2026年10月15日に発表された、株式会社トーセ2026年8月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
目次
渡辺康人氏:株式会社トーセ代表取締役社長兼COOの渡辺康人です。2026年8月期の決算説明を始めます。
本日お話しする内容は、2026年8月期の決算概要、2027年8月期の業績予想、中期的な課題と今後の取り組みについてです。よろしくお願いします。
業績ハイライト

2026年8月期の事業状況をご理解いただきやすいよう、先に2025年8月期の業績をふまえた当初の想定について、少しご説明します。2025年8月期は、大型タイトルを中心に多数のプロジェクトが中盤工程にあり、開発業務が効率よく進展し、開発売上が順調に積み上がりました。さらに、開発したタイトルの販売に応じて得られるレベニューシェア※が2026年8月期の3倍近く得られたことで、開発トラブルや複数のプロジェクトの中止が重なった2024年8月期の赤字から一気に業績を回復しただけでなく、過去15年間で最も高い利益水準となりました。
それに対し、2025年10月9日に公表した2026年8月期の業績見通しは、ゲーム事業において、複数の大型プロジェクトが重要な終盤工程を迎え、負荷のかかる局面に差し掛かることから、開発工数の投入の割には開発売上が高まりにくい状況にあることや、販売状況に応じて得られるレベニューシェアが見込めるタイトルも少ないこと、さらに、その他事業においても前期の収益に大きく貢献した教育関連コンテンツの開発が前期中に終了したことから、減収減益を想定していました。
このような当初の想定のもと、2026年8月期の事業環境としては、「Nintendo Switch 2」の普及拡大を背景に、家庭用ゲーム機やPC向けのソフト市場が活況に推移しました。当社の収益のウエイトも、スマートフォンゲーム関連から家庭用ゲーム機・PC関連にシフトする中で、2026年2月末に、海外の大手ゲーム会社との大型開発プロジェクトが急な一時停止(再開時期未定)となり、売上の積み上げにブレーキがかかる状況となりました。加えて、その他事業では、前期の収益に大きく貢献した教育関連コンテンツの開発が前期中に終了したことによる反動減等で収益が減少しました。これらの結果、当期の売上高は、前期に比べ減少し、63億1,600万円となりました。
利益面については、当初から織り込んでいたレベニューシェアの減少に加え、海外クライアントとの大型開発の急な停止で、当期の後半に、稼働に大規模な空きが発生したことで売上総利益率が低下し、営業利益は2億8,400万円、経常利益は3億3,200万円と、前期に比べ、大きく減益となりました。
現在、京都府長岡京市に新オフィスビルの建設を進めていますが、建設用地以外の隣接する土地を、2026年8月末日に譲渡しました。これに伴い、約7億4,800万円の特別利益が発生しています。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7億1,700万円となりました。
※開発したタイトルの販売に応じて分配される成功報酬であり、原価を伴わない収益。
ゲーム事業

ゲーム事業についてです。家庭用ゲーム機・PC関連では、前期以前より開発を進めてきた複数の大型プロジェクトが終盤工程を迎えました。開発終盤は、突発的な追加要望等もある中、限られた残り時間で品質追求に取り組む、負荷のかかる局面ですが、適正な管理体制のもと開発は良好に進行しました。うち一部のプロジェクトは期末までに無事完了し、他も2027年8月期前半に完了見込みで、すべて予定どおりの進捗です。これらの開発プロジェクトが、当期の前半を中心に稼働高く推移し、収益に貢献しました。一方で、前期に開始した海外の大手ゲーム会社との開発プロジェクトが、同社の方針転換により、2026年2月末に急な停止となりました。当該プロジェクトにアサインされていた開発スタッフの稼働に、2026年3月以降、大きな空きが発生する事態となりましたが、対策として新規プロジェクトの早期受注やそれらのスムーズな立ち上げなどに取り組み、早期のリカバリを図りました。これらの結果、売上高は47億5,000万円と、前期とほぼ同水準となりました。
なお、営業赤字となった2024年8月期の業績不振の一因にも、進行中の開発プロジェクトの急な中止や失注がありました。その対策として、クライアントの都合によりプロジェクトが中止や中断となった場合、当社の稼働低下に伴う損失を補填いただくことや、プロジェクトの進捗ペースに大幅な変動が見込まれる際は事前に通知してもらうことなどを、クライアントとの契約に盛り込むよう、現在では対応しています。中断した海外クライアントとのプロジェクトは、そのような対応が整備できていなかったタイミングに開始したものであり、契約上、十分な対策がまだできていませんでした。このようなリスクへの対策は、今後も強化していきます。
次にスマートフォン関連については、冒頭でもご説明したとおり当初より、運営業務とレベニューシェアの減収を予想しており、新規開発も家庭用ゲーム機・PC向けを優先し、前期に引き続き、新たな着手はない予定でした。実際、運営業務については、新規開発後、長年にわたり運営に携わってきたスマートフォンゲーム1件が、2026年4月にサービス終了を迎えたことなどから、売上高は前期に比べ11.3パーセント減少し11億2,300万円となりました。
その他はアミューズメントやパチンコ・パチスロ関連で売上高400万円となり、これらの結果、ゲーム事業の売上高は58億7,900万円と、前年同期に比べ2.7パーセント減少しました。
セグメント営業利益については、スライド3ページでご説明したとおり、当初より、複数の主要な開発プロジェクトが終盤を迎えるため一時的な稼働減を織り込んでいたことに加え、前期の第1四半期を中心に家庭用ゲーム機・PC関連、スマートフォン関連の双方において高水準で推移したレベニューシェアが減少することを予想し、減益を想定していました。実際、レベニューシェアの水準は、高かった前期に比べ低下し、前期比減益の主因となりました。さらに、海外クライアントとの開発プロジェクトの停止によって稼働に大規模な空きが発生し売上総利益率が低下したことなどから、当事業の営業利益は2億4,700万円と、前期に比べ60.2パーセント減少の大幅な減益となりました。
その他事業

