■要約
1. 事業内容
ジェイリース<7187>は、賃料債務保証業界大手の1社である。同社の特徴は、地域に密着したサービスの提供と多店舗展開であり、全国の主要都市に拠点を広げつつ(2026年3月末時点で全国44店舗)、地域に根差した営業活動と入居者への信用供与を行っている。そのため、大手のほか中小の不動産会社からの支持も厚く、不動産会社と31千件の協定を結ぶ。住居用賃料保証と事業用賃料保証の両市場でトップグループに入る企業である。進行中の3ヶ年経営計画では、保証領域を超えて「信用で人をつなぐ会社」を目指すことを宣言し、2024年4月には、(株)エイビスを子会社化し、IT・システム分野に事業領域を拡大した。保証領域での多角化も進めており、一棟保証や医療費保証など、成長性の高い分野に進出している。
2. 業績動向
2026年3月期の業績は、売上高が前期比24.9%増の21,574百万円、営業利益が同16.8%増の3,624百万円となり、7年連続で過去最高の売上高・営業利益を更新した。主な増収要因としては、市場規模の大きい首都圏での営業に一段と注力したことで、住居用賃料保証及び事業用賃料保証が好調に推移したことや2025年4月に子会社化したK-net(株)による売上への寄与などが挙げられる。営業利益については、契約件数拡大に伴う貸倒関連費用の増加、競争激化による不動産会社への事務手数料(売上原価)の増加などのコスト増を、AIを活用した与信審査及び債権管理業務等における適切なリスクコントロールや増収効果などが吸収し、同520百万円増加して過去最高を更新した。
3. 今後の見通し
2027年3月期の業績は、売上高が前期比15.2%増の24,859百万円、営業利益が同6.4%増の3,856百万円と、売上高、各利益ともに過去最高を更新する見込みである。住居用賃料保証に関しては、大都市エリアでのシェアが未だ低いため、シェア拡大の余地が大きい。さらに、全国47都道府県体制の仕上げの段階に入り、新規出店(6店舗予定)と今期中に全都道府県への出店を完了させる。事業用賃料保証については、顧客のリスク意識の変化などによりオフィスや店舗などの事業用保証ニーズの拡大が継続する見込みだ。また、K-netや(株)エイエフビイ(広告関連事業、2025年7月に子会社化)の通期連結及びその相乗効果による業績拡大も期待できる。業界の市場環境が良好ななか、業界大手企業としての同社の認知度・ブランド力が向上しており、例年どおり売上高目標を超えてくると弊社は見ている。営業利益に関しては、前期比6.4%増とやや抑制された伸長になる見込みである。チャレンジと成長を促す新人事制度導入、AI活用のベースである新基幹システムの開発、首都圏強化のための東京本社増床などの戦略的投資を主に実施することがその要因である。弊社は、利益についてもやや保守的な予想と捉えている。首都圏への資源投入やAI活用の高度化、近年連結された各子会社との相乗効果なども期待できることから、業績予想を超えてくると見ている。
4. 中長期の成長戦略・トピックス
同社は、これまでも審査モデルにAIを活用してきており、代位弁済発生の増加抑制などに成果を上げてきた。2026年4月に、AIを前提とした組織に変革するために「プロセス企画部」を新設し、事務処理や審査などの業務を自動化し、コストを抑えると同時に品質の向上を実現させる。2026年5月には、先進的なAI技術の研究開発及びAI活用支援を行うセカンドサイトアナリティカ<5028>(本社:東京都千代田区)と業務提携を行い、AIを活用した業務のプロセス改革によるコスト構造の最適化、人的リソースの高付加価値業務への再配置及び事業運営の高度化などを強力に推進する。
5. 株主還元策
同社は、株主への利益還元を経営の最重要課題の1つと位置付けている。2026年3月期の年間配当金は前期比10.0円増の55.0円(中間25.0円、期末30.0円)で6期連続の増配となり、配当性向は39.9%となった。2027年3月期の年間配当金は同5.0円増の60.0円(中間30.0円、期末30.0円)、配当性向は42.4%を予想している。また、長期的な個人株主との関係強化を見据え、株主優待制度としてジェイリース・プレミアム優待倶楽部を導入している。
■Key Points
・業界屈指の店舗網・人財を基盤に、地域密着で中小不動産会社にも強い営業スタイル。住居用賃料保証と事業用賃料保証の両市場でシェアを拡大中
・2026年3月期は7期連続増収増益を達成
・AI活用を目的に専門組織創設、セカンドサイトアナリティカと業務提携
・2026年3月期は年間配当金55.0円、配当性向39.9%。6期連続の増配を達成
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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