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カウリス、26年12月期の通期業績予想を上方修正 主力の検知サービスで新規顧客の獲得や既存顧客の追加導入が進む

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2026年8月17日に発表された、株式会社カウリス2026年12月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

CONTENTS

島津敦好氏(以下、島津):代表取締役社長の島津です。みなさま、お時間をいただきありがとうございます。2026年12月期第2四半期の決算説明会を開始します。

企業理念

まずは、事業内容についてご説明します。当社は「情報インフラを共創し、世界をより良くする」を企業理念に掲げています。

金融犯罪対策サービス

金融犯罪対策をビジネスドメインとし、不正利用者の情報を「Fraud Alert」というサービスで金融機関のお客さまと共有しています。もう1つの「Grid Data KYC」は、全国の一般送配電事業者(電力会社)と連携し、全国約8,000万世帯の個人情報を活用して犯罪の抑止に役立てるサービスです。

基本的に、現在の売上のほとんどは「Fraud Alert」に依存しています。このサービスはネット系の銀行、メガバンク、地方銀行、証券会社などにサービスを提供しており、不正利用者の端末情報や、場合によっては口座情報を共有します。

もう1つのサービスである「Grid Data KYC」は昨年リリースしたサービスです。今年から、複数の信用金庫やクレジットカード会社などでご利用いただいており、不正な口座開設の防止や顧客情報の更新に活用されています。

エグゼクティブサマリー

第2四半期の業績についてです。売上高は8億1,600万円で、前年同期比で21.8パーセント増加しています。営業利益は2億8,300万円で、前年同期比で27.0パーセントの増加、当期純利益は1億7,800万円で22.4パーセント増加しました。

今回の決算発表にあわせて通期業績予想の上方修正を行っています。特に営業利益が約3割増加し、経常利益も3割近く増加する見込みです。当期純利益も2割ほど増加しています。

新規顧客の獲得とクロスセルが想定を上回ったことが主な要因となっています。また、採用計画の遅れにより採用費や人件費の未消化が発生し、こちらも利益拡大につながっています。

さらに、3月に福岡に拠点を設けました。北九州や中国地方を中心に、大阪など西日本全体の営業機会の創出に寄与しています。

株式付与制度については、上場後に入社したメンバーにも譲渡制限付株式(RS)を発行する予定です。

財務ハイライト

財務ハイライトです。契約獲得高は2億1,000万円、契約残高は10億円で、売上高成長率は21.8パーセントとなりました。

ARRは15億7,000万円で、ストック型収益が約93パーセントを占めています。また、ユーザー数が増加している銀行や証券会社が多いため、ARPUは278万円と増加しています。

ARR成長率は若干回復して21.8パーセントです。契約企業数は横ばいですが、1社当たりの客単価は増加しており、基本的には増加傾向にあります。営業利益率は34.7パーセントでした。

Fraud Alertの主要KPI

ARPUとMRRが純増しているものの、一部の小規模なお客さまにおいて、業績悪化などの影響でセキュリティ投資が厳しくなっています。

ただし、解約に至ったお客さまは、ARRに寄与する割合が非常に小さい会社が多く、当社の業績にはあまり影響を受けません。

FY2026業績予想修正 売上高

「Fraud Alert」のクロスセルに加えて、「Grid Data KYC」もPoCをはじめ徐々に取引を拡大しており、売上にはプラスに寄与しています。

主要KPI Fraud AlertのMRR

「Fraud Alert」のMRRは、スライドのとおり純増しています。

主要KPI Fraud Alertの契約社数

「Fraud Alert」の契約社数について、第2四半期では2社の新規契約を獲得しましたが、当社サービス終了による3社の解約により、差し引きして前期比マイナス1社となっています。

主要KPI Fraud AlertのARPU

「Fraud Alert」のARPUの推移です。全体では278万4,000円となっています。新規ARPUの推移を見ると小型案件の獲得が重なり一時的に低くなった時期もありましたが、最近は回復傾向にあります。既存ARPUも微増ではありますが、増加傾向を示しています。

