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澁澤倉庫 Research Memo(5):前期、前々期新設拠点がフル稼働し、大幅増益予想

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■澁澤倉庫<9304>の業績動向

3. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の業績予想について、同社は営業収益83,000百万円(前期比4.1%増)、営業利益5,000百万円(同22.0%増)、経常利益5,700百万円(同17.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円(同2.6%増)を見込んでいる。特別利益では、引き続き政策保有株式の縮減を目的とした投資有価証券売却益のほか、本牧倉庫の移転に伴う利益を計上する計画である。なお、M&Aした澁澤ワールドトランスポートについては精査中のため、予想に織り込んでいない。

日本経済は、賃上げの定着に伴う所得環境の改善や設備投資の持ち直しを背景に、緩やかな回復基調が続くものと予想されている。一方、米国の通商政策の変化や金利動向に加え、緊迫する地政学リスクがエネルギー市場に及ぼす影響、原油価格の高騰が燃料費や光熱費の上昇を通じて国内物価を押し上げ、企業収益や個人消費を下押しする影響を慎重に見極めていく必要もある。物流業界では、労働力不足に伴う人件費の増加やエネルギー情勢の変動が、コスト負担や輸出入、サプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があり、先行きは依然として不透明な状況が続いている。

今期は現段階で新設拠点の具体的な計画はないものの、前々期に稼働を開始した本牧営業所などの拠点や、前期に稼働を開始した栃木の危険物倉庫と習志野の飲料特化型倉庫が期初からフル稼働する予定である。加えて、飲料など3PL事業が好調を持続する見込みで、営業収益は増加を予想している。利益面では、物流事業における増収や新設拠点の稼働率向上、価格転嫁の効果に加え、全社的に業務の効率化を図る見込みで、2ケタの営業増益予想となった。また、受取配当金の減少が予想されるが、データキーピングサービスとベトナムの物流事業が好調のため持分法投資利益が改善、経常利益も高水準の伸びとなる見込みである。

2026年5月に、名鉄ワールドトランスポートの全株式を名古屋鉄道より取得し、「澁澤ワールドトランスポート」に商号を変更した。澁澤ワールドトランスポートは同社と同様の物流事業を展開し、名古屋鉄道グループとして築き上げた強固な事業基盤や、国際物流領域における高度な専門ノウハウ、優良な顧客ポートフォリオを強みとしている。同社のグループ化により、国際物流におけるサービスラインナップの高度化と収益力の強化、北米・アジアにおけるグローバルネットワークの飛躍的拡充、フォワーディングにおける一貫輸送体制の深化と取扱量拡大による価格競争力の強化が見込まれる。さらに、国内物流でのクロスセル推進や国内拠点統合による収益力向上、専門人材の交流による組織の進化を通じ、短期的にはインオーガニック成長による成長曲線の底上げ、中長期的には持続的な成長による株主価値の向上といったシナジーの創出を見込む。なお、名鉄ワールドトランスポートは、近年営業損失が継続している(2025年3月期営業収益5,841百万円、営業損失564百万円)が、その要因は国内倉庫のオペレーションにあると同社は特定しており、同社のノウハウを活用して収益性を改善し、早期の黒字化および営業損失の解消は十分に可能と見込んでいる。

セグメント別の見通しについては、前期および前々期に稼働を開始した拠点が通期本格稼働するため、物流事業全体では増収増益を予想している。業務別では、3PL事業が飲料中心に安定した受注と新設拠点の通期フル稼働に加え、自動荷役機器やソフトウェアへの投資を進めることで採算性が向上し、増収増益となる見通しである。このほか、港湾運送業務では既存顧客からの新規受注を見込み、陸上運送業務では価格転嫁の効果に加え、3PLに属さない飲料や日用品の工場・拠点間長距離輸送の伸長が期待される。国際輸送業務では、前期不振だった輸入海上貨物の回復や既存顧客からの新規受注を計画しており、各業務ともに増収増益を見込んでいる。不動産事業では、賃貸オフィスビルの稼働状況が安定的に推移することに加えて、私募ファンドへの出資と物流不動産領域の事業も積極的に推進する方針であることから、増収増益を確保する予定である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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