以前掲載の「探偵が暴露。あまりにも酷い大島商船高専いじめ自殺事件の実態」や「いじめ探偵がNHKスペシャル出演で受けた、脅迫や嫌がらせの数々」でも詳しくお伝えした、いじめを巡っての大島商船高専サイドの不誠実極まりない対応や、関係者による信じ難い行状。今回のメルマガ『伝説の探偵』では当案件を追い続ける現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、さらなる同校の「愚行」を報告しています。
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大島商船高専いじめ事件、学校側アンケートを紛失もしくは廃棄が発覚
以前から追っている「大島商船高等専門学校で起きたいじめ問題および学校による不当処分」で新たな事実が発覚した。
いじめ事件のあらまし
「探偵が暴露。あまりにも酷い大島商船高専いじめ自殺事件の実態」に詳しく書いたが、2017年この学校では併設する学生寮にいた生徒が自殺している。そして、その同部屋であったA君が次のターゲットとなり、暴力や暴言、24時間続く学校と寮でのいじめが続いた。A君はいじめを主導していた生徒から、片眉を半分剃られたり、誕生日に正座をさせられて罵詈雑言を浴びせられるなどしていた。そして、自殺未遂をするまで追い詰められてから、やっと学校が動き出すが、それは隠蔽対策であった。
ただ、学校には「まともな生徒」もいる。A君はその「まともな生徒ら」に助けてもらっていたのだが、今度はその「まともな生徒ら」もいじめの対象となった。
さらに、学校はその「まともな生徒ら」を、処分したり、差別的扱いをしたのだ。
単純に、大島商船高専は、当初のいじめ自殺が連日報道され、事後対応に追われていた。「もういじめは起こさせません」と宣言したのに、同一加害グループによるいじめで「自殺未遂」が起きたことを隠したかったのだろう。彼らには不都合な出来事であったのだ。
NHKスペシャル後の激しい嫌がらせ
その後、どこへ行っても何もできない状況から被害側が私のところにやってきたのだ。ちょうど私はNHK総合の報道局から密着取材(NHKスペシャル)を受けており、報道の力も借りて、このいじめ問題に介入した。
そこで感じたことは、学校の不誠実さといじめに対する無関心さ、そして、その時すでに稼働していた「第三者委員会」のいじめに関する知識の浅さとメディア対応の不誠実さであった。
あまくゆるゆるの調査が行われていたのだが、それでも中間報告ではいじめ被害の認定はしていた。
そのまま放送となったが、さすがいじめが常態化し、何も有効対策をしない学校であり、いじめで処分されない生徒たちである。関係者からの嫌がらせや脅迫は酷いものであった。それは、「いじめ探偵がNHKスペシャル出演で受けた、脅迫や嫌がらせの数々」に詳しく書いた。
学校側の盾「いじめのアンケート」
ただ、妙な感じに思えたのは、学校と第三者委員会の温度差のようなものだ。
その一部を紐解いてみると、この件で主体的に動いていた教務主事(副校長)の一人が「アンケートではいじめはなかった」となっていると被害保護者に説明をしている一方、生徒らの一部は「いじめについて詳しく書いた」と説明していることだ。
さしものずさんな第三者委員会もいつまで経ってもアンケートを持ってこない学校と具体的に証言する生徒らの話を聞き比べ、生徒らの方が正直に話していると感じたそうだ。
結果、学校は他の文書と併せて処分してしまったと言い始めた。およそ不都合な事実(いじめについての証言)があるアンケートを紛失乃至廃棄してしまったというのだ。
しかし、この紛失か廃棄かもわからないというのもおかしいのだ。なぜなら、このいじめのアンケートは、高専機構(国立高等専門学校機構)が定める「機密性の高い文書」となり、その取り扱いは厳重にしなければならない。
つまりは、これを紛失もしくは誤って廃棄した場合は、誰かが必ず責任を取らなければならないという主旨の重要文書なのであり、その管理は厳正であったはずなのだ。
さらに、紛失か廃棄かわからないということは、どこかにあるという意味合いにもなるわけで、本当に誰かが責任を取る事態となれば、「やっぱり出てきましたよ~」となる可能性もあるのだ。
いじめに関する重要資料の紛失や廃棄については、全国的に見てもここのところ発覚するケースが多い。いじめを知らせるメモや自殺をほのめかす内容のメモの紛失でも、大きな問題となった。
今回はメモではない。いじめのアンケートがなくなったのだ。地元メディア、記者らは、「あーあ、隠蔽してますって言っちゃったようなもんだよ」と感じている。
一方、第三者委員会は、この事実を調査中に把握していたが、被害者側には言わなかった。これもこれで、第三者委員会の責任としては大いに問題なのだ。