科学者が断言。シャンプーに「経皮毒」なんて存在しない理由

 

一番の悪役成分は、実はもう使われていない

まず、一番最初に、「経皮毒」の本やサイトで最も悪者成分として紹介されている「ラウリル硫酸ナトリウム」について話を進めていきましょう。ラウリル硫酸ナトリウムは非常に強力な界面活性剤であり、強力な脱脂作用があります。ネズミの毛をバリカンで刈り取り、ラウリル硫酸ナトリウムを塗布したネズミの大半は糜爛(びらん・ただれること)や脱毛、酷い炎症を起こすことが知られており、経皮毒のサンプルとしてよく紹介されています。実際に人間の肌にも洗い落としがあると、かぶれや炎症を起こすことが多く、そうしたことから、悪の成分として代表的に紹介されています。

しかし、実はこの成分が配合された商品はほとんど使われていません。一部の商品では、塩を取り替えた、ラウリル硫酸アンモニウムという形で使っているメーカーもごく一部ありますが、ナトリウム塩で商品を出しているメーカーはほぼありません

現在は、ラウリル硫酸ナトリウムの代わりに、改良された皮膚刺激性の低いラウレス硫酸ナトリウムを使うのが定石となっています。名前は似ていますが、皮膚への刺激はかなり低いです。こうした成分の変化さえも無視して紹介している本やウェブサイトが氾濫している時点で、情報の信憑性が怪しくなってきます。

ラウリル硫酸ナトリウだろうがラウレス硫酸ナトリウムであっても、理由は後述しますが皮膚から体内に侵入するということはあり得ません。ましてや発がん性といったとんでもない毒性のあるものは、さすがに厚労省が黙っていません(厳密にはエリート研究者揃いの厚労省の外郭研究機関が見過ごさないからです)。

濃度と浸透性

シャンプーの成分は経皮毒と主張するカルトの言い分を紐解いていきます。まず、皮膚から浸透し血中に入るという説。まず、シャンプーに含まれる界面活性剤の成分は、そもそもいいとこ2、3%であるということが大切です。

ずらずらと薬品名が並んで不気味に感じますが98%以上は「水」であるということです。薬品の肌に与える影響は高濃度であるほど濃厚です。これは上記のネズミの実験が如何にぶっとんだものかを示しています。故にシャンプーはあんな価格で販売しても儲けが出るわけで、低濃度であるというのが大事なところです。

この程度の濃度の界面活性剤が、皮膚の角質層をこじ開け表皮から真皮にまで浸透し、その下にある毛細血管から入り込むことなんてあり得るのでしょうか。そしてそれらが肝臓や子宮に蓄積するということはあり得るのでしょうか?羊水がシャンプーの匂いになるんじゃ~とかありえるんでしょうかw

まず、シャンプーに含まれる界面活性剤が頭皮を貫通して血中に入るとします。「経皮毒」の本によると界面活性剤は油脂の一種である細胞膜を容易に貫通し…とありますが、何故、頭に塗ったものが、わざわざ肝臓に溜まるのでしょう。頭皮から血管に入ったら、真っ先に油(リン脂質)の塊である脳に大量に流入し、次々に脳細胞を乳化して破壊していくはずです。しかし脳についての言及はありません。あくまで肝臓に向かうようで、その理由は説明されておりません。謎ですw

次に、そもそも、「経皮毒は蓄積されて毒性を及ぼす、または発がん性物質である」という点です。

まず、体内に蓄積されたり、発がん性のあるものは、化粧品材料として認可を受けることができません。仮に、少しでも疑わしい点が見つかった場合、即座に審査実験が行われ、その安全性を再検討する法整備を含めたシステムが機能しています。また仮に問題が見つかったら、メーカーも自主回収なんて経費の無駄は避けたいので、社内の研究室で徹底的に実験を行っています

近年では、平成22年の小麦加水分解物を配合した「茶のしずく石鹸」での小麦アレルギーによるメーカーによる回収指示や、平成15年のコウジから得られたコウジ酸にマウスでの実験で長期高濃度で使用した場合、腫瘍形成の恐れあり…と使用量の見直しが行われたりしています。マウスの実験は、1~3%もの分量を食料に混ぜて55週間の投与を行い「疑わしい」と言えるレベルのものであり、それでもこうした審査がなされて、常日頃から是正されているという点です。

一般薬局で売られている商品の大半は、問題なく使われて20年以上の実績のある成分が大半であり、それらで構成された商品が本当に「経皮毒」として成り立つには、国がひっくり返るくらいの証拠が必要であるということです。

「経皮毒」の提唱者が言う通りなのであれば、氏の訴えが本当であれば、多くの研究機関や学会が黙っていないでしょう。しかしもう十数年も見向きもされていません。本が売れ、一部の悪質業者にとって都合の良い話が一人歩きしているのが実際であり、その実体は無いと判断するのが「科学的」でしょう。

こうした国の厳しいチェック能力のおかげで、平成になってからは、化粧品に配合可能な成分(や指定濃度の範囲では)著しい発がん性のある成分は出ておらず。そもそもそんな毒性があるものは認められず、長年使われている成分が見過ごされていることなんてことはあり得ないからです。

そしてシャンプーの成分の全ては、こうした試験をパスしたもので作られているので、体に蓄積することも、毒性を発揮することも無いといってしまっても良いわけです。自分のような胡散臭い輩が如何に「インチキだ」と言っても信憑性は怪しいモノですが(笑)。全て、日本の厳しすぎるくらいの審査をパスした成分で構成されている…となればもっと胸を張って「経皮毒はニセ科学」と言えるわけです。だって厚労省を唸らせるだけの研究結果を発表してませんもの。

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