2026年10月17日にログミーFinance主催で行われた、第144回 個人投資家向けIRセミナーの第1部・株式会社サンリツの講演の内容を書き起こしでお伝えします。
本日のご説明内容
柴本守人氏(以下、柴本):株式会社サンリツ代表取締役社長の柴本です。みなさま、本日はお忙しい中、当社の会社説明をご視聴いただき、誠にありがとうございます。短い時間ですが、いただいた機会を活かし、少しでも当社のことを知っていただける時間にしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
本日の説明内容はスライドに記載のとおりです。会社概要、今期から3ヶ年の中期経営計画、今期の業績予想の順にお話を進めていきます。
1-1. 会社概要

柴本:会社概要についてご説明します。株式会社サンリツは1948年3月に設立された物流会社です。2028年には創業80年を迎える予定です。
直近年度の連結売上高は205億円です。従業員数は連結で456名、契約従業員および派遣従業員を合わせると合計で1,000名を超える方々に従事いただいています。国内拠点は関東を中心に10拠点あります。連結子会社は国内に1社、アメリカに1社を有しています。
1-2. 事業概要 セグメント別

柴本:当社の事業をセグメント別にご紹介します。当社の事業の中核を担っているのは梱包事業です。こちらは当社売上の全体の7割を占める主要な事業セグメントとなっています。梱包事業の詳細については、このあと詳しくご説明します。
続いて、運輸事業です。こちらは売上の全体の13パーセントを占めています。当社の自社所有車両は30台弱と決して多くはありませんが、国内の輸送会社と連携しながら国内全般の輸送対応を行っています。
次に、倉庫事業です。こちらは売上の全体の15パーセントを占めており、自社所有の倉庫と外部から賃借している倉庫を合わせて運営しています。
自社所有の倉庫については、一般的なマルチ型倉庫との差別化を図るため、全館に空調を完備し、また、高照度の照明設備を設置しています。
お客さまのお荷物をしっかり安全に守るという観点はもちろん、従業員が働きやすい環境作りにも注力しています。
賃貸ビル事業については、当社本社ビルの運営となっています。
1-3. 梱包とは

柴本:梱包について詳しくご説明します。一般的に包装は大きく2つ、工業包装と商業包装に分類されます。当社が事業として行っているのは、工業包装です。輸送時における製品の保護を目的とした包装になります。
梱包を行う上での重要なポイントを、スライド右側にまとめています。まず、製品をしっかり守り保護するという保護性です。それ以外にも、作業のしやすさといった作業性や、梱包したものがエンドユーザーであるお客さまのもとに到着した際に、お客さまがその箱を開けやすいかどうかも重要なポイントとなります。
したがって、最終的な廃棄処理、廃棄工程に至るまで、お客さまのニーズがどこにあるのかをしっかりヒアリングして拾い上げた上で、そのニーズに最適な設計を行うことが、梱包を行う上で非常に重要な要素であると考えています。
1-4. 当社の提供する梱包形態

柴本:スライドは、当社が提供している梱包形態をまとめたものです。当社は、実際に取り扱う製品の特性や重量に応じて、段ボールによる梱包から木枠・木箱、スチール梱包まで、すべての梱包形態を自社で完結・対応できる点が大きな強みであると考えています。
また、近年ではお客さまの環境意識が非常に高まってきています。そのような背景から、強化段ボールと木枠・木箱を組み合わせたハイブリッド梱包や、リサイクルしやすいスチールを使用した梱包に非常に注目が集まっています。
1-5. 梱包作業風景

