「自立心のある子供に」「友達と仲良く」「悪さをしてほしくない」と思うのが親心ですが、だからといってすべて子供の「先回り」をしてしまうことは、果たして正しいことなのでしょうか。今回の無料メルマガ『子どもが育つ“父親術”』では、「気が済むまでたっぷり甘えさせる」「子供同士のけんかは見守る」「悪いことは止めない」等々、目からウロコながらも言われてみれば納得できる子育て術を紹介しています。
“親心”の罠
子どもが何かしているのを見ると、上手なやり方を教えてあげたくなる。きょうだい・友だちと仲良く過ごせたらいいのに、と思う。自立した子に育って欲しい。良い子に育って欲しい。
だから、失敗しないよう、アドバイス・手助けをする。ケンカが始まったら、止めに入る。甘えさせすぎないよう、気をつける。悪いことを覚えたり、したりしないよう、しっかり躾ける。
ですが、こうして育てられた子は、決して上手にはならないし、仲良くできないし、自立もせず、良い子には育ちません。純粋な親心から出た育て方でも、親心「だけ」から育て方を決めてしまうと、良い結果が得られないことが多い(むしろ、正反対の結果を招くことも少なくない)のです。
必要なのは、親心を持つのと同じくらい、子どもという存在について理解すること。そうして初めて、
- 【親心】×【子どもという存在の性質】=【適切な接し方】
を見つけることができるのです。
「子どもという存在の性質」を具体的に挙げると、たとえばこんな具合です。
- 失敗をいっぱい繰り返して、上手になる
- ケンカをたくさんして、仲良くする方法がわかる
- たっぷり甘えることで、新しいチャレンジに向かう力が湧いてくる
- 悪いことをさんざんやって、時には面白かったり、時には後味の悪い思いをしたりして、「やってはいけないこと」がわかる
だから、【親心】上手にやらせたい ×【性質】の解は、「口出し・手出しせずチャレンジさせて、失敗したら『チャレンジしたこと』をほめて、次のチャレンジを励ます」(→すると子どもはどんどんチャレンジして、失敗の経験を積んで、上手になる)。
【親心】仲良く ×【性質】の解は、「ケンカを止めず見守る。その後で気持ちを聞いてあげて、考えの整理や相手の主張の理解をサポートする」(→それでも子どもはまたケンカする(何度でも!)。長い時間をかけて、他者の考えを理解したり、話し合いで解決したりすることを学ぶ)。
【親心】自立 ×【性質】の解は、「自立に向けてのチャレンジを急かさず、気が済むまで甘えさせる」(→やがていつか子どもは、自分から自立に向けてのチャレンジを始める)。 ※1
【親心】良い子 ×【性質】の解は、「悪いことを止めず、結果を自分で感じて学ぶことを妨げない」※2(→子ども自身で結果を受け止める中で、「これくらいならいいか」「さすがにコレはまずいな」の境界を感じ取っていく)。
となるのです。
※1:甘えさせているうちに、親の側が「甘えさせてあげている自分」から抜けられなくなってしまうケースがあります。子どもが徐々に親離れを始めたら、自分も子離れする覚悟だけはいつでも持ち続けたいものです。
※2:悪いことを「止めない」だけで、「勧める」ではありません。言い方を変えれば「見て見ぬフリをする」でしょうか。
子どもを「親の思うように育てる」ことはできませんが、親が望ましいと思う方向に導いたり親が望ましいと思う成長を支えて促進することは、可能です。せっかく「子どもの成長に立ち会う」という幸運に恵まれたのだから、後悔のない接し方を選んでいただけたら、私もうれしいです。
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