その他事業では、新規事業の創出に向けて、多角的なフィールドで市場調査やビジネス企画を推進しました。当期においては、薬学部生向けの対人業務シミュレーションツールの開発を大学と共同で進め、2026年10月より実際のサービス提供を開始しました。このサービスはさまざまな業種における対人業務への応用を想定しており、他業種からの知見を得ながら横展開していくビジネスとして注力しています。のちほど概要をご紹介します。エンタテインメント領域においても、音楽を軸としたデジタルとリアルを融合したサービスの企画や、IPの新規創出や活用支援に関する取り組みを進めています。このような取り組みの一部で試作等による収益がありましたが、大筋では、さまざまなビジネスを企画し、収益化に向けた調査や事業計画の策定、パートナーとの調整等の仕込みに軸足を置くフェーズとして活動しました。加えて、前期の売上に大きく貢献した教育関連コンテンツの開発が前期中に終了した反動もあり、当期のその他事業の開発売上は前期を下回りました。
「Nintendo Switch 2」向けに展開している家庭用カラオケ楽曲配信事業の収益は、新規ユーザーが伸びず前期に比べ減少しました。「Nintendo Switch 2」のさらなる普及が新規ユーザーの増加につながるよう、今後に向けた施策に取り組んでいます。
これらの結果、その他事業の売上高は前年同期に比べ26.0パーセント減少し4億3,700万円、セグメント営業利益は前年同期に比べ45.5パーセント減少し3,700万円となりました。
業績予想ハイライト

次に、2027年8月期の業績予想についてご説明します。 当社グループの事業環境の見通しとしては、「Nintendo Switch 2」の普及拡大が続き、新規ユーザーや対応タイトルのさらなる増加が追い風となり、ゲーム産業はより活性化することが見込まれます。また、アニメ、映画、出版等の異業種企業による、人気IPの価値最大化やファンエンゲージメントの強化を狙った、ゲームパブリッシングへの投資加速が見られます。コンテンツ同士の競合は激しさを増すことが予想されますが、当社グループにとっては異業種企業との協業を拡大させる機会と捉えており、そのようなネットワークを活かしてゲーム以外の領域でも事業を展開させていきたいと考えています。グローバル市場においては、日本IPの人気は継続しており、多数のビジネス機会に挑戦していきたい考えです。
このような中、当社グループの2027年8月期の業績は、詳細はスライド4ページでセグメントごとにご説明しますが、売上高は前期に比べ減少し60億円となる見通しです。一方、営業利益はゲーム事業部門の稼働改善等による売上総利益率の改善によって4億1,500万円へ増加、経常利益は4億2,300万円を予想しています。2028年1月に予定している長岡京市の新オフィスビルへの拠点集約に伴い売却する、西大路開発センターの土地・建物の売却益が発生する見込みですが、固定資産圧縮損を計上することで相殺される見込みです。詳しくはスライド18ページ、19ページをご覧ください。
セグメント別概況

