なぜ織田信長は「部下」に裏切られたのか?経営学の視点で検証

 

ここで少し考えてみたいのは「条件づけ権力」のことで、経営者が事業を成功に導くには人間共通の価値観」とそれとともに日本人の精神性の理解及びその活用が必要なことです。安国寺恵瓊は信長のなかにその欠落を見ており、竹中半兵衛や黒田官兵衛なども直感でもって見切っていたのでしょう。

現代ほど、経営者にとってマネジメントの困難な時代はないと言えます。それは環境変化が激しいためそれも質的変化が絶えず起こっているので、守りの経営だけでは存続がはかれないことです。そのため、経営者は絶えることなく世の変化を見越して意思決定しなければならないという、まったく不可能な状況に追い込まれています。

解決策は「価値観条件付け権力)」、独善防止のための率直な意見を交換できる「経営チーム」の構築、現場への大幅な「権限移譲」です。経営者の行うことは「価値観の確立、「目標評価基準の設定です。あとは現場に大幅に権限を委譲し適時評価しながら現場が適切に目標が達成ができるように励まし支援することです。

GEのジャックウェルチがこの方式を完璧に実践しており、稲盛さん、孫さんも限りなく近い形でマネジメントを行っています。「価値観」の確立とその浸透、アメリカと日本では運用の仕方は異なるのですが「報償権力」の適切な併用が、変革が常態の社会で貴重な人的資源の能力を引き出す唯一ともいえる経営の「知恵」だと言えます。

image by: Wikimedia Commons

 

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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