ソフトバンクが予言。これから10年で起こる「産業界の大変革」

 

見なれた商品やサービスに広がっている大きなビジネスチャンス

IoTに関しては、これから1キロ平方メートルあたり100万台のセンサーが設置され、ありとあらゆる場所の機器がネットワークでつながってくる。そうなると、あらゆる種類のデジタルデータを活用できる時代がやってくる。

ネットワークの進化

ネットワークの進化

2035年までには1兆台の機器がネットワークに間違いなくつながる。遅延もほとんど発生しないので、たとえば自動運転システムが具現化されるだろう。

では、膨大なデータをどうやって活用するのか。そこで必要なのがAIだ。今後20年でデータ量は2,450倍となり、ゼタバイト(10の21乗)というまさにビッグデータの領域に入ってくる。

一例を挙げれば、人間が画像認識をするよりも、AIのほうがもはや勝っていると宮内氏は指摘。人間の正解率95%に対して、AIは97.7%といったデータもあるほどだ。これからAIの進化はより加速していく。

5Gの普及に先んじた、先端的なデジタルデータの活用事例は主に海外にある。宮内氏は、近未来を先取りした海外の具体的事例を幾つか挙げた。

まず、店舗と顧客を結んだ、無人の自動運転による配達サービス。これは、米国のドミノピザが17年にフォードと、今年はソフトバンクが出資する米国ベンチャーのNuroと組んで、自動運転車を活用する実験を行っている。

ドミノピザがフォードと行った自動運転による配達

ドミノピザがフォードと行った自動運転による配達

また、米国の大手スーパー、クロガーもNuroと組んで自動運転での配達に取り組んでいる。既存の車のテクノロジーに、センサーやカメラ、位置情報などが連動することで、人が乗車しなくても目的地まで商品を運搬することが可能になった。

米国4,000都市でサービスを行う、フードデリバリーのドアダッシュは、アプリで注文するとAIで距離による配達時間を即座に算出して顧客と共有、迅速な配達で大きな成功を収めている。アプリにはレコメンド機能や配達人の評価もできるようになっている。

中古不動産物件販売の米国のオープンドア・ラボ。売り手と買い手が不動産仲介業者なしにデジタルデータでつながりAIで価格を査定。最短2日で売買できるというものだ。

ウィーワークは、ニューヨーク発祥のネットで何の手続きもなく簡単にオフィスを借りられる仕組み。世界100都市以上に500を超える拠点を構え、日本には東京、横浜、大阪、京都、神戸、福岡、名古屋にオフィスがある。利用する人数に対応した柔軟なオフィスの提供が可能で、イベントによりメンバー同士の交流もできる。

中国の年間4億人が申し込む保険、Zhong An(衆安)。スマートホンを使ってオンラインで契約を完結しさまざまな種類の保険を申し込むことができる。支払いもスマートフォンで受け取れる。顧客管理、リスク分析、マーケティング、契約から支払いまでのプロセスなどに、ビッグデータ、AI、クラウドなどを活用。

これらのベンチャーは、基本は今までにあったサービスをデジタル化することで簡素化し収益性の高い事業に再構築されて、新しい顧客を開拓している。これはバイオテクノロジーのような見たことも聞いたこともない商品を、ゼロから新たに生み出す性格のものではない。アップデートのやり方次第で見なれた商品やサービスに大きなビジネスチャンスが広がっていることが知られよう。

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