では、見せながら話す時に必要になる表現とは、どういう種類のものでしょうか。ポイントをふたつにまとめるとするならば、
- 見えていることから感じる疑問に答えること
- 見えていることから感じる気持ち、感動を共有すること
だと思います。
まず、話の前提が、見て感じたことになります。逆に言うと、何か言いたいことがある場合、それを、見た目と繋げた表現にする必要がでてきます。
具体的には、例えば、「数の子がたっぷり入った松前漬け」という商品の、数の子がほんとうにたっぷりであることを言いたいとしますね。
映像なしの説明の場合、そのたっぷり具合を説明する表現の中心になるのが、「数の子の割合が50%」など、誰が聞いても理解、納得できる客観情報になるのに対し、映像ありの説明になると、「ご覧ください、見るからに数の子たっぷりで美味しそうでしょ?メーカーによると、数の子の割合が50%なんですって!」
など、「数の子の割合が50%」という客観情報が脇役に回り、「(たっぷりだから)美味しそうでしょ」という、主観的、情緒的な表現が主役になることが、分かると思います。
実はこれ、いままでの世界においても、人気者になるような人の話し方が、こういうタイプでした。聞き手に上手にイメージさせて、まるで目に浮かぶかのような状態を形成しつつ、主観、情緒的表現を中心にするような話し方です。
ものや状況が目の当たりにできてしまう、通信環境の新しい時代では、なおさら、この部分が必要になってくるでしょう。それは、「インフルエンサー」がもてはやされる現在の、延長線上にある近未来です。
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