東京人は「飢え」に備えよ。コロナ下の日本、食料問題の行き着く先は

shutterstock_1330111877
 

新型コロナウイルスの感染拡大のニュースが連日報道されていますが、そんな中、農林水産省が5日、2020年度の食料自給率・食料自給力指標を公表しました。過去最低だった前年度より1ポイント上がったとはいうものの、この食料自給率に異議を唱えるのは、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』の著者であるジャーナリストの高野孟さん。高野さんはそもそも国の自給率の定義がデタラメで、かつ自給率・国産率を高めて貰うよう、国の施策に何かを期待するのは間違っていると指摘します。

「食料自給率1%上昇」の欺瞞。6割以上は輸入頼み

コロナ禍を通じて、全世界のマスクの8割までが中国産であるというグローバル化の裏側の現実を初めて知った我々は、マスクくらいならまだ「アベノミクスのお粗末」という出来の悪いオチを見て苦笑いして済ませられるけれども、こういう事態がもう一歩、二歩と進んで本当に「いざ」という場合が来た時に、食料とか石油とか、生活の根幹をなす物資の確保は本当に大丈夫なのか? と考え込んでしまう。

折しも農水省は8月5日、2019年度の日本の「食料自給率」は過去最低だった前年度より1ポイント上がって38%となったと発表した。1ポイントでも上がったのは結構なことではあるが、それでも食生活の6割以上、3分の2近くを輸入に頼っているという深刻さには何ら変わりはない。

食という生命維持の根幹にこのような脆弱さを抱えていて、どうして安心して暮らしていくことができるのかと、誰もが心配になって当たり前である。

ところがこの問題はそう単純ではない。

第1に、「自給率」という概念自体が極めてあいまい、かつ多義的なので、そこを整理しないで論じるわけにはいかない。

第2に、いずれにせよそこで言われているのは国全体としての自給率の問題で、都道府県別の自給率はまた全然別の心配事を惹起する。

第3に、そこで本当の自給率ということを追い求めて行くと、結局は地産地消、自給自足に行き着くのではないか。

print
いま読まれてます

  • 東京人は「飢え」に備えよ。コロナ下の日本、食料問題の行き着く先は
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け