主要KPI 契約残高

契約残高は前期を上回って推移しています。基本的に年間契約であり、一部の顧客からは複数年契約のお話もいただいています。契約残高は増加傾向にあり、これが将来的には売上に切り替わっていきます。

財務ハイライト PL

PLです。前年同期比で売上高は約20パーセント増、売上総利益は約12パーセント増となっています。一方で、販管費は若干減少しています。営業利益も前年同期比で約21パーセント増加しています。

財務ハイライト BS

BSです。自己株式の取得に3億円ほど使いましたので、現金が若干減少しました。加えて、前受金増加に伴う総資産の増加により、自己資本比率が下がっています。

財務ハイライト 販管費と売上原価

販管費と売上原価についてです。売上高に対する販管費率は減少していますが、原価比率が若干増加しています。「Grid Data KYC」に関するサービスの固定費が年間で1億円ほどかかっているため、その部分が反映されている状況です。

グロスレベニューチャーンレート

グロスレベニューチャーンレートです。解約は3社ありましたが、MRRなどへの影響は非常に小さい状況です。

新株予約権等の行使状況

新株予約権の行使状況についてです。自己株式を新株予約権に充当しているため、発行済株式総数に変更はありません。また、未行使分が16万300株、権利未確定分が4万6,400株、失効分が7万1,700株となっています。

FY2026の業績予想修正

第2四半期を振り返ると、前年同期比で利益が大きく増加しました。採用に苦戦している部分がある一方で、特にエンジニアチームにおいてAIの活用により効率化が非常に進んでいるため、急いで人員を補充する必要がない状況と考えています。

金融庁の発表を踏まえて①(検知体制)

金融庁は2024年8月23日に、マネー・ローンダリング対策として、非対面のインターネットモニタリングを確実に行う旨を、金融業界に要請しました。

しかし、2026年7月の金融庁の発表によると、「不正利用が確認された口座と同一の端末・アクセス環境からの取引の検知に対応しているか?」という質問に対し、「対応済み」と答えたのが全体の49パーセントという結果でした。

未だ未検討や検討中の金融機関が多く、大きな課題となっています。

金融庁の発表を踏まえて②(検知後の対応)

銀行口座の乗っ取りや資金洗浄は非常に高速で行われるため、リアルタイムのモニタリングでの検知というニーズが高まっています。

しかし、リアルタイムのモニタリングが十分に実施されているかについては、「対応済み」金融機関は36パーセントと、あまり進展が見られないという課題があります。一方で58パーセントが「検討中」であることから、検討層が多く存在することがわかります。

Fraud Alert リリース事例

「Fraud Alert」のリリース事例として、東京スター銀行が約2年間のPoC(概念実証)を経て本契約に至り、リアルタイムに近いかたちでのモニタリングがすでに完了しています。

また、池田泉州銀行の子会社で、デジタルバンキング事業を提供する01銀行は、「Fraud Alert 入出金検知」の追加導入を決定し、入出金モニタリングを開始しました。

FXの会社であるインヴァスト証券でも、「Fraud Alert」を導入いただいています。

Fraud Alert 売上高に関して

「Fraud Alert」はモニタリング範囲拡大により、クロスセルを行うものです。基本的にログインページからモニタリングを開始しますが、これに加え、01銀行では入出金もモニタリング対象とし、さらに口座開設の状況も確認するというように、モニタリング範囲が拡大しています。

その結果、インターネットバンキングとアプリバンキングという2つのチャネルで、当社がモニタリングする範囲が広がるほど、売上への寄与が大きくなっています。

Grid Data KYC リリース事例

「Grid Data KYC」のリリース事例です。オリエントコーポレーションが虚偽入会をチェックするため、現在PoCを進めています。また、川口信用金庫は継続的なお客さまの情報更新に活用しています。こちらは信用金庫として2社目の事例です。

