■ミロク情報サービス<9928>の今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は売上高で前期比10.0%増の53,800百万円、営業利益で同8.3%増の7,230百万円、経常利益で同7.4%増の7,380百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.0%減の4,810百万円を計画している。前期に計上した投資有価証券売却益がなくなることで減益見込みとなる当期純利益を除けば、連続で過去最高を更新する見通しである。
売上高はソフトウェアの提供形態について売切り型からサブスク型への移行を進めることで、サービス収入が同13.4%増と2ケタ増ペースが続くほか、システム導入契約売上高もSynergixの通年寄与に加え、ユースウェア及びハードウェアの伸長により同5.8%増と堅調に推移する見通しである。売上総利益率は同0.2ポイント低下の60.4%を見込むが、新製品発売に伴うソフトウェア資産の償却費が560百万円増加するためで、同要因を除けば売上総利益率は0.9ポイント上昇する見通しである。また、販管費は同2,306百万円の増加を見込んでいる。新卒社員の積極採用(70名)や5期連続の給与ベースアップ等の実施により人件費が増加するほか、Synergixの販管費が通年で計上されること、並びにのれん償却額が204百万円増加することが主な増加要因となる。ただ、前期と同様に販管費については保守的に計画に織り込まれていると見られ、実績は計画を下回る可能性があると弊社では見ている。
なお、本来の収益力を示すEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)では、前期比16.6%増の9,935百万円となり、4期ぶりに過去最高を更新する見通しである。2024年3月期以降、サブスクモデルへの移行という短期的な業績の下押し要因があるなか、営業利益で増益を続けてきた背景には減価償却費やのれん償却額の減少もあった。しかし、EBITDAマージンは、2023年3月期の23.0%をピークに、2026年3月期は17.4%まで低下している。トライベックによる統合型DXプラットフォーム事業の先行投資分(営業損失で8億円)を除いても約19%の水準となっており、この差はサブスク型への移行による短期的なマイナス影響によるものと弊社では見ている。2027年3月期はEBITDAマージンも4期ぶりに上昇に転じる見通しである。子会社の収益改善を見込んでいることもあるが、サブスク型への移行によるマイナス影響も軽微となりつつあることを示唆している。企業向けのサブスク比率がまだ50%台であるため、今後の移行スピード次第ではあるものの、増益を維持しながらサブスク型への移行を進める同社の戦略は順調に進んでいるものと評価される。
なお、Synergixについては売上高で10億円強、営業利益で1億円強を計画に織り込んでいる。利益水準が低下するのは、PMIを進める目的で日本から5人担当者を派遣したためだ。のれん償却額272百万円を控除すると営業利益では1億円強の減益要因となる。SynergixのERP製品の特長は、多様な業種・業界別の業務プロセスに対応し、モジュール化した機能を顧客ニーズにあわせて組み合わせ、また、必要に応じてカスタマイズして提供できる柔軟性を持つ点が挙げられる。シンガポールの日系企業に対してSynergixのERP製品の販売を推進し、日本ブランドの浸透を基盤にローカル企業への展開、事業拡大に取り組んでいく。
(1) サービス収入
サービス収入は全体で前期比13.4%増の24,009百万円と2ケタ成長が続く見通しである。主力ERP製品のサブスク型へのシフトによりソフト使用料が同24.6%増の12,585百万円と成長をけん引する。主力ERP製品のサブスク契約社数は、前期末比22.7%増の8,000社、ARPUは製品ミックスの変化により同1.2%減の862千円、ARRは同21.2%増の69.0億円を計画している。サブスク比率は前期に想定以上に進んだことを踏まえ、収益性の確保とバランスを重視し、計画上は一時的に移行ペースを抑制し、サブスク比率は約30%、うち企業向けは50%台前半を想定しているが、期中の受注動向を踏まえて柔軟に調整する方針である。
売切り型契約の保守サービスとなる企業向けのソフト運用支援サービスは、サブスク型への移行により伸び率は鈍化または減少傾向となる想定だが、Synergixの売上貢献により同3.9%増の6,400百万円を見込む。また、会計事務所向けのTVSは同2.1%増の2,710百万円、ハードウェア・ネットワーク保守は同7.0%増の1,908百万円といずれも顧客数の増加により1ケタ台の増収を計画している。
(2) システム導入契約売上高
システム導入契約売上高は、前期比5.8%増の25,608百万円を計画している。品目別ではソフトウェアが同6.3%増の11,479百万円、ユースウェアは同5.4%増の8,187百万円、ハードウェアが同5.2%増の5,941百万円とそれぞれ1ケタ台の増収を計画している。ソフトウェアはサブスク型への移行やクラウド製品の拡販に伴い減少が見込まれるものの、Synergixの売上が通年で寄与することで増収となる見込みである。販売先別では、一般企業向けが同8.9%増の14,003百万円、会計事務所向けが同10.8%減の7,478百万円、その他(パートナー向け売上、子会社売上等)がSynergixの寄与により同38.5%増の4,126百万円となる見通しである。企業向けの増加は、サブスク比率の上昇を一時的に抑制するため、売切り型ERP製品の受注活動を強化していることが要因である。実際、2026年3月期末のシステム導入契約売上高(単体)の受注残高は前期末比16.6%増の8,478百万円、受注残月数で4.42ヶ月※と前年同期の3.99ヶ月から積み上がっている。企業向けに関しては引き続き19のソリューション支社を中心にソリューション営業を推進し、既存顧客に対するアップセルや新規顧客の開拓を進める。
※ 受注残月数=受注残高÷当該年度の月平均のシステム導入契約売上高計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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