セグメント別の業績予想です。2027年8月期においては、当社グループのゲーム事業の開発リソースを一部その他事業でも活用することを加速させ、ゲーム事業とその他事業双方の成長を推進していきます。
ゲーム事業については、数年前から取り組んできた大型の開発プロジェクト2件が完了を迎える予定であり、次に取り組むプロジェクトの立ち上げ、スタッフのプロジェクト移行が引き続き発生する見通しです。プロジェクトの立ち上げは、企画や構想を進めるフェーズであり収益が高まりにくく、売上高は52億1,000万円と減収の予想です。
一方で、2026年8月期の後半に発生した稼働の空きに対しスタッフの配置換えが概ねできていることや、外注費の減少により売上総利益率が改善することで、セグメント営業利益は3億7,500万円へ増益を予想しています。新作とリメイク作品の両面で複数の開発プロジェクトを開始していく中で、安定的な事業運営と収益拡大のバランスを注視し、適切な人員配置で一層稼働を高め、収益性の向上に努めていきます。
その他事業では、先述の薬学部生向けツールのサービス開始や、非ゲーム企業とのパブリッシング事業等、さらなる展開を進めていきます。このように、2026年8月期に仕込みを進めた新規ビジネスの一部で成果が表れることを見込み、売上高7億9,000万円と増収の予想ですが、新規事業開発への投資が続き、セグメント営業利益は4,000万円と、ほぼ横ばいを予想しています。
パイプライン情報

ゲーム事業の今後の収益を牽引する予定の主要なプロジェクトの状況です。
受注済みで、売上が5億円以上見込まれる開発プロジェクトはご覧のとおりです。これまで売上に大きく貢献してきたプロジェクトA、Bが終盤、Cが2026年8月期中に完了し、2027年8月期の売上寄与は限定的となる一方で、新たに3件の開発プロジェクトを受注しており、順次立ち上げを進めています。立ち上げ期は企画や構想などを進めるフェーズであり生産効率がじゅうぶんに高まらず、本格的に売上に貢献するには少し時間を要しますが、今後徐々に収益に貢献してくる見込みです。
なお、2026年8月期の実績にてご説明した、クライアントの方針変更により2026年2月末に停止となったプロジェクトはDであり、現時点では、再開時期は未定です。
株主還元

2027年8月期の配当予想です。
株主還元については、企業体質の強化と新たなビジネス分野への積極的な事業展開に備えるために内部留保資金の充実を図りつつ、株主のみなさまに対し安定的な配当を維持していくことを基本方針としており、2027年8月期においても、年間配当金は25円を目指しています。
基本戦略

事業活動を進める上での、中期的な課題と今後の取り組みについて、ご説明します。
当社グループの、中期的な企業成長の戦略は、前年10月にお示ししたこちらのとおりです。ビジネス面では、ゲーム領域と非ゲーム領域の2つの方向性でビジネス拡大と収益性向上に取り組み、リソース面では、開発技術や生産性の向上および、人的資本の拡充と組織の最適化に注力しています。スライド13ページより、取り組みの一例をご説明します。
基本戦略

ゲーム領域での事業成長と収益性の向上については、マルチプラットフォームでの高品質な開発を軸に、優れた企画提案と堅実なコンテンツ開発力を強みとして、既存・新規、国内・海外問わず、より多くのクライアントから選ばれるパートナーを目指しています。近年の取り組みの成果として、複数のタイトルの発売がクライアントより発表されましたので、ご紹介します。
まず、新作タイトルとして、本年12月3日にスクウェア・エニックス社より発売が予定されています、「ドラゴンクエストモンスターズ4 枯れ木の国のビアンカ・フローラ」を開発しています。
また、リマスター・リメイクタイトルの取り組みとして、本日10月15日にバンダイナムコエンターテインメント社より発売されました、「テイルズ オブ エターニア リマスター」を開発しました。
そして、「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン」は、すでにマルチプラットフォームで展開されていますが、この度新たに「Nintendo Switch 2」版に対応しました。こちらは本年9月10日に発売されています。
いずれも「Nintendo Switch 2」を含むマルチプラットフォームに対応しています。
基本戦略

次に、ビジネス面における非ゲーム領域での新たなビジネスの創出の取り組みについてです。当社グループはこれまで教育関連分野で、さまざまなクライアントとツール開発等の実績を積み上げており、そのような知見を活かせる分野での事業開発に取り組んでいます。また、ゲーム以外のエンタテインメント領域や、IPの活用や創出などの軸で、市場の課題やニーズを捉えたソリューション提供を目指し、企画や商談を進めています。
例としてご紹介するのは、スライド5ページで出てきました、神戸学院大学と共同で開発した、薬学部生の学習を補助するツールです。薬学部生にとって必修であるコミュニケーション実技は、練習環境の確保も難しく、教員のリソース面からも課題があるとのことでした。ゲーミフィケーション技術やAIを活用して、実技練習や教員のフィードバックの効率化、実効性の向上を目指すツールを大学と共同開発し、今月より各方面へサービス開始をご案内しています。このしくみは他の教育分野や企業研修等でも活用できると考えており、水平展開を図っていきます。
基本戦略

