沈黙するTPP。安倍総理が「日米FTA」を水面下で要求された可能性

reizei20170221
 

就任早々、TPPからの離脱を正式に宣言したトランプ大統領。一方で、先日の日米首脳会談に同行した麻生副総理とペンス副大統領との間で「日米経済対話」の議論が4月にもスタートすることが明らかになりました。かねてから「日米貿易の不均衡」を主張しているトランプ氏をトップに頂くアメリカは、日本に対してどのような要求を突きつけてくるのでしょうか。米国在住の作家・ジャーナリストの冷泉彰彦さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、アメリカが首脳会談において「日米FTA (2国間自由貿易協定)」を要求してきた可能性は高いと分析。さらに、それは「TPPでもFTAでもない名称になる可能性」も指摘しています。

TPP代替案としての日米FTAの可能性

2月10日から12日にかけて行われた日米首脳会談では、安倍首相とトランプ大統領のパフォーマンスばかりが話題になりました。ですが、その一方で、麻生副総理が同行したこと、そして麻生副総理とペンス副大統領による日米経済対話というのがスタートするというのも重要な問題だと思います。

さて、この「日米経済対話」というのは、一体どんな性格のものと考えたらいいのでしょうか?

  1. トランプ大統領とその支持者は、依然として日米の貿易不均衡に満足していないので、日本に「より譲歩を迫る」交渉が続く。
  2. 80年代から90年代の日米構造協議のように、「アメリカの人材や産業構造に問題がある」という日本からの反論を含めて「日米の経済社会の構造を深く掘り下げて見直す」交渉になる。
  3. トランプ大統領が「ボツ」にすると宣言したTPPのような自由貿易を日米だけで行う「日米FTA」の交渉になる。

ざっと考えて、この3種類の可能性があるわけです。では、そのどのパターンになる可能性が一番高いのでしょうか?

まず2.というのはちょっと非現実的です。80年代から90年代の構造協議というのは、それこそ日本からは「アメリカは中間層の教育水準が低い」などという批判を行い、アメリカから日本へは「日本市場は規制緩和すべき」という批判を行うという「かなり難しい内容でした

現在は、そんな「難しい話題での交渉」をしても「トランプ劇場の観客」には関心を持ってもらえないし、そもそも「トランプ劇場の主役自身がそんな面倒な話を理解しないと思われるからです。

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