アップルペイに気をつけろ。Suicaは手数料狙いの「お布施カード」に

 

しかし最初に実現したのは、日本ではなく香港だった。香港では、地下鉄公社(MTR)など公共交通機関6社が共同出資した運営会社が、非接触ICカード専用の自働入改札システムへの切り替えに取り組んでいた。

その運営会社が提示した条件は、1枚の非接触ICカードで6社7サービスの運用が出来ることだった。その条件をクリアし、競争入札に勝ったのがソニーのFeliCaである。香港では、FeliCaカードは「オクトパスカード」と命名され、その後は提供するサービスもコンビニやタクシー、公衆電話など500種類以上にも増え、香港市民の生活に欠かせないものとなっている

FeliCa(チップ)をハード面から言えば、アンテナとCPUメモリの3つに大別できる。さらに、他の非接触ICカードよりも優れている点は、差別化技術はセキュリティの高さと個人認証・機器認証の速さである。その速さは瞬時と言っていいほどで、駅の出改札口での処理速度は200ミリ秒以下で、1分間に60人が改札を通過することが出来ることだ。

ソフト面でいえば、NFC(近距離無線通信技術)はタッチするだけでつながるユーザーインターフェースになっており、そのNFCにすべてのサービスアプリが繋がっていた。それによってきわめて使い勝手は良くなっていた。

ではFeliCaとは何か。FeliCaの開発者、日下部進氏は私のインタビューにこう答えている。

私がフェリカを作ったのは、もともとたくさんのアプリ(サービス)を入れる「器」としてです。例えば、香港では地下鉄やバスなどの交通系以外にもキオスクや公衆電話、コンビニ、博物館などの電子チケットといったいろんなサービスが1枚のカード(オクトパスカード)で利用できます。そのようなサービスの代金を回収する手段として電子マネーが必要だと考え、私は電子マネーを作ったのです。だから、電子マネーは手段であって目的じゃないんです。

つまり、FeliCaはサービスアプリを入れる」であって、その利便性を高めるために電子マネーがあり、NFCというインタフェースがあるというわけである。香港の成功にともない、FeliCaの今後のビジネスを考えると、ソニーにとってFeliCaを国際規格にすることは当然の帰結である。

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