リソース面の施策としては、8月24日に発表しました京都府下の拠点集約、進めている新オフィスビルの建設が大きな効果を発揮することを見込んでいます。その投資についてご説明します。
新オフィスビル建設と拠点集約

事業環境のさまざまな変化を捉え、ゲーム事業、その他事業双方の成長戦略を着実に実行していく基盤として、スライド15ページにもあるとおり生産性の最大化、組織の最適化を進めるため、現在建設中の長岡京新オフィスビルに、本社機能の移転を含め、京都府下の拠点を集約させる予定です。
これまで京都府下では、京都本社、西大路開発センター、山崎開発センター、長岡京開発センターに分かれて活動していましたが、1つの拠点に京都のすべての従業員が集結し、開発・営業・管理のリソースをシームレスに共有し、企業価値の最大化を加速していきます。
新オフィスビル建設と拠点集約

具体的な投資効果としては、物理的距離のないスムーズで効果的なコミュニケーションや、風通しの良い職場デザインによる、イノベーションの創出や意思決定の加速で、クリエイティブの深化を図ります。
また、人財の強みを最大限に活かす配置やプロジェクトごとの最適なチーム編成がしやすくなるほか、今後一層推進していくAIを活用した業務プロセスの改善・最適化に、部署や職種間の壁を超え、より柔軟に取り組んでいくことができます。このような変化で、開発のスピードアップなどによる全体的な生産性の向上を狙っています。
業績への影響(会計処理)

関連する会計処理についてです。新オフィスビルの建設と、西大路開発センターおよび京都本社の売却にあたっては、特定資産を買換えた場合の圧縮記帳を適用し、京都本社等売却時の税負担を軽減し、建設資金として活用することを考えています。
圧縮記帳とは、左側のとおり、資産を買換える際、新たに取得する資産の取得価額の一部を損金処理できる制度です。これを適用することで、売却時に発生する利益が圧縮損で一部相殺され、課税利益が縮小されることから、売却時の法人税支払いが小さくなり、新オフィスビル建設のための資金を手元に残しておくことができます。
加えて、右側のとおり、新オフィスビルの取得価額を圧縮したことで、減価償却費が小さくなり、新オフィスビル稼働後の各会計年度で利益が増加します。売却時に繰り延べた法人税の支払いは、このように各会計年度に平準化して支払います。
業績への影響(圧縮記帳適用後)

圧縮記帳をふまえた、新オフィスビル建設と拠点整理に関する、今後の特別損益の発生見込みはご覧のとおりです。
2026年8月期については冒頭でお伝えしたとおり、長岡京市の新オフィスビル建設予定地以外の隣接地の引渡しがあり、7億4,800万円の特別利益が発生しました。2027年8月期には、西大路開発センターの土地・建物の売却による特別利益の発生がありますが、スライド18ページのとおり圧縮損と相殺される見通しです。2028年8月期には、京都本社の土地・建物の売却が実現すると、売却収入が発生する予定ですが、こちらも一部は圧縮損と相殺し、15億円の特別利益となる見通しです。
関連するキャッシュフロー予想

新オフィスビル建設投資と拠点整理に関連するキャッシュフロー予想についてです。通常の事業活動等によるキャッシュフローは含んでいませんので、ご留意ください。
2026年8月に京都本社の売却方針を決議したことで、今回の拠点集約・新オフィスビル建設に係るキャッシュフローの予想がおおよそ明確になりました。2026年8月に引き渡した長岡京市の一部土地に加え、西大路開発センターおよび京都本社の売却によるキャッシュインが、約57億円になる見込みです。一方で、新オフィスビルの建設は、建築費に備品や引っ越し費用などの支出も合わせ、総投資額は約50億円を予定しています。新オフィスビルの具体的な設計が進んでおり、建設費用に関して、継続するインフレ基調や建材コストの上昇等の懸念はあるものの、現時点では、全体の資金収支は想定の範囲内におさまっている状況です。今後、土地・建物の売却実行や新オフィスビル建設の進展により、キャッシュフローの状況がより明確になった際には、適時、その他の成長投資や株主還元への振り向けを検討していきます。
以上をもちまして、決算説明を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
【参考資料】従業員数、⼈的資本に関する施策の推移

