そして、トルコ陣営の拡大は、同時に決して報じられることはないが、とても長く大規模に続いている“デモ”と考えられる『クルド人勢力の悲願』を打ち砕く、トルコの宿願を後押しすることになってしまいました。
シリア北東部からのアメリカ軍の突然の撤退の空白を受け、トルコ軍が侵略し、同地域に拠点を築いていたクルド人勢力に一斉攻撃をかけ、形式上、シリアのアサド大統領に批判させることで、アサド大統領の顔を立てて、シリア北東部を“シリアに返還する”という離れ業をやり遂げました。
その背後には、ロシアの動きがあるわけですが、ロシアとしても、トルコのたくらみをサポートすることで、中東地域におけるロシアの進出の遅れを取り戻すという目的を果たせるようになってきています。かわいそうなのはクルド人勢力ということになりますが、国際政治の波間で、完全に無視される形になってしまいました。そう、トルコが長年願ってきたように。
お話しすればいくらでもネタは出てきますが、すでに地域一丸となって力を蓄えよう!と協調をモットーとしてきた中東・アラビア半島は、また昔のように“外圧”によってうまく材料として使われ、不満のマグマが蓄積してきている状態に思われます。もし、このマグマが噴出して爆発するような事態になれば、世界は、それぞれの陣営の背後に陣取る大国も交えた世界的な戦争に突入することになるかもしれません。
その時、笑うのは誰でしょうか?私にはその“答え”が見えてきていますが、あえてここではその名前は明かさないでおきますね。来年以降、また忙しい毎日になりそうな予感です。
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