継続的な顧客管理における課題は非常に明確になっています。例えば、疑義のあるお客さまに対して、利用目的や現住所、電話番号などの情報更新を依頼するはがきを送付していますが、そのはがきへの返信率は2割を下回る状況です。その結果、全体の8割以上が空振りに終わっている状態です。

また、ご存じのとおり、はがき代や切手代が年間で30パーセント上昇しました。現在では普通郵便を送るだけで300円近く、簡易書留では400円ほどのコストがかかります。

はがきの送付は、全口座数で年間7パーセント、多い会社では十数パーセントの割合です。この8割以上が返信されないため、業界全体で顧客管理コストが上昇しています。このような点を踏まえて、当社ではご提案を進めています。

Grid Data KYCの拡販

PoCをいくつか進めているほか、本契約に至る案件も少しずつ出始めています。しかし、サービス概要は理解していても、「どのようにはがきからリプレイスするのか」というオペレーション構築が、金融機関における課題、いわゆるペインポイントとなっています。

これまでの商習慣やオペレーションに、当社のサービスをどのように挟み込むか、またオペレーションをどのように変更するのかが各企業にとって課題となり、この点でオペレーション構築に時間がかかっている状況です。

すでに導入していただいているUI銀行や、飯田信用金庫には、日本中の金融機関から「どのようにオペレーションを変えたのですか」「空き家だった時にどのような対策を講じているのですか」「本人確認が取れた場合はどのように進めているのですか」といった質問が寄せられています。

このようなオペレーションをこの2社に聞いていただくことで理解が進み、実績が徐々に出始めています。その結果、商談もスムーズに進むようになってきていると感じています。今後は、先行して導入いただいている企業にご協力いただき、セミナーなどで事例を共有していただこうと考えています。

金融機関は先行事例がないと社内を説得するのが難しい傾向がありますが、事例が蓄積されていけば、普及は徐々に進んでいくと思っています。

また、最近聞いた例として、初年度に送付したはがきには3割近い返信があったものの、2年目には2割を切り、3年目、4年目になると10パーセント台前半しか返信がこなくなるとのことでした。結果として、効率が非常に悪化し、1返信あたり2,300円ほどのコストがかかっているとのことです。

あるいは、4万人に送付しても返信が2割以下、つまり7,000人ほどしか返信を得られませんでした。返信1件あたりで換算すると約2,300円のコストがかかるという状況です。このような現状を改善するためにも、はがき業務のリプレイスを進めていく考えです。

2027年には単月黒字の達成を目指します。先行投資を行っていますので、2027年度から2028年度にかけては種まきを終え収益化を進めることを目指しています。

正社員数及び営業利益率

正社員数と営業利益率の推移です。第2四半期は社内業務におけるAIの浸透が進んだこともあり、営業利益率は34.7パーセントまで上昇しました。

正社員以外にも派遣社員やアルバイトを採用していますが、従業員全体でAI活用を推進しているため、ヘッドカウントが減少したとしても、生産性が低下する状況ではありません。

ただし、人員の入れ替わりが継続的に発生するため、採用活動は継続して進めています。

既存顧客の声を発信

既存のお客さまの声は、金融業界において非常に重要なものです。当社の事例としては、株主でもあるセブン銀行や千葉銀行などがあります。

ネット系銀行での使われ方、地方銀行での使われ方を、お客さまの声として積極的にご紹介させていただいています。

今後は、「Grid Data KYC」について信用金庫からの引き合いが非常に多いため、信用金庫のお客さまに向けても、このようなユースケースやケーススタディを積極的に公開していく考えです。