柴本:当社が実際に提供している梱包のイメージを知っていただくために、簡単に動画にまとめましたので、ご覧いただければと思います。
(動画始まる)
こちらは当社の横浜事業所で、工作機械や大型設備を取り扱っています。当社の設計部隊が、設計したものを工場内で溶接し、土台を組み上げていきます。このように、大型のものをすべて当社で対応できる点は、非常に大きな強みとなっています。
スチールは木箱に比べて梱包作業時間が短いという特徴があります。また、スチール以外にも用途に応じて木箱を使用した梱包や、大型貨物を特殊コンテナに積み、それを固定する作業も、この工場内で実施しています。
また、梱包したものをそのまま工場内でコンテナに据え付け、そのまま港に運ぶという作業を行っています。工場内でワンストップで一連の流れを展開できることが、大きな強みであると考えています。
現在ご覧いただいているのは、安全管理に関する内容です。大型貨物や高所作業を伴う作業であることを踏まえ、安全管理について非常に意識を払いながら取り組んでいます。
通常、落下防止のために高所作業時には上から吊るす対応を行いますが、対応が難しい物品に関しては、自社で治具を開発し、落下防止対策に取り組んでいます。
また、フォークリフト全車両にドライブレコーダーを搭載しています。製品を取り扱う上での安全管理を徹底するための対策です。
次に、写真管理システムについてご紹介します。このシステムでは、梱包の工程ごとに写真を撮影します。その写真をお客さまと共有するとともに、当社内部でも遠隔で作業進捗をタイムリーに把握することが可能です。
さらに、事業所内には、国際輸送や通関を担当する部署も設置されています。そのため、梱包から通関、さらには国際輸送まで、すべてを1つの拠点内で完結することができます。
以上が、当社の特徴を表した動画になります。少しでもご理解いただければ幸いです。
(動画終わる)
坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながらおうかがいしていきたいと思います。
御社の梱包事業について非常に詳しくご説明いただきましたが、一般の物流会社や他の梱包会社と比較して、御社が優れている点、あるいは真似できない強みについて、もう一度教えていただけるとよりイメージが明確になるかと思います。
柴本:当社は創業78年ということで、創業当初から梱包を中心として事業を継続してきました。この長年の経験を通じて積み上げてきた設計力、特に安全を守るための設計力が、私どもの強みの1つであると考えています。
そのような意味では、後ほどお話ししますが、当社の取扱製品は、より精密な対応が求められる製品群にフォーカスしています。そのため、設計力や技術力において自信を持っています。
坂本:先ほどの動画でも、スチール部分について既存のものをそのまま使うのではなく、一つひとつ溶接を行い、正確に合うようにしている点は非常におもしろかったです。
1-6. 事業概要 取扱製品群別

柴本:取扱製品群についてご説明します。先ほどからお伝えしているとおり、当社は梱包が事業の中核です。したがって、取扱製品は、当社の梱包の強みを最大限に活かせる製品群に注力しています。
スライド下部に記載のとおり、小型精密機器、大型精密機器、医療機器、工作機械といった製品群に注力しています。これら4つの製品群で、当社売上全体の90パーセントを占めています。
特に近年、中でも大型精密機器の取り扱いが非常に大きく伸びています。AI需要の高まりやデータセンターの活況を背景に、半導体製造装置や電力変換装置が非常に大きく伸びており、今期に入っても好調を維持しています。当面、この強い状況が続くと当社では見込んでいます。
また、スライド一番右下に記載の工作機械についてですが、先ほどの動画でもご覧いただいたように、超大型の製品で重量も非常に重いことが特徴です。これに伴い、梱包にはスチールの使用が必須となります。ただし、このような大型製品を扱いつつスチールに対応できる梱包工場は多くありません。
そのような状況の中で、当社は土台の溶接から梱包までをすべて自社工場で完結できる点が、非常に大きな優位性であると考えています。
1-7. 海外拠点

柴本:当社の海外拠点は、現在アメリカのみとなっています。アメリカにおいては、西海岸ロサンゼルス、東海岸ノースカロライナおよびジョージア州のサバンナにそれぞれ1拠点、合計で3拠点に自社倉庫を構えて事業を展開しています。
アメリカでは主に、日系の工作機械メーカーの物流を中心に担っています。日本国内で梱包した製品を海上輸送し、アメリカの拠点で倉庫保管した後、最終的なエンドユーザーに出荷するという国内外が連携した一貫物流のビジネスモデルを構築しています。
1-8. 事業概要 当社の強み

