子育てにおいて大事なことは、個性や好奇心を損なうことなく、かつ社会的なマナーも身につけさせること。しかし、電車内や人込みの中で奔放に振舞う子どもを、個性を尊重しながら諭すのは簡単なことではありません。そこが親の悩みどころなのですが…。今回の無料メルマガ『子どもが育つ“父親術”』では、子どもたちの個性・好奇心を尊重することと、マナー教育を両立させる考え方を紹介しています。
躾 vs 個性尊重
「子どもがその人自身として生きる」≒「私(親)は、子どもの個性を尊重する」と考えた時に、真っ先に悩まされることがあります。「そうは言っても、尊重ばかりはしていられない」場面の数々です。
- 歩道でぴょんぴょん跳ねながら左右に蛇行する子ども。どうやら白いタイルだけを踏んで進んでいるようだ。だが、他の通行人・自転車も多く、明らかに迷惑…
- 電車の中で、様々な“発見”を嬉々として話す子ども。「あ、あれパパのと同じケータイだ!」「わ~。特急列車だよー!あの特急はね、スーパーあずさなんだよ」しかし、声が大きい(ほとんど叫んでいる)…
この悩みが現れるときの多くは、「子どもの個性の尊重」vs「周囲への気遣い・マナー・しつけ」の構図を取ります。
こんな時、皆さんはどうしていますか??
個性を大切にして、蛇行を黙認したり「お、特急が見えたんだね」と好奇心を認める返事をするか。マナーを優先して、「まっすぐ歩きなさい」「しー。静かに話しなさい」と言うか。あるいは、両方とも大切にしたいと考えるか(でも、その時の言い方は?)。
私が考える最善の対応は、方針は「両方とも大切にする」で、まず「好奇心を認める」返事をして、次に「マナーを身につけさせる」です。
1.「両方とも大切にする」
これは文字通り両方とも大切だと思うから。公共の場でのマナーは、子どもがその人自身として「この世界で」生きてゆくためにも大いに有用な知識・スキルです。
ただ、個性や好奇心とは違って、マナーに関する知識は生まれながらには持っていません。いろいろな事例を通じて教わりながら、他人を気遣う気持ち(これは本来持っているもの)と掛け合わせて、応用を利かせていければ良いのだと思います。
2.「好奇心を認める」
私の心の中の優先順位では、こちらが上位です。ちょっと大げさですが「どんな理由があっても、子どもの個としての人格を認めないことはない!」とでもいうような気持ちです。
ただし、無闇に褒めれば良いわけではないので注意も必要です。
3.「マナーを身につけさせる」
ここで単に「静かに」と言ってしまうと、「見てー、特急列車だよ」「おお、そうか特急か。静かにしなさい」となってしまい、明らかにヘンですよね。ここでのコツが、「周囲の状況をただ伝える」という言い方。
「見てー、特急列車だよ」
「おお、そうか特急か。でもね、電車の中で大きな声を出すと、他のお客さんがビックリしてしまうんだよ」
子どもも他人を気遣う気持ちは持っています。ただ、周囲の状況を見落としてしまっただけ。思い出しさえすれば、どうすれば迷惑をかけるか・かけないで済むか、子どもなりに考え、振る舞いを改めることができるのです。
いかがでしょうか。
今号では、
- 個性の尊重とマナー教育・しつけは両立する(どちらかを犠牲にしたり、バランスをとったりする必要はない)
- マナーについては、行為の他者への影響をただ伝えるだけで、ほとんどの場合は大丈夫
の2点に共感いただければ嬉しいです。
image by: modchan / Shutterstock.com