最近のメディア関連実績等

最近のメディアに関する実績は、スライドに記載のとおりです。特にBSテレビ東京では、最近詐欺が大幅に増えている背景を踏まえ、詐欺対策のサービスを提供する当社と金融庁の金融犯罪対策室を取り上げていただきました。20分から30分の番組で、非常に大きく取り上げられたと思っています。

また、その前の週には自民党の金融調査会において、金融系施策を検討されている衆議院議員の先生方と、「マネー・ローンダリング対策において何をすべきか」「ボトルネックは何か」を議論する場があり、当社はそこで20分ほどプレゼンテーションを行いました。

衆議院議員の先生方とは、継続的にマネー・ローンダリング対策の検証方法や、60パーセント以上の金融機関が、システム改修が大きな負担となるためリアルタイムなモニタリングでできていない状況、どのように効率化すべきかについて議論を続けています。

主要方針

中長期的な成長戦略についてご説明します。1点目は「Grid Data KYCの拡販」です。先ほどもお話ししたように、半数以上の銀行で非対面の取引モニタリングが未着手であるため、システム改修に時間がかかる点が顕在化しています。「Grid Data KYC」はシステム改修が不要なサービスのため、早期に拡販を進める予定です。

大きな企業では、お客さまへの連絡にかかるコストとして、はがき代だけで年間数億円、多い場合には十数億円かかる場合もあります。現在、当社ではいくつかの大型案件の商談を進めており、このリプレイスに注力しています。

2点目に、「Fraud Alertの既存顧客の深耕」です。「Fraud Alert」の拡販は基本的に既存のお客さまへのクロスセルに注力することになります。金融庁からモニタリングの要請が出されていることや、リアルタイムで遮断したいというニーズが非常に多いことを踏まえると、設置面(利用シーン)が増えるという状況は今後も継続的に起こるものと捉えています。

特に、当社はデータベース上で毎月、不正利用口座からの送金先口座の分析を行い、その結果、約55パーセントの不正利用口座の送金先が法人口座であることがわかっています。このような現状を踏まえ、既存のお客さまに対し法人口座へのクロスセルを継続的に提案し、推進していく考えです。

3点目は「AI活用や官民連携の推進」です。当社は非常にセンシティブな情報を取り扱っており、金融犯罪の手口が多様に変化していることに対応するため、AIを活用してデータ分析の効率向上に取り組みます。

また、マネー・ローンダリング対策については、ITや金融犯罪に対する理解が不可欠です。そのため、これまで私が講演した内容や社内の勉強会、有識者の方々の講演などを基にマニュアルを作成し、継続的にスキルの底上げを図っていきます。

当社の既存のお客さまは最先端の金融犯罪対策に取り組んでいる企業が中心となっています。そのため、今後も官民連携を進め、特に衆議院議員のみなさまや金融庁、警察庁とともに、新しい犯罪の手口やその対策に関する情報提供を、定期的かつ継続的に実施していきたいと考えています。

Fraud Alertにおけるクロスセルの推進

クロスセルの推進に関しては、導入チャンネルの増加、法人口座のモニタリング、入出金の検知が昨今のトレンドとなっています。これらを着実に進めていきたいと考えています。

クローズドなデータ集積による価値向上

第1四半期決算説明会でもお話ししましたが、「SaaS is Dead」という言葉が世間で認知されています。

しかしながら当社の「Fraud Alert」は不正利用者の情報をリアルタイムで共有し、「Grid Data KYC」では日本国内の約8,000万世帯分の個人情報といった、非常にセンシティブな情報を取り扱っています。

このような、生成AIが代替するのが困難で、かつ、機密性の高いデータを継続的に集めていくことが、当社の成長にとって重要と考えています。

特に「Grid Data KYC」は、約8,000万世帯で毎月約4パーセントから6パーセントの契約が更新され、「この家が空き家になった」や「住んでいる人が変わった」などの情報の変化が継続的に反映されます。このような情報に常にアクセスできる環境を保有していること自体が、当社にとって非常に大きなアドバンテージになると考えています。