柴本:当社の強みをご紹介します。再三申し上げていますが、当社ビジネスの根幹は梱包です。この梱包を中心に据え、そこにプラスアルファの機能を付加することで、さらに強みを高める取り組みを進めています。
1点目は、国際物流です。当社は輸出の玄関口である横浜と成田に、それぞれ保税蔵置場を構えており、梱包工場も併設されています。倉庫内での梱包から保税・通関、さらに港および空港までの輸送をワンストップで提供しています。
お客さまにとって、コストやリードタイムといった面で非常に高く評価されているポイントです。
2点目は、倉庫内オペレーションです。当社は梱包に合わせて倉庫を構えています。したがって、製品の保管から梱包への一連の流れをより強固なものとしています。
特に倉庫内のオペレーションにおいては、お客さまの貨物の動きや流れが最も目に見える部分です。ですので、倉庫内での作業を通じて、データを収集し、そのデータに基づいたソリューションをお客さまに提案しています。
3点目は、包装設計です。これは当社のコアとなる重要な部分です。社内に包装設計を行う専門部隊を配置し、お客さまのニーズをしっかりと把握した上で、オリジナルな設計を提供しています。
1-9. 事業戦略

柴本:事業戦略についてです。当社はBtoBビジネスに特化し、梱包を中心とした物流会社です。長年培ってきた設計技術や梱包技術を駆使し、付加価値の高い精密機器や医療機器といった製品群に特化した物流を展開してきました。
今後も引き続き、梱包という強みを軸に差別化を図り、総合物流企業として成長を続けていきたいと考えています。
1-10. 過去10年間の業績推移

柴本:スライドは、直近10年間の業績推移をまとめたグラフです。2023年3月期に、連結売上高が初めて200億円を突破しました。その後、中国事業からの撤退により一時的に売上・利益が低下しましたが、前期および今期は増収増益基調を維持しています。
今後も引き続き、増収増益を目指して取り組んでいきます。
2-1. ビジョン(中長期的に目指す姿)

柴本:続いて、今年5月に発表した2027年3月期から3ヶ年の中期経営計画についてご説明します。
当社のビジョンである「オペレーションからソリューションへ」は、従来から変更していません。
当社がこれまで培ってきた物流のオペレーション力をしっかりと維持・発展させつつ、お客さまの課題を物流事業の視点から的確に拾い上げ、ソリューションにつなげていきます。
そして、お客さまにとって真のビジネスパートナーとなることを目指しています。このビジョンは、そうした私どもの思いを込めたものです。
坂本:御社は、顧客の物流事業を包括的に受け持つ4PL(フォース・パーティー・ロジスティクス)サービスを推進されているとのことです。これまでも4PLに取り組まれてきたと思いますが、単なる梱包事業にとどまらず、顧客のサプライチェーンにまで踏み込むことで、御社のビジネスの幅や深さが大きく広がると思っています。
また、この取り組みを通じて、契約期間の継続性や、一括依頼による顧客のスイッチングコストの高さといった効果も期待されると思いますが、そのあたりについてお聞かせいただけますでしょうか?
柴本:おっしゃるとおり、当社は単なる物流オペレーションにとどまらず、その先を目指しています。
従来からお客さま一人ひとりに対してオンリーワンの物流サービスを展開したいという思いで事業を進めてきました。
坂本:「カスタマイズを施す」ということですね。
柴本:そのとおりです。したがって、包括的かつそれぞれのお客さまにとって最適なパフォーマンスを目指す中で、すでにお取引いただいているお客さまとの契約が非常に長期化しており、転注がしづらい状況を作り出せているのではないかと考えています。
坂本:スライド下部に記載の「お客様さえ気づいていない真のニーズを引き出し、解決する」ということに関して、なにか具体例をお話しいただけると、視聴者のみなさまもイメージしやすいかと思います。
柴本:アメリカでの事例をご紹介します。本来、お客さまの製造工場に部品を納入するという仕事でしたが、それまでお客さまの工場には複数のサプライヤーから直接部品が届き、工場内でお客さまがすべての部品管理をされていました。
そこで、「その部品管理を全部うちの倉庫でやりますよ」ということで、部品管理をお客さまの工場から当社の倉庫に移管しました。これが最初のステップとなります。
さらに、これらの部品は製造工程で使用されるものですが、当社の倉庫内であらかじめ使用順に台車にセットし、工場でそのまま使える状態にしてお客さまの工場に納品するというサービスを展開しました。
お客さまとしては、工場をより製造に特化させたいという意向があり、場所や工数の面で当社がすべて請け負うことにより、大きなメリットを生み出せた一例です。このような取り組みを行っています。
坂本:それは、お客さまがどのような業務をされているのか、どのような課題を抱えているのかを深く理解していないとできないビジネスですよね。
柴本:そうですね。それこそ、お客さまの工場の見学をさせていただくなどで見えてくる部分も多いため、お客さまとのつながりは非常に重要だと感じています。
2-2. 新中期経営計画(事業トレンド)

