居酒屋のランチとコムデギャルソン。売れる仕組みの意外な共通点

 

みなさんは「LTV」というマーケティング用語をご存知ですか? 顧客があるサービスや企業に対して支払った総額を表す用語だそうですが、これが中小規模のビジネスを拡大させるうえで非常に重要だと、カリスマ・メンズバイヤーで人気メルマガ著者でもあるMBさんは語ります。それは一体なぜなのか? まぐまぐの新サービス「mine」で公開中のMBさんの記事で、誰もが知る「コムデギャルソン」のビジネスモデルを居酒屋のランチに例えるなど、わかりやすく解説します。

「コムデギャルソン」が世界的なブランドであるワケ

ビジネスをクリエートする「ギャルソン」

LTV」という言葉を知っていますか?

マーケティング用語であるこの言葉はLifeTimeValueの略称であり「顧客生涯価値」と訳されることが多いです。

簡単に言うとLTVとは顧客があるサービスや企業に対して支払った総額のことを指します。極めて基本的なマーケティング用語ですからご存知の方も多いでしょう。「顧客が一生で支払う価値」が「LTV」です。「リピート率」ともちょっと近いのですがこの考え方は中小規模のビジネスを拡大させる上で非常に重要です。

前回までの話の通りですが、20代後半の私はファッションで生涯生きていくことを決め、今までに蓄積されたファッションに関する情報をサービス化させる「KnowerMag」というサイトを作ることを考えました。その際に着目したのが「販売員」だったというのも前回までの通り。8年以上も「販売員」を続けた私ですが、振り返ってみると実は「販売員」はごくごく基本的でシンプルな構造だったが故に、ビジネスについての着想を山ほど頂戴した「MBのアイデアソース」となったのです。

まず販売員というのは当たり前ですが特定のお店に所属させられます。基本的にはそこでどれだけの売上をあげたかが評価の指標となるのですが、ここで当たり前ですが「縛り」が生まれます。それは客層や客数の限界値です。通販であれば距離が関係ありません。全国津々浦々どころか海外までもリーチできるため客数に限界がありません。またユニクロやH&Mなど老若男女あらゆる人に対応できるシンプル・ベーシックブランドであれば客層の限界も存在しません。しかし多くのショップスタッフ、販売員はこのどちらにも「限界」が存在します。

例えば私が最初に所属したお店は「3万円以上の超本格アメカジデニム」や「5万円以上のワークコート」などを扱う極めてマニアックなブランド集積型メンズセレクトショップでした。あなたの周りの男性陣で「ジーンズに3万円払える」という人がどのくらいいるでしょう?客層はかなり限られますね。またお店は田舎新潟の古町という区画にありました。新潟市の人口はおよそ80万人。その中で対象となる人は男性、年齢は20〜40代、古町まで行くことの出来る人・・・などと考えるとその市場規模はかなり限定されます。場所に依存するリアル店舗だけに客数には限界が存在するのです。

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け