ここからは参考資料です。従業員数、⼈的資本に関する施策の推移については、スライド22ページのとおりです。
【参考資料】プラットフォーム別売上(3年平均)の推移

プラットフォーム別売上(3年平均)の推移については、スライド23ページのとおりです。
【参考資料】売上高・営業利益の四半期推移

2024年8月期は次世代ゲーム機発表前の端境期であり、また加速する市場の変化により複数のゲーム関連会社において、開発中または開発したタイトルの評価替えがされるなど、ゲーム開発の方針や考え方の転換が見られました。当社においてもプロジェクトの中止や失注があったことに加え、新規クライアントとの開発プロジェクトでのトラブル等が重なり業績が低迷しましたが、地道に開発技術力の強化を進めてきたことで、2025年8月期に早期に復調し、売上・利益ともに安定して推移しました。
2026年8月期においては、これまで業績に大きく貢献していた複数の主要な開発プロジェクトが終盤工程を迎え、稼働が下降傾向にあったことに加え、第3四半期には海外クライアントとの大型プロジェクトの停止(再開時期未定)により、想定を超える稼働の空きが発生し一時的に業績が停滞しました。しかしながら、新規プロジェクトの早期受注やスムーズな立ち上げなど開発リソースの再配置に注力し、第4四半期には営業黒字へと復帰するなど、持ち直しています。2027年8月期についても、引き続き稼働の早期最適化に努め、安定した売上・利益の成長を目指します。
【参考資料】報告セグメント別 売上⾼・営業利益の四半期推移

報告セグメント別売上⾼・営業利益の四半期推移については、スライド25ページのとおりです。
【参考資料】新オフィスビル建設に係る今後のスケジュール

新オフィスビル建設に係る今後のスケジュールについては、スライド26ページのとおりです。
【参考資料】資本効率性についての方針

資本効率の向上は重要な経営課題の1つです。当社グループでは、特別損益を除いた本業ベースでのROEを安定的に8.0パーセント以上とすることを当面のめやすとしています。
2025年8月期は、同ベースでのROEは8.0パーセントとなりましたが、2026年8月期は大型開発プロジェクトの停止による稼働低下などにより8.0パーセントを下回りました。安定的に、2025年8月期の利益水準を維持することをめやすに、利益の積み上げ、安定した事業運営を最優先に取り組んでいきます。
【参考資料】資本効率性についての方針

PBR、ROEを要素分解し、特に注力して取り組むドライバを明確にしています。
ゲーム領域での事業成長と収益性の向上および、非ゲーム領域での新たなビジネスの創出によって、事業利益を拡大することに努めていきます。
並行して、株式市場における評価の向上を目指し、当社の企業価値の成長ストーリーを、ステークホルダーのみなさまに深くご理解いただけるよう、よりわかりやすい情報開示に努め、双方向の対話を強化していきます。
【参考資料】会社概要

最後に、会社概要です。
質疑応答(要旨)1
Q:2026年8月期の売上は、前期や業績予想に対してそこまで減少していないのに対し、営業利益が特に前期比で大きく減少した理由について教えてください。
A:2026年8月期は当初より、複数の主要な開発プロジェクトが終盤工程に入る想定でしたが、品質を高めるための追加発注等もあり上期を中心に負荷が高まり、多くの外部発注も活用して重要な工程を進めたことが、収益に寄与することとなりました。一方で営業利益に関しては、これも当初より想定していましたが、ゲーム事業における原価を伴わない成功報酬であるレベニューシェアの減少が前期比減益の主因の1つとなりました。加えて、海外クライアント向けの大型の家庭用ゲーム機ソフト開発が2026年2月に一時停止し、3月以降稼働に大規模な空きが発生したことが損失となり、営業利益は前期に比べ、大幅に減少することとなりました。
質疑応答(要旨)2
Q:一時停止となった海外クライアント向けの家庭用ゲーム機ソフト開発について、クライアントとの対話状況や再開の見通し、また2027年8月期の業績予想への織り込み状況を教えてください。
A:クライアントとのコミュニケーションは現在も継続しており、別の開発プロジェクトのご相談もいただいていますが、停止となったプロジェクトについては現時点で再開見込は聞いていません。2027年8月期の業績予想に同プロジェクトの再開は織り込んでおらず、開発リソースの待機はさせず、再配置を概ね終えている状況です。今後、クライアントから再開について相談があった際は、他の開発プロジェクトの進行状況や開発リソースの稼働状況を勘案し、対応を検討していきます。
質疑応答(要旨)3