柴本:当社を取り巻く事業トレンドについてです。ポイントは、物流業界における課題として依然として人材不足が大きなテーマとなっている点です。
人材の採用競争が激化する中で人件費が上昇しており、当社ではこの上昇した人件費をしっかりとお客さまに価格転嫁すると同時に、省力化・省人化の取り組みを加速させています。このように、人材不足の状況に対応していくことが物流業界で求められている課題であると認識しています。
当社が取り扱う製品群の各業界については、スライドにまとめていますので、ご覧ください。キーワードとしては、当面の間AIが発展の中心になると考えています。
引き続き、成長が期待できる製品群やお客さまにしっかりとフォーカスしていきたいと考えています。
2-3. 新中期経営計画(事業環境)【2027年3月期~2029年3月期】

柴本:当社を取り巻く外部環境のリスクについてです。当社は輸出を中心に事業を展開しており、梱包においては多くの輸入資材を使用しています。
そのような観点から、当社の事業は地政学リスクを非常に受けやすいと考えています。直近では中東情勢の不安定化に伴い、石化製品の価格高騰や調達の困難といった状況が発生しました。
その都度対応はしていますが、私どもは逆にこのリスクをなんとか機会に転換できないかと考えています。直近の中東情勢の際には、資材の代替や新しいものの提案、あるいは梱包仕様そのものをこのタイミングで見直すといった提案を行いました。
当社では、リスクが存在するものの発想を転換することで、このリスクを機会と捉え、逆に当社をよりアピールできるチャンスにつなげられると考えています。そのような姿勢で事業を進めていきたいと思います。
2-4. 新中期経営計画の概要①(経営目標)

柴本:中期経営計画の経営目標です。最終年度である2029年3月期に、連結売上高235億円、営業利益16億円、営業利益率6.8パーセントを経営目標として掲げています。
直近年度の決算期と比べると、売上高は14.5パーセント、営業利益は54.5パーセントの増加をこの3年間で着実に達成することを目指しています。
2-5. 新中期経営計画の概要②(国内・米国)

柴本:スライドは、国内とアメリカの売上構成比になります。後ほどご覧ください。
2-6. 新中期経営計画の概要③(取扱製品群別)

柴本:取扱製品群の状況です。中期経営計画期間の3年間において、半導体製造装置をはじめとした大型精密機器の取り扱いがさらに力強く伸びていくと見込んでいます。
直近年度では22.4パーセントであった構成比を、最終年度である2029年3月期には28.7パーセントまで伸ばすという計画です。
また、工作機械も当社にとって非常に重要な製品群です。工作機械はシクリカルな動きをする製品群ですが、この3年間は底堅く堅調な動きを見せると考えています。
坂本:大型精密機器の分野を伸ばしていくというお話があり、足元および中期経営計画でも同様の方針であるということでした。この分野については、AIや半導体の需要増加に伴い、物流量が増えているとのことですが、今後もさらに増える見通しなのでしょうか?
また、それに対応するために、御社が行っている倉庫の増設やその他の取り組みについて教えていただけますでしょうか?
柴本:実際、先ほどご覧いただいたように、この3年間を見通しても、まだまだ底堅い動きを見せると見込んでいます。その中で、後ほどご説明しますが、成田に新しい倉庫を建設しています。
今後増加していく大型精密機器の需要を、いかに取り込んでいくかが重要です。そのため、倉庫の建設や、もちろん人員の事前投資も行いながら、取りこぼしがないように対応していきたいと考えています。
坂本:大型の物を運んだり梱包したりできる倉庫は、国内やアメリカでも限られているのでしょうか?
柴本:そうですね。安全設備の対応も含めて重要ですが、それ以上にノウハウが重要な要素です。例えば工作機械の場合、大型で非常に重量があるため、倉庫の床の耐荷重なども重要になります。そのため、新規にどんどん参入するのは難しい部分があると考えています。
坂本:そのあたりが強みなのですね。
2-7. 新中期経営計画の主な施策

