ヤギ<7460>は2026年10月2日、連結子会社の株式会社WEAVAが台湾・台北市に100%出資子会社を設立したと発表した。WEAVAは基幹ブランド「TATRAS(タトラス)」を展開する会社で、ヤギが成長ドライバーと位置づけるブランド事業を牽引している。今回の設立は、TATRASのアジア地域での事業拡大を目的としたものだ。
WEAVAはこれまで、TATRASをグローバルブランドとして育てるため、日本・欧州に加えてアジアでも事業を展開してきた。特に台湾では、POP-UPストアの開催をはじめとする各種マーケティング活動で市場性を検証してきた。その実績を踏まえ、2026年度はシンガポール、台湾、韓国の3市場へ展開地域を広げ、アジア事業拡大に向けた取り組みを本格化させる。新たな台湾現地法人は、アジア事業拡大に向けた重要な事業基盤の一つと位置づけられている。今後は現地での店舗展開、EC、マーケティング、CRMなどを通じて顧客接点を広げていく方針だ。
TATRASは、日本のデザインとイタリアのクラフツマンシップを融合し、プレミアムアウターウェアにおいて独自の価値を追求するブランドだ。ブランドが掲げる「Structural Urban Luxury」は、現代の都市に生きる人々のために、構造的な思考をもとに服を設計するという哲学を表しており、日本のデザインに息づく精密さ、規律、構造的な合理性と、イタリアのクラフツマンシップが培ってきた美しいプロポーション、豊かなデザイン文化、素材の繊細な質感に定評がある。同ブランドの好調はヤギの業績も押し上げている。
今回の設立は、ヤギが2026年4月に始動した「中期経営計画2029」の成長戦略に沿ったものである。同計画の中核となる価値創造モデル「YAGI 140 MOMENTUM」は、従来の垂直統合型のビジネスを循環型へと再構築したものだ。マテリアルとアパレルの2セグメントが生む安定収益を、ブランドとリテールの2セグメントからなる成長事業へ投資し、グループ全体の成長を加速させる。WEAVAはTATRASを各地域の市場特性に合わせて展開し、日本・欧州・アジアをつなぐグローバルな事業基盤を築くことで、ブランド価値の向上と事業規模の拡大を目指す。
総じて今回の発表は、ヤギの成長戦略の要であるブランド事業が、海外展開を本格化させる足掛かりを得たことを示すものといえる。台湾での市場検証の成果を土台に、TATRASのアジア展開は「検証段階」から「本格展開段階」へと移る。今期業績への影響は軽微とされるが、中期経営計画の成長シナリオの進捗を測るうえで、アジア3市場での今後の展開が注目される。
なお、ヤギは1893年創業の繊維商社で、繊維分野を中核とし、「マテリアル」「アパレル」「ブランド」「リテール」の4つのセグメントを柱に事業を展開している。原料段階の糸からテキスタイル(生地)、最終製品やブランドビジネスに至るサプライチェーンを一貫して手掛けており、紡績・合成繊維メーカーや生産工場との協働により高機能・高品質な糸・生地の開発も行うほか、仕入・企画型のODM(相手先ブランドによる企画・製造)、自社ブランドやライセンス商品の開発にも注力してきた。マテリアルセグメントでは糸やテキスタイルの輸出入・販売、ダストコントロール商材、化粧雑貨、タオルなど日用品・生活資材、アパレルセグメントでは衣料品のOEM・ODM、及びライセンスブランド商品の卸売、ブランドセグメントでは自社ブランドの小売・卸売、イタリア・ミラノを発祥とするブランド「TATRAS(タトラス)」の運営、リテールセグメントではNIKEのリテールパートナーとしてNIKEストアの運営も担当している。
大きな強みは、繊維分野に特化した商社として、原材料から二次製品まで幅広いビジネスラインを持つ点がある。幅広い商材とグローバルな調達・販売ネットワークにより、多様な顧客ニーズに対応できる体制を築いている。国内産業向けの天然繊維からファッション素材、生活雑貨、さらにはアパレルブランド・小売までをカバーしており、グループとして複数分野の事業シナジーを生み出すことができる。また、近年は機能性や環境配慮型素材ブランド「UNITO(ユナ・イト)」等への取り組みを強化しており、競合他社に比べてサステナビリティや新技術開発に積極的な姿勢も差別化要因となっている。さらに衣料分野では、国内外の主要取引先に対する提案力やブランド・ライセンス事業にも強みがある。こうした総合力を背景に、業界内では「糸・テキスタイルから製品・ブランドまで一貫して扱える繊維商社」として高い評価を得ている。
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