■ポールトゥウィンホールディングス<3657>の今後の見通し
2. 業務別業績見通し
(1)国内ソリューション
国内ソリューションの売上高は前期比9.5%増の28,362百万円、営業利益は同7.5%増の1,212百万円と増収増益となる見通しである。増収率に比べて利益の伸びが小さく見えるのは、2027年1月期より共通費の配賦基準を変更(主要2社に対する経営管理指導料の料率を変更)したためで、従来基準で試算した営業利益は同69.5%増の1,912百万円と大幅増益となり、営業利益率も前期の4.4%から6.7%に上昇することになる。
分野別売上高について、期初計画ではゲーム分野で前期比7%増、Tech分野で同14%増、CX分野で同6%増とすべての分野で増収を見込んでいたが、直近までの状況を踏まえると、ゲーム分野が同20%弱伸長する一方で、Tech分野とCX分野は若干の減収となる見込みである。
ゲーム分野では、家庭用ゲーム機向けで新作タイトルの開発需要が旺盛なことに加え、競合他社からのシェア獲得も進んでいる。デジタルハーツホールディングスがMBOに伴う公開買付けの成立により上場廃止となる予定であることから、同社は国内で唯一のゲームデバッグを主力事業とする上場企業となる見通しである。上場企業として一定水準以上の管理体制を備えている安心感から顧客に選ばれやすくなり、さらなるシェア拡大につながる可能性もある。
Tech分野では、2028年1月期以降の成長に向けて営業体制を強化(前期の10名程度から40名弱まで増員)したほか、フック商材となるサービスのパッケージ化により受注拡大に取り組んでいく。フック商材の具体例として「ドクターQA」が挙げられる。「ドクターQA」はポールトゥウィンが提供するソフトウェアテストの品質改善サービスで、開発現場における品質課題を第三者の視点で診断し、根本原因の特定から改善までを伴走支援する。CX分野は市場環境がやや厳しいものの、チャットボットなど生成AIとヒトを組み合わせたトータルソリューションの提案などにより、受注拡大や生産性向上に取り組む方針である。
(2)海外ソリューション
海外ソリューションの売上高は前期比10.0%減の18,720百万円と減収を見込むものの、営業利益は651百万円(前期は939百万円の損失)と2期ぶりに黒字転換する見通しである。下期は上期比で売上高が横ばい水準、営業利益率は1.9%から5.1%に上昇する見込みとなっている。第1四半期で事業整理がおおむね完了したことで第2四半期の営業利益率は3.9%まで回復しており、今後もAIの活用による生産性向上や費用コントロール等に取り組むことで、利益率のさらなる改善は可能と見られる。
音声収録やローカライズの需要は堅調で、音声収録についてはロンドンで収録スタジオを増設する予定である。ただ、海外市場はゲーム開発会社のM&Aや開発戦略の変更などが頻繁にあり、受注の先行きが読みにくい点がリスク要因となる。
同社は今後の成長戦略の1つとして、eスポーツを含むゲーム市場で高成長が期待されるMENA地域(中東・北アフリカ)への進出に向けた準備を進めている。2025年7月にSide International HoldingsとSavvy Games Group(サウジアラビア)の間で、サウジアラビアのゲームエコシステムの成長を支援するMoU(基本合意書)を締結し、現地法人の設立やスタジオの開設に向けた協議を、サウジアラビア国外の拠点から進めている。また、中東エリアへのゲーム開発会社の誘致及び誘致後の開発サポート受託に向けた協業について、投資ファンド会社との協議も進めている。今後の地域情勢などを踏まえながら、進出時期について慎重に判断していくと見られる。
このほか、ゲームデバッグ業務でのAIツールの活用に向けて、2026年8月にSide International HoldingsがAIデバッグツールの開発を進めるModl.ai ApS(デンマーク)※と6ヶ月間の拘束力のあるMoUを締結したことを発表した。ゲーム分野ではタイトルごとに世界観や仕様の差異が大きいため、高度な汎用性と精度を両立するAIツールの開発は難しく、開発に取り組む企業は多いものの、現時点において実運用レベルで利用可能なAIデバッグツールは確立されていない。
※Modl.aiはゲーム業界向けのAI駆動型QAソリューションを開発・提供するベンチャー企業で、2018年に設立された。マイクロソフトの子会社やゲーム業界に特化した世界有数の大手ファンドなどが出資している。自律的にゲームをプレイするAIテストエージェントとAI分析機能を活用してテスト中に発生した不具合を自動で検出する仕組みで、テストは自然言語で定義することが可能であり、動画、ログ、再現手順を含む詳細なバグレポートを作成・提供する機能を有している。
こうしたなか、Modl.aiが推進するAIデバッグツールの開発・商業化プロジェクトを6ヶ月間にわたりSide International Holdingsが独占的に主導し、同社が長年培ってきたゲームデバッグの知見と融合することで、業界に先駆けてAIデバッグツールの実用化を目指す。同社では特定のゲーム領域からスタートし、単純な大量反復テストの実行やテスト履歴の記録、不具合発生条件の特定などの工程に同ツールを活用すべく実証試験を開始している。MoUの締結に先立ち、同社は同ツールの実用化などに向けた複数の課題を抽出しており、これらの課題を6ヶ月間で解決していくことになる。また、複数のゲーム開発会社から試験運用に関する問い合わせも寄せられており、数ヶ月後に開始する予定である。同ツールを用いたAIデバッグソリューションが確立されれば、同社の競争力は一段と向上し、国内外でのシェア拡大によって成長が加速していくものと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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