柴本:新中期経営計画における主な3つの施策についてご紹介します。まず、1つ目の事業の重点施策として、収益力向上、付加価値の最大化、業域の拡大の3点を掲げています。収益力向上では、国内物流拠点の拡充と既存アセットの最大活用に取り組みます。
付加価値の最大化については、アメリカにおいて倉庫を起点とした高付加価値サービスを展開していきます。国内においては、当社が提供するソリューションの質を高めながら、付加価値の最大化を目指す取り組みを進めていきます。
業域の拡大については、既存事業領域の深化として、この3年間にわたり、既存の取引先やお客さまへのアプローチを徹底的に行う期間にしたいと考えています。
お客さま一社一社との取引シェアを拡大することはもちろん、現状では物流領域の一部しか手掛けられていないケースも多い状況です。この領域をしっかりと広げることで、売上や利益の拡大に大きく貢献できると考えています。
2つ目の基盤戦略としては、サステナビリティの推進にしっかりと取り組んでいきます。
3つ目の財務・資本戦略においては、キャッシュアロケーションを意識し、将来に向けた成長投資と株主のみなさまへの還元のバランスを慎重に測りながら経営を進めていきたいと考えています。
2-8. 事業/重点施策:収益力向上

柴本:収益力向上の具体的な事例について少しご紹介します。国内物流拠点の拡充ということで、今年7月に成田に新しい倉庫が開設されました。当社として、これが収益力向上の大きな鍵を握っていると考えています。また、非常に大きな投資を行った物件です。
この成田の新倉庫を、いかに早期に立ち上げるかが重要な鍵となります。延べ床面積は8,000坪で、大型精密機器をターゲットとして取り組んでいます。
それ以外にも、スライド右上の写真にあるように、約120坪の冷蔵・冷凍設備を備えており、非常に多機能な倉庫として設計されています。
また、上部中央の写真はテーブルリフターになります。通常、トラックから貨物を降ろす際にはフォークリフトやクレーンといった荷役機器を使用しますが、このテーブルリフターを用いることで、それらを使わずにトラックからの荷下ろしが可能となり、安全性に優れた設備となっています。
したがって、大型精密機器や半導体製造装置をターゲットとする中で、安全性を重視して設計された倉庫になります。
7月に竣工したこの成田新倉庫は、現在、半導体製造装置メーカーの貨物を取り扱っているほか、冷蔵・冷凍設備についても非常に多くの引き合いをいただいています。立ち上がりは順調で、計画どおりに推移しています。
坂本:満床になるまでのリードタイムについて教えてください。
柴本:7月に竣工ということで、今期1年目はまずしっかりと立ち上げることを目指しています。ただ、来年度の2年目からはほぼフル稼働するという事業計画のもとスタートを切っていますので、順調に進捗していると考えています。
坂本:既存アセットの最大活用における適正価格の転嫁については、想定どおり進んでいるのでしょうか? もし進んでいない部分があれば、ネックになっている原因を教えてください。
例えば、中東情勢によるコスト面の影響があるのではないかと思います。また、「複数年にわたって転嫁していきます」といった契約が絡んでいるため、もう少し時間がかかるといった理由や、「かなり良いところまできています」といったイメージについても教えていただけると助かります。
柴本:価格転嫁に関して申し上げると、ここ数年でお客さまの意識がだいぶ変わってきたと実感しています。大部分については、こちらから要請したものにご理解いただける事例がかなり増えてきたと感じています。
ただ、残念ながら100パーセントではありません。ご指摘のように多少期間を要するケースや、「もう少し見直してよ」といったケースもゼロではありません。しかし、私どもは当社が提供するソリューションやサービスに自信を持っていますので、引き続きお客さまと粘り強く交渉していきたいと考えています。
2-9. 事業/重点施策:付加価値の最大化