取引データを活用した不正口座の分析

不正利用が疑われる凍結口座や不正利用口座に関連する入出金先のモニタリングを行っています。不正利用口座1つにつき、入出金関係にある口座は平均で約15口座発見されています。その中には詐欺被害者の口座も含まれるほか、犯行グループが使用している口座も特定できます。今後も継続的に収集を進めていきます。

現在、不正口座間の入出金モニタリングを累計で6社にご利用いただいています。各社で凍結口座を登録していただくことにより、ある企業で凍結された口座の情報を基に、別の企業においても凍結口座と入出金関係がある口座を速やかに発見することが可能です。ブラックリスト認定の口座情報を収集し、連携していくことを、今後も引き続き強化していきたいと考えています。

また、金融庁は、2027年4月1日から、詐欺などに利用された口座の情報を金融機関同士で共有できる仕組みを制度化する予定です。

昨今、犯行グループの手口が変化してきています。具体的には、法人口座の場合、従業員への給与支払いがある場合には、従業員の生活を守るために口座が凍結されにくいです。この点を突いて、法人口座が本業を行いながら資金洗浄を代行するという不正利用が行われるという手口があります。このように、法人口座が狙われる傾向に切り替わりつつあります。

また、来年から銀行などの預金取扱金融機関で不正利用口座の情報共有が始まることを踏まえ、銀行から資金移動業、銀行から暗号資産のように、他業種を横断した資金洗浄へと移行してきている傾向が見受けられます。当社は、創業時から取り組んでいる業界横断での不正利用者情報の連携を引き続き対応していきます。

官民一体となったマネロン対策

2025年には証券口座の乗っ取り事件が発生しましたが、今年は法人口座における資金洗浄にテーマが大きく変わってきています。いかに法人口座の悪意ある資金移動を発見するかについて、新たな手法をさまざまなお客さまと共に見出しながら、金融庁や警察庁、政治家のみなさまと情報を連携する取り組みを進めていきます。

業績計画

業績計画についてです。具体的な数字を開示できず恐縮ですが、「Grid Data KYC」の商談数が本四半期から来四半期にかけて増加しています。その成果が業績に反映される時期や規模については、いずれかのタイミングで開示したいと考えています。

質疑応答:不正口座共有の整備がビジネスモデルに与える影響について

司会者:「先日、報道で政府がマネー・ローンダリング対策で口座情報を共有する仕組み作りを支援する意向で、全国銀行業界の子会社のマネー・ローンダリング対策共同機構などを念頭に補助金を出し、情報共有のシステムを整備するとありました。仮にこの仕組みが進んだ場合、御社のビジネスモデルに影響が出るのでしょうか?」というご質問です。

島津:政府側で不正利用者の情報を連携する法的な整備が進められ、マーケット全体で不正利用者の情報を随時共有していこうという流れができていることを、非常に前向きに捉えています。

当社は不正口座の連携に加え、その口座との入出金関係があるものを可視化するサービスを提供しています。我々のお客さまである銀行が、マネー・ローンダリング対策共同機構からデータを受け取り、それを委託先として当社に提供いただくことで、お客さまのネットワーク分析がさらに明確になるため、相互補完関係を構築できるのではないかと考えています。

また、このストラクチャーは銀行内だけでの情報共有ですので、すでに不正利用者側にも「銀行と銀行との間で資金移動すると対策を取られる」という情報が認識されつつあります。したがって、当社は資金移動業や仮想通貨の不正利用といった情報を収集し、業界を横断して共有するという取り組みに注力していく必要があると考えています。

結論として、相互補完関係にあると考えてよいと思います。

質疑応答:2028年の売上高とその内訳について

司会者:「2028年の売上高が20億円から22億円というのは、どのような内訳を想定していますか?」というご質問です。

島津:この数字の前提として、2026年は「Grid Data KYC」の数字を入れていません。年率で見た「Fraud Alert」単体のCAGRが直近約14パーセントで推移しており、今後も同様と想定した数字をお示ししています。これに「Grid Data KYC」が加わることで、さらなる増加が見込まれると考えています。

