価上昇分の最終精算交渉が進展し、価格転嫁が奏功したことが収益改善に寄与した。この結果、売上総利益率は15.3%と前期比1.5ポイント上昇し、収益性が向上した。販管費は、人事制度改定に伴う人財投資の拡大を主因として1,476百万円増加したものの、増収効果と売上総利益率の改善によって吸収し、営業利益以下の各利益段階においても増益を確保した。
大型工事の完工と価格交渉が進展し、建築事業が大幅増収増益
2. 事業別動向
(1) 建築事業
建築事業は、売上高で前期比29.8%増の112,339百万円、売上総利益で同136.5%増の11,056百万円、売上総利益率は9.8%(同4.4ポイント上昇)となった。複数の大型物流施設工事が施工の最盛期を迎え順調に進捗し、特に野村不動産発注の大府(東海地区)物流施設は建築売上の約3分の1を占める最大案件となった。竣工工事において、物価上昇に伴う最終精算交渉が進展し、大幅増益となった。
2022年以降の資材価格急騰後に、契約時と実際の資材調達時の価格差が生じたことにより、同社の利益率が低下していたが、売上高利益率はV字回復の兆しがある。引き続き、資材価格は高止まりしているものの、価格転嫁も進展しており、2026年3月期の売上総利益率は過去5年間で最も高い水準となった。
(2) 土木事業
土木事業は、売上高で前期比17.5%増の37,817百万円、売上総利益で同27.1%増の7,831百万円、売上総利益率は20.7%(前期比1.6ポイント上昇)となった。官庁・民間工事ともに豊富な手持ち工事が順調に進捗した。設計変更協議に伴う請負金の増額が寄与したことに加え、原価低減への取り組みも奏功し、売上総利益は期初計画比でも22.4%超過達成した。
(3) 不動産事業
不動産事業は、売上高で前期比12.5%減の19,243百万円、売上総利益で同17.3%減の7,092百万円、売上総利益率は36.9%(前期比2.1ポイント低下)となった。産業用地開発では合計3物件(愛知県豊田市など)を売却し、不動産販売売上は10,683百万円(同7.6%増)を確保した。一方、分譲マンション事業では、資材価格の高騰や施工キャパシティ調整の影響、事業譲渡を控えた調整により、新規供給戸数及び販売戸数が減少し、4,065百万円(同46.4%減)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む