柴本:スライドは、アメリカにおける倉庫起点の高付加価値サービスについてまとめたものです。昨年は、関税政策の影響を強く受け、非常に苦戦を強いられた1年でした。この課題の解決に向けて、まずは米国内ロジスティクスの拡大を進めています。
従来は工作機械の取り扱いがメインでしたが、新たに大型・小型の精密機器の製品群にもしっかりフォーカスし、製品群の幅広い対応を目指す取り組みを進めています。
また、倉庫起点の高付加価値サービスの展開に関して具体的にお伝えすると、当社の倉庫をお客さまのテクニカルセンターとして活用していただけないか、という計画になります。お客さまが製品の修理、リユース、カスタマイズなどを行う際、広大なアメリカ国内では、お客さまによっては1ヶ所しかこのようなセンターを持たない場合もあります。
従来はアメリカ各地から1ヶ所に貨物を集めていましたが、当社の西海岸と東海岸の拠点を活用していただくことで、リードタイムや輸送コストの削減など大きなメリットをお客さまに提供できると考えています。
また、当社としても、倉庫を単なる貨物保管に留めず、異なる活用方法を模索することで、景気の波に左右されにくい体質を構築することを目指しています。
2-10. 基盤戦略:サステナビリティの推進

柴本:サステナビリティの推進についてです。当社の企業理念である「美しく魅力のある会社の実現を目指す」を踏まえ、今後も引き続き推進を図っていきます。
2-11. 財務・資本:企業価値向上に向けた取り組み

柴本:財務・資本戦略です。現状、株価やPBRの向上が大きな課題であると認識しています。そのような中で、企業価値向上に向けた取り組みをしっかりと進めていきます。
特に、効率性の改善についてですが、当社は倉庫を含む多くの固定資産を保有しています。したがって、規模の見直しを含め、投下資本とそれに対する利益をより強く意識した経営を進めていきたいと考えています。
2-12. 財務・資本:キャッシュアロケーション

柴本:キャッシュアロケーションについてです。成長投資として26億円を見込んでいます。この中には先ほど触れた成田新倉庫の建設費用も一部含まれています。
また、経営基盤の強化として、特にこの3年間は人的資本への投資に注力していきたいと考えています。
2-13. 財務・資本:株主還元

柴本:株主のみなさまへの還元については、財務健全性を意識し、安定した配当の継続を目指しつつ、配当性向30パーセントを設定しています。
配当については、2027年3月期において1株当たり38円、中期経営計画最終年度である2029年3月期では1株当たり47円を計画しています。
坂本:御社は店頭公開以降、配当を途切れることなく継続されており、中期経営計画の最終年度である2029年3月期には、1株当たり47円への増配を計画されています。また、配当性向を30パーセントを目安としている点について、少し確認させてください。
業績が上振れた場合の配当の上乗せや、資料に記載されている自己株式の取得検討について、なにか具体的なトリガーがあるのでしょうか? 可能な範囲でイメージを教えていただけると幸いです。
柴本:明確に具体的な数字を持ったトリガーは設定していません。まずは、配当性向30パーセントとしっかり利益を押し上げていくことで、それに伴い配当そのものも着実に増加させていくことを考えています。
その上で、配当性向や自己株式の取得検討については、その時の状況や手元資金、市況などをしっかりと常に注視しながら、適切な時期がきた際に機動的に対応できるようにしたいと考えています。ただし、現時点では具体的なトリガーを設定しているわけではありません。
3-1. 連結業績予想

