石破は堂々、菅チラ見、岸田ゆらゆら。総裁選「演説」をプロが辛口分析

 

菅 義偉氏のスピーチ評

官房長官としてお話ししているときよりも、しっかりお声が出ている印象。時間にすると半分くらいは手元原稿を見ながらの演説。冒頭は、ご自身の実績。そして生い立ち。

今回の演説ハイライトは、ここからでした。秋田の農家に育ち、高校を出た後、東京に来て工場で働き、2年後に大学進学、世の中が見えて来て26歳で政治家秘書に。38歳で横浜市議に当選、47歳で国政へ。

ゼロからのスタートをし、総理を目指している今を50数年前に上京した際には想像もできなかった。「私のような一般人でもここまで来ることができたのです」菅さんの立身出世ストーリーが、今また新たな展開に入ろうとしている。「ジャパニーズドリーム」とでも言えますでしょうか、人々からの共感が湧き上がりそうな流れの構成です。もしかするとスピーチライターがいらしたのかもしれません。

その後、再び政権についてのお話でした。立身出世ストーリーで締めた方が盛り上がったかも? お話しぶりは、とつとつと、でも、熱い思いが伝わってくる印象。ジェスチャーはゼロです。菅さんらしい感じです。

途中、水をお飲みになったご様子。一世一代の立候補スピーチ。いつもの官房長官会見とはちがう熱が入っていらっしゃいました。

「しっかり挑戦していきたいと思います」

しっかり、というのは安倍総理が最も使う形容詞。「しっかり」って、どういうこと? そこをお話しいただきたいなあといつも思っていますが、形容詞を使うと一気に言葉の力が落ちる気がします。なぜなら、しっかりとは何がどういうことなのかがわからないからです。

締めの言葉は「国民のために働く内閣を作りたいと思います」。次はぜひ「作ります」と言い切っていただきたい! リーダーが決意を表明する際に「思います」と言ってしまうと、「思ってるだけでやらないかも」と聞こえるからです。※これを「思います禁止令」とずっと前から私は命名しております。

唯一、時間オーバーなしで完了された菅氏。原稿を見ないでお話になったら、もっと「自分の言葉」が感じられたと思いました。

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