騙されるな。「叱らない子育て」でも打たれ弱い子にはならない

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「今時の親は子どもを叱らないから、打たれ弱い人間が育つんだ」などという意見を聞いてしまい、自分の子育てに自信をなくしたこと、ありませんか? 「もっと厳しくしなければ」と、慌てて方針を変えたという方もいるかもしれません。しかし、無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』の著者で教育評論家の親野智可等(おやの ちから)さんは、そのような話には何の根拠もなく、むしろ「叱られ慣れた子ども」の方が自己肯定感が低いため、打たれ弱くなると指摘しています。

叱られて育つと打たれ強くなる?

近頃の若い者は子どもの頃から叱られたことがないから打たれ弱いんだ。ほめられてばかりで叱られ慣れていないから、会社でちょっと叱られると立ち直れず、すぐにやめたいと言い出す。うちの課はそういうのばっかりで大変だよ。これじゃあ業績も上がらないよ。

このような話を耳にしたことはありませんか? 職場の上司が自分の部下について嘆くときよくこういう話をします。私も何度か聞いたことがあります。

あなたは、このような話を本当だと思いますか? これらを真に受けて「やっぱりほめてばかりではいけないんだ。打たれ強くするためにもっと叱らなくては」と思いますか?

実はこういう話は全て作り話です。私はそういう上司たちに聞いてみたいです。「あなたは『やめたい』と言っているその若い部下が、子どもの頃どのように育てられたのか本当に知っているんですか? その部下の親は叱ることが多かったか、ほめることが多かった、本当に知っているんですか? 調べたんですか? どうやって調べたんですか? 親と面談でもしたんですか? あるいは探偵でも雇って調べたんですか?」。

上司にとって都合のいい作り話

このように嘆く職場の上司はたくさんいますが、そのうちの誰一人として、実際に調べた人はいません。そんな暇なビジネスマンがいるでしょうか?

調べてもいないのに、なぜそんなことを言うのでしょうか? それは、1つには世間のみんなが言っているからです。自分の頭で考えることなく、みんなが言うから言っているだけなのです。

しかも、2つめとして、こういう話は自分にとって実に都合のいい話です。自分の部下がイマイチなのは親のせいであり、自分の課の業績が上がらないのは部下の親の育て方が悪かったせいだと言っているのです。

本当に仕事ができて人格も優れた上司は絶対にこんなことは言いません。「自分が預かった若い部下が、やる気をなくしてやめたいと言っている。この部下が自信を持ち、やる気になるためにはどういう導き方をすればいいのか?」と一生懸命に考えます。

間違っても「育てた親のせいだ」なんて言いません。人のせいにするのではなく自分の責任で引き受けて努力します。

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