Q:パイプライン情報に記載の新たに受注された3件のプロジェクトについて、それぞれ開発完了までのプロジェクト全体の売上規模は、これまでに収益を牽引してきた主要な開発プロジェクトに匹敵する水準でしょうか? 完了まで概ね何年程度を見込んでいるのか、開発期間も含めた規模感を教えてください。
A:新たに受注した3件のプロジェクト(EからG)は、これまでの主要なプロジェクト(AからC)と比較するとやや小規模なものも含まれていますが、いずれも開発完了までの累計で売上5億円以上を見込んでおり、今後の売上を牽引していく重要なプロジェクトです。開発期間はタイトルによりますが、2年超から4年程度を見込んでいます。また、現在商談中でまだパイプライン情報へ掲載するには至っていませんが、受注に向けて取り組んでいるプロジェクトの中にはAからCのプロジェクトと同等の規模のものもあります。
質疑応答(要旨)4
Q:長年運営されてきたスマートフォンゲームがサービス終了になったとのことですが、スマートフォンゲーム市場の現状を教えてください。
A:スマートフォンゲーム市場は競争の激しい状態が続いており、大きなヒットとなる新規タイトルを創出するのは非常に難しくなっています。アニメや漫画などを含む既存の人気IPを活用したタイトルは一定のファンを獲得しやすい一方、完全新規のタイトルを定着させることは容易ではありません。当社としては、「Nintendo Switch 2」の新規ユーザーの増加やインディーゲームの活性化などから活況に推移している家庭用ゲーム機・PC向けソフト市場に、開発の軸足を移しています。
質疑応答(要旨)5