柴本:今期の業績予想についてご説明します。
今期は、成田新倉庫の稼働による増収や大型精密機器の取り扱い増加により、増収増益を見込んでいます。売上高は220億円、営業利益は13億5,000万円、営業利益率は前期末の5パーセントから6.1パーセントへとしっかり伸ばす見込みです。
坂本:進捗を見ると下期に偏重しそうな印象を受けます。成田新倉庫の稼働もありますので、下期のイメージについて可能な範囲でお話しいただけますでしょうか?
柴本:下期については計画時点で、成田新倉庫の稼働も含めて相当強く見込んでいました。
上期は非常に好調に推移し、私どもの想定以上に早いスピードで伸びていった印象です。一方、下期についてはもともと強気の計画を立てており、その計画に即したかたちで動くのではないかと見込んでいます。
3-2. 取扱製品群別売上予想

柴本:製品群別の状況です。スライドグラフに記載のとおり、大型精密機器が大きく伸びる見込みです。
3-3. 地域別業績予想

柴本:地域別の業績予想です。国内の売上高は202億円、アメリカは18億円と予想しています。
3-4. 配当性向

柴本:配当性向に関しては先ほどもご説明しましたが、今期は1株当たり38円を予想しています。
3-5. 株価チャート

柴本:スライドは参考資料の株価チャートです。現時点での配当利回りは3.14パーセントとなっています。
4-1. サンリツ卓球部の活動

柴本:最後に、当社の卓球部についてご紹介します。直近ではアジア大会で男子卓球が金メダルを獲得し、卓球が大いに盛り上がりました。
当社は女子卓球部を有し、日本卓球リーグ1部で活躍しています。大会への参加だけでなく、地域での卓球教室を開催するなど、地域貢献活動にも積極的に取り組んでいます。ぜひ、当社のサンリツ卓球部へのご声援をよろしくお願いします。
以上が、株式会社サンリツの会社説明となります。ありがとうございました。
質疑応答:第1四半期の営業利益の増加と今後の見通しについて

荒井沙織氏(以下、荒井):「『第1四半期の営業利益が前年の3倍以上に増えた』と拝見しましたが、何が伸びたのか、またこの勢いは続きそうなのかを教えてください」というご質問です。
柴本:第1四半期についてですが、半導体製造装置を含めた大型精密機器が非常に活況を呈していました。これが大きく上振れた要因です。足元では、業界の報告やお客さまとの会話からもこの強い状況が当面続くと見込んでいます。
質疑応答:顧客の分散について
荒井:「主な取引先が工作機械や半導体製造装置メーカーに偏っているように見えます。景気の波や、米国の関税政策の影響を受けやすいのではないでしょうか? 顧客の分散についてどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
柴本:私どもの取扱製品群として、小型精密機器、大型精密機器、医療機器、工作機械についてご紹介しました。小型精密機器と医療機器に関しては、比較的安定した推移を見せている製品群です。
これら4つの製品群で形成される事業ポートフォリオを小型精密機器や医療機器を中心に、景気の波をしっかり吸収できるようバランスの取れたポートフォリオを構築していきたいと考えています。
質疑応答:人材育成について
坂本:「梱包に関しては、溶接を含めいろいろなノウハウが必要かと思います。この技術を有した人材はどのように確保し、育成しているのでしょうか?」というご質問です。
柴本:自社内には梱包技術部という部署があり、そこを中心に社内教育を徹底的に実施しています。具体的には、社内で試験的な取り組みを行いながら技術を向上させています。
また、梱包の組合団体が行っている資格なども活用し、外部の資格と内部教育をしっかりと組み合わせることで、若手の育成に取り組んでいます。
質疑応答:「ワールドスター賞」受賞に至った技術について
坂本:本日はお話に出ませんでしたが、御社は「ワールドスター賞」という梱包に関する賞も受賞されています。これは総合的な評価だと思いますが、どの点が優れているから受賞につながったのでしょうか?
柴本:過去の私どもの受賞事例を見ると、まず環境面でどれほど大きく寄与したかという点が重要です。例えば、設計を変更することで梱包の作業性が大幅に改善したり、従来「木でしかできないよね」と思われていたものを強化段ボールを使った梱包に切り替えたりしました。
そのような設計が評価され、結果として認められるケースが非常に多いと考えています。
坂本:日々の技術革新、つまり進化を続けていくわけですね。
柴本:そうですね。それが積み重ねとなります。
坂本:このようなことをお客さまからのご要望に応じて適用していくと、「御社をずっと使いたい」といったことにつながるのですね。
柴本:おっしゃるとおりです。本当にコストや環境、どこにお客さまのニーズがあるのかによって、提供する梱包が大きく変わります。
坂本:寄り添って対応できることが強みということですね。
柴本:そうですね。
質疑応答:卓球部の設立背景とその役割について

