アップルペイに気をつけろ。Suicaは手数料狙いの「お布施カード」に

 

2007年は電子マネー元年」と呼ばれた。3月に「PASMO(パスモ)」(首都圏の私鉄・地下鉄・バス事業者)のサービスが始まると、4月には「nanako(ナナコ)」(セブン&アイホールディングス)、「WAON(ワオン)」(イオン)の二大流通系の電子マネーが発行されたからである。すでにソニーは独自の電子マネー「Edy(エディ)」(現、楽天エディ)を発行していたし、携帯電話に搭載する「おサイフケータイ」と呼ばれる電子マネー「ID(アイディ)」(NTTドコモ)や「QUICPay(クイックペイ)」(JCBなど)も登場していた。

JR東日本に続いてJR各社もFeliCaのプラットホームを使って、電子乗車券&電子マネーを相次いで発行した。そしてその流れは全国の私鉄バス地下鉄など公共交通機関へと広がっていった

しかし「乱立」と呼ばれる現象が起きる。同じFeliCaカード(チップ)を使いながらも互換性がなかったことだ。流通系はハウスカードとして活用したため、お客を囲い込む必要があったから互換性のないことが必要だった。コンビニなどでは、レジの横に複数の端末を用意してお客が利用している電子マネーごとに使い分けることを強いられた。同じFeliCaカードを使用しながら、この「混乱」は非接触ICカードの普及の妨げになった。こうしたなか、JR東日本が中心になってJR各社および私鉄など交通系から相互利用できるように改善が進められた。いまでは、JR各社を始め主要な公共交通機関は相互利用できるようになった。ソニーが開発したFeliCaの展開は、サービスの提供及び運用面ではJR東日本がイニシアティブを握って進めてきたのが現実の姿である。

そのような状況下で、アップルはiPhone7などの機種でFeliCa対応にすると発表した。しかもSuicaを搭載する、という。誰もが当初、iPhone7でモバイルSuicaを搭載したスマホと同じような使い勝手を想像したのではないだろうか。

しかしFeliCa対応といいながら、アップルの発表を見る限り、私たちが考えるFeliCaとはかなりの差異を感じる

アップルは、もともと「アップルペイ」というNFC(FeliCaとは別規格)を利用した決済サービスを持っている。非接触で決済することから「電子マネー」と思われがちだが、日本で利用されている電子マネーとはかなり違う

アップルペイは、iPhoneのホームボタンに指を置いて指紋認証(個人認証)を行いながら、端末(読み取り機)にタッチすることで決済を行う。しかし決済先はクレジットカード会社に紐付けされており後払いである。つまり、電子マネーのように使っても、決済それ自体はクレジットカードと似ているのだ。そしてアップルは、アップルペイの利用に対し、カード発行会社などから0.15%の手数料をとる

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