Q:薬学部生向けの対人業務シミュレーションツール「VSPシステム」について詳しくお聞きしたいです。
A:大学などの教育機関とのビジネス開発を模索する中で、薬学部生に必修のコミュニケーション実技において、教員の方が患者役となって学生一人ひとりと対話練習をされており、指導の効率面に課題があることをお聞きしました。こうした現場の課題を解決するため、当社がこれまでゲーム開発で培ったゲーミフィケーションの知見やAI技術などを用いて、時間や場所を選ばず反復練習ができる学習支援ツールを、大学と共同開発しました。現在は、全国の薬科大学や薬学部に向けて営業活動を進めています。また、将来的には、医療分野のその他の対人業務や、小売・サービス業における接客研修など、幅広い業界への水平展開を図りたいと考えています。
質疑応答(要旨)6
Q:2027年8月期の業績予想において、売上高は減収の見通しであるのに対し、営業利益は大きく改善することを見込まれていますが、その背景を教えてください。
A:2026年3月以降にゲーム事業で発生した、開発リソースにおける大規模な稼働の空きが、2026年8月期末時点には概ね解消できたことと、主要な開発プロジェクトの終盤工程の対応で増加した外部発注が2027年8月期には減少予定であることなどから、売上総利益率の改善を見込み、営業利益は増益予想です。一方で、2026年8月期まで収益に貢献してきた主要な開発プロジェクト複数件が、2027年8月期の前半に完了を迎え、入れ替わりに新しいプロジェクトの立ち上げが重なる予定です。プロジェクトの立ち上げ期は、企画や構想を進めるフェーズであり、投入した工数の割には収益が高まりにくいことを想定しています。
質疑応答(要旨)7
Q:2027年8月期のレベニューシェアの見込みはいかがでしょうか? 御社が開発されたタイトルもいくつか発売されるようですが、レベニューシェアは期待できますか?
A:10月に発売された「テイルズ オブ エターニア リマスター」や、12月に発売予定の「ドラゴンクエストモンスターズ4 枯れ木の国のビアンカ・フローラ」に続き、今後も、当社が開発したタイトルの発売が予定されています。しかしながら、そうした発売の直後から大規模なレベニューシェアが発生することは想定していません。
以前は開発報酬を抑えてレベニューシェアの条件を有利にし、併せて回収するような収益構造としていたこともありました。近年は、ゲーム開発の長期化や大規模化、高い不確実性などを背景に、受託開発事業の安定化のため、開発に投下した工数分をまず確実に開発報酬として回収することを基本方針としており、プロジェクト赤字のリスクを回避しています。それでも、当社でタイトルの大部分を開発する場合には、開発報酬に加えてレベニューシェアについても、原則クライアントと交渉しています。収益分配の開始時期や比率などの条件は、タイトルやクライアントによって契約内容が異なりますが、タイトル発売直後からレベニューシェアが発生するケースは少ないことなどから、2027年8月期には、大規模なレベニューシェア収入は見込んでいません。一方で、レベニューシェアはプロジェクトの収益性を高める重要な要素であると認識しており、今後もヒットが期待されるタイトルに優先的に取り組み、高品質の開発サービスを提供することを軸に、レベニューシェアの増加を目指していきます。
質疑応答(要旨)8
Q:半導体メモリの価格高騰などから「Nintendo Switch 2」の値上げがありましたが、このような値上げでゲーム機の販売が伸び悩んだ場合、御社の業績にも影響があるのでしょうか?
A:値上げによるゲーム機の販売動向の懸念は一部で指摘されているものの、「Nintendo Switch 2」は足元で安定した普及を見せており、新規ユーザーも増加していることから、現在はゲームソフト販売にとって良好な市場環境にあると認識しています。また、当社が手掛けるソフト開発の多くは、特定の家庭用ゲーム機のみに対応したものではなく、「Steam」などのPCプラットフォームも含むマルチプラットフォームとなっています。このことから、特定のゲーム機の販売動向に多少変化があっても、当社の業績が大きく左右されることは想定していません。
質疑応答(要旨)9
Q:足元の急激な為替相場の変動が、御社の事業や業績に与える影響を教えてください。
A:2026年2月末で海外クライアント向けの大型ゲーム開発プロジェクトが停止した現在、国内クライアントとの円建てでの取引がほとんどであることから、為替変動による業績への影響は限定的です。一方で、円安であることから海外クライアントからの商談はいただきやすい環境と考えており、外貨建ての取引の際には、為替予約など適切なリスク対策を講じていきます。
質疑応答(要旨)10
Q:近年、インフレ基調が定着し、人件費の上昇や原材料の高騰が続いていますが、御社の事業における重要なコスト項目は何でしょうか?
A:当社の提供価値の源泉はクリエイティブな人財にあり、原価の多くは人件費ですが、人的資本への投資と位置付けています。ゲーム業界だけでなく多くの産業でIT人財の獲得競争は激化しており、優秀な人財の獲得と定着を図るため、ベースアップや報酬制度の改定を継続的に実施しており、これは将来の成長の基盤となる不可欠な投資です。他には、AIなどの先端技術への対応や、高品質で効率的な開発を支える、各種ソフトウエアやクラウドサービス、開発ツールに対する支出、投資も増加傾向にあります。
質疑応答(要旨)11
Q:AIはどういった業務で活用されていますか? AI活用による時間短縮など具体的な効果や手ごたえがあれば教えてください。
A:ゲーム開発においては、著作権保護への配慮などからユーザーの目に触れる部分でのAI使用は慎重を期す一方、クライアントとも相談を重ねながら試作やコーディングなどへの導入を積極的に進めています。具体的に他には、アセットの管理やテストプレイの自動化などにも取り入れており、スタジオによっては業務時間削減などの効果が現れています。バックオフィス業務においても、議事録作成や、予算管理・勤怠管理における入力や確認等の処理削減などが進んでおり、全社横断でこうした業務改善を推進していく考えです。
質疑応答(要旨)12
Q:御社を取り巻く事業環境の捉え方と、市場の変化に対応するための今後の取り組み方針について教えていただけますか?