坂本:「御社の卓球部の活躍に驚きました。会社にとっての卓球部というのはどのような存在なのでしょうか?」というご質問です。
柴本:もともとは、学生の採用が難しかった時代に、卓球部を作ることで採用活動を支援することを目的に設立したと聞いています。現在では、選手のみなさまも日中は業務を行い、午後から練習という非常に大変な状況でがんばってくれています。
また、身近に一緒に働いている仲間が大会で活躍する姿を見ることで、社内の一体感が醸成される部分もあるのではないかと思います。
さらに、「サンリツ」という名前を広める役割としても、卓球部は重要な役割を担ってくれています。
坂本:現在も採用が難しい時期に入っていますので、その点でも貢献しているということですね。
柴本:おっしゃるとおりです。
質疑応答:営業利益や純利益の見通しについて

坂本:「今期の予想に関して、営業利益は30.4パーセント増と見込まれています。しかしながら、経常利益は6.4パーセント増、当期純利益は1.9パーセント増と、伸びが良くない理由を教えてください」というご質問です。
私は投資家として、基本的に本業の営業利益が伸びることが最も重要だと考えています。しかしながら、投資家の中には配当性向やPER、EPSで判断する方もいまだに多い状況です。したがって、このような質問が生まれるのだと思います。
経常利益が為替の影響なのか、純利益が法人税の影響なのかなど、さまざまな要素があると思いますが、このあたりについてお答えいただける話があれば教えてください。
柴本:やはり前期と比較して、為替などの影響を多少織り込んでいます。それ以外に特段大きな要因があっての予想というかたちではありません。まずはしっかりと営業利益を上げていきます。当然、それに伴って純利益も伸びると考えていますので、そのようなかたちで進めていきたいと考えています。
柴本氏からのご挨拶
柴本:本日は貴重なお時間をいただき、当社の説明をご視聴いただきありがとうございました。
私どもはBtoB、そして梱包という一見目立たない業界で活動していますが、日本の産業を支えるという強い使命と役割を全従業員が持ち、日々取り組んでいます。強みである梱包を軸に、さらなる成長と事業拡大を目指して進んでいきたいと考えています。
ぜひ本日この機会に当社について知っていただき、引き続きご支援を賜れれば大変ありがたく思います。今後とも何卒よろしくお願いします。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:半導体製造装置や工作機械などの精密機器物流では、大手物流会社を含め競合も多いと思います。御社は梱包技術や顧客密着型の対応を強みとされていますが、実際に案件を獲得する際、競合他社と比較して評価されている点は具体的にどこでしょうか? また、価格以外の要素で受注につながる強みがあれば教えてください。
回答:当社は、製品の特性や輸送条件に応じた梱包設計に加え、保管・輸送・搬入までを含めた一貫対応、お客さまのご要望への柔軟な対応を強みとしています。
また、長年にわたる取引を通じて、お客さまの製品特性や業務工程に対する理解を深め、個々の案件に最適な提案と安定した品質を提供している点をご評価いただいているものと認識しています。
加えて、梱包を主業とする企業には比較的小規模な事業者が多い中、当社は上場企業として、ガバナンスやコンプライアンス体制の面についても評価をいただくケースがございます。
<質問2>
質問:中間配当があるわけでもないのに、9月末に向かって株価が急激に上昇し、10月に配当落ちのように下落してしまいました。この変動要因について知りたいと思います。
回答:株価は、市場環境や需給関係、投資家のみなさまの判断など、さまざまな要因により形成されるものと認識しています。そのため、当社として今回の変動要因を特定することは困難ですが、当該期間に株価変動の直接的な要因となるような開示は行っていません。