私の見立てでは、年間売上高が約30億円を超えると、営業利益率が40パーセントを超えるかたちになると考えています。売上30億円と営業利益率40パーセントの同時実現を、できる限り前倒しして進めたいと考えています。

質疑応答:政府施策による不正利用口座の共有が、既存顧客に与える影響について

司会者:「不正口座の情報共有の仕組みについておうかがいします。先ほどのご説明では、銀行間で口座情報を連携する仕組みのように聞こえました。既存顧客に影響はないのですか?」というご質問です。

島津:マネー・ローンダリング対策共同機構が公表している情報によれば、各銀行が不正行為と判断した場合、その情報をマネー・ローンダリング対策共同機構に登録する仕組みになっています。既存のお客さまはその登録された情報を受け取り、各銀行で入出金関係がある口座をチェックするかたちです。

ここでポイントとなるのが、共有されるのは凍結された口座情報であることです。最近の犯行手口は、疑義はあるが凍結できない口座を利用するものに変化しています。当社の「Fraud Alert」は、凍結された口座情報をネットワーク分析することはもちろん、疑わしい箇所にフラグを立てておくことで対策を講じています。

口座凍結の判断には幅があり、白、黒、グレーといった区分が存在します。このグレーゾーンを洗い出すのが「Fraud Alert」です。また、「Fraud Alert」のようなモニタリングツールが導入されていない場合、そもそも不正口座として確定する情報が足りないという関係にあります。

不正と確定した口座情報は、マネー・ローンダリング対策共同機構を通じて銀行間で共有されますが、将来的には、グレーな口座や凍結できない口座への攻撃が増加していくと考えています。その内の1つが法人口座です。

当社としては共有に至らない疑義のある口座を発見すること、また、将来的には疑義の段階であっても情報を共有するという流れを作っていきたいと考えています。

金融庁から、金融機関に対して入出金のモニタリングで大きく3点を確認するよう要請されています。

1点目は、ある人物が銀行口座を開設した後、犯罪に巻き込まれた場合や口座名義人が犯罪に加担した際に、すぐに連絡を取り、確認し、口座を凍結できるよう、お客さまの個人情報を常に更新し続けることです。

その個人情報には、学生であるかどうかなどのフラグも含まれています。例えば、19歳の学生名義の口座になぜか毎週800万円以上の入金があったとします。この場合、年間で1億円以上の入金があることになり、学生としては違和感があります。このようにお客さまの属性と入出金データを紐付けて確認する必要があるとされています。

2点目は、「Fraud Alert」が行っているような、不審な振る舞いをしている端末の確認です。不正利用者と特定された口座に何度もログインしている端末を見つけるなど、端末を基軸にした不審な動きをチェックします。

例えば1台のスマートフォンを使い、1つの銀行内で50から60の口座にログインしている場合、この端末は多方面で他社の銀行口座を奪った犯行グループと推測されます。端末を基軸に確認を行うことが必要です。

3点目は、入出金において不審な動きがないかどうかの確認です。例えば、年商5億円の株式会社に60億円以上の入金がある場合、資金洗浄に加担していると疑います。

これら3つの項目を組み合わせ、不審な入出金が発生したら属性情報と照らし合わせ、さらに端末の挙動も確認し、それらを網羅的にチェックするよう指示されています。

今、不正な入出金に関しては新規の商談が頻繁に起きています。すでに「Fraud Alert」でログイン検知を導入していて、ログイン回数の急激な増加が見られる場合などは、入出金の異常も見るべき必要があります。つまり、繰り返しとはなりますが、政府施策による仕組みと当社のサービスは相互補完関係にあると捉えています。

本日はお集まりいただき、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

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