A:ゲームに関する事業環境は、家庭用ゲーム機やPC向けのソフト販売が活況を呈していますが、AAAタイトルにますます多額の開発費が投じられる一方、インディータイトルも人気を集めており、二極化を感じています。また、異業種企業によるゲームパブリッシングへの投資も拡大が見られ、コンテンツ間の競争は一層激しさを増すものの、当社にとっては、異業種企業との協業を拡大する好機と捉えています。当社は、一人当たりの創出価値と生産性の向上を通じて開発プロセス全体の競争力を高めるとともに、主軸である受託開発事業の基盤を維持しながら、自社パブリッシングや、ゲーム以外の領域における新規ビジネスの創出に挑戦していきます。また、AIをはじめとするテクノロジーを柔軟に使いこなしながら、人にしか生み出せないクリエイティビティを高め、その源泉となる人財の獲得・育成に一層軸足を置いていきます。
質疑応答(要旨)13
Q:新しいビジネスの立ち上げなど、今後の事業展開やビジョンについて教えていただけますか?
A:主軸である受託開発による収益基盤を維持しつつ、新たなビジネスの創出に取り組む考えです。ゲーム事業では、受託開発の収益性向上に努めるとともに、自社パブリッシングへの挑戦も視野に入れています。その他事業では、当社がこれまでゲーム開発で培った技術を応用し、教育関連分野や、IPの活用支援や創出、音楽などのゲーム以外のエンタテインメント領域において、市場の課題やニーズを捉えたソリューションサービスの提供を目指しています。足元では、音楽を軸としたデジタルとリアルの融合エンタメ企画や、大手異業種企業とのIP関連の新たな協業など、複数の取り組みを推進しています。将来的には新規事業の売上比率を拡大させたい考えであり、さらなる企業成長を目指していきます。
質疑応答(要旨)14
Q:その他事業での新規ビジネスへの投資が続くとのことですが、どのような投資を考えているのか教えてください。
A:主に、企画やビジネス構築を進める人的リソースの投入を想定しています。将来の、1つの柱となる高収益事業を創出するべく、現在は多方面で仕込みを進めていますが、まだ多くの施策において直ちに収益化へ結びつく段階ではありません。市場のニーズや課題を捉えたソリューション提供を目指し、ビジネスの構想やパートナー企業との調整を進め、事業化・収益化の確度を高めているところです。
質疑応答(要旨)15
Q:ゲームのタイトルクレジットで御社のロゴを見たり、御社から開発実績を紹介されていたりする機会が増えていると感じます。こうした情報発信の強化について、方針や期待する効果を教えてください。
A:受託開発における認知度の向上や新たな取引機会の創出、人財採用面での効果を狙い、開発実績等の情報発信は強化しています。クライアントに許諾いただける範囲で、開発したタイトルなどをご紹介しており、実際、そうした開発実績を見て、当社の開発力に興味を持った新規クライアントからアプローチいただき、受注につながったケースもありました。今後も、開発体制の強化を図るとともに開発実績の情報発信を通して、受注機会の拡大、優秀な人財の獲得に努めていきます。
質疑応答(要旨)16
Q:京都府長岡京市に建設中の新オフィスビルに、京都府下の拠点を集約することによってどのような効果を見込まれていますか? 拠点集約による懸念もあれば教えてください。
A:近年はゲーム開発の大型化が続き、1つのプロジェクトに多大な開発リソースが必要であることから、複数の拠点の開発スタッフが合同で1つのプロジェクトに取り組むことが増えています。新オフィスビルに開発・営業・管理のリソースを集約することで、柔軟なプロジェクトチームの編成が可能になるだけでなく、開発効率性の向上や、活発な交流によるイノベーションの創出など、さまざまなプラスの効果を見込んでいます。また今後注力すべきAI活用も進めやすくなることを想定しています。プランナーやプログラマー、アーティストなど職種ごとに、AIの活用手法や課題が異なりますが、これまで各拠点に分散していた同職種のクリエイターが1つの拠点に集まることで、実践的なノウハウの共有や展開が加速することを期待しています。さらに、職種間でも連携がとりやすくなり、全社的な生産性も向上できると考えています。これまで複数の開発センターに開発拠点を分散していたのは、主に、各プロジェクトの秘匿性担保やクライアントのバッティング防止のためでした。新オフィスビルでは機動的にスペースを区切ることが可能で情報統制に問題はなく、オンラインミーティングやチャットツールが普及したことでクライアントとも柔軟にやりとりができていることから、集約による懸念はありません。
質疑応答(要旨)17
Q:新オフィスビルのキャパシティは、今後の人財獲得方針に照らしていかがですか?
A:新オフィスビルは、現在京都府下に勤務する従業員をすべて収容できることに加え、将来的な人員増加にも対応できるキャパシティを予定しています。しかしながら、今後のAIをはじめとするテクノロジーの進化を見据え、人財戦略としては、単純な人員拡大ではなく一人ひとりの創出価値向上を重視する方針に転換しています。採用では、高い専門性とリーダーシップを備えた人財に重点を置いたキャリア採用をより強化しており、新卒採用は慎重に厳選する方針です。
質疑応答(要旨)18
Q:新オフィスビルによる組織の最適化や事業の加速の効果は、いつ頃発現するご想定でしょうか?
A:新オフィスビルは、2028年1月の稼働開始を予定しており、そこに合わせて組織体制の変革を進めていくことを計画しています。大きな変革となる予定ですので、集約してからの調整も必要になると考えており、2029年8月期(第50期)を目指し、新しい組織体制や業務プロセスを定着させたい考えです。具体的には、拠点ごとに分かれている組織の役割や業務の責任範囲を見直すとともに、最適なプロジェクトチームを編成できる仕組みの導入など、意思決定加速、生産性向上に向けた準備に取り組んでいます。
質疑応答(要旨)19
Q:新オフィスビル建設関連の資金収支に応じて、株主還元への振り向けも検討されるとのことですが、いつ頃、どのような規模を想定されているのでしょうか?
A:現時点の資金計画では、集約による固定資産の売却収入57億円に対し、建設費用や移転に伴う諸経費等は約50億円を見込んでおり、差し引き約7億円の資金余剰が生じる見込みです。一方で、西大路開発センターおよび京都本社の引渡しはまだ先であり、インフレ基調の継続や不安定な国際情勢に起因する原材料価格の高騰など、不確定な要素も残っています。資金収支の状況がより明確になった段階で、さらなる成長投資や株主還元への振り向けを具体的に検討し、お知らせします。
※質疑応答部分は、企業提供の要旨になります。
