WHOや国連の「中国支配」が止まらぬ訳。3割占める中国人が自国優先

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新型コロナウイルスを巡っては「中国寄り」とも取れる発言が問題視され、習近平政権との親密ぶりも報じられたWHOのテドロス事務局長ですが、中国が触手を伸ばしているのはWHOだけにとどまりません。今回のメルマガ『NEWSを疑え!』では軍事アナリストの小川和久さんが、中国が既に4つの国際機関の事務局長ポストを押さえている事実と、さらにその数を増やそうという姿勢が各国から顰蹙を買っている現状を紹介するとともに、その動きを「極めて戦略的と見る必要がある」と指摘しています。

国際機関に網をかける中国

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:WHOをはじめとする国連機関やそのほかの国際機関で、中国出身者がトップとなる、中国の拠出金が大きな割合を占めるなど、中国の存在感が際立っています。小川さんの考えを聞かせてください。

小川:「自民党の議員連盟は8月27日、国際機関のトップに閣僚経験者を送り込むことを検討するよう提言をまとめました」

「事実、中国はさまざまな国際機関に手を出し、自国に有利な意思決定を進めています。今年になってからで言えば、ひと騒動あったのは新型コロナウイルスで注目されるWHO(国際保健機関)です。事務局長はエチオピア出身のテドロス・アダノムですが、彼の姿勢が中国寄りすぎで、新型コロナへの対応が遅れた、とアメリカを中心に批判が噴出しました」

「中国は、国連にある15の専門機関のうち四つの機関──FAO(国連食糧農業機関)・UNIDO(国連工業開発機関)・ITU(国際電気通信連合)・ICAO(国際民間航空機関)にトップを送り込んでいます。比率は26.6%で、あと一つ押さえれば3分の1の機関のトップが中国人となる状況です。世界にはアジア・欧州・アフリカ・北米・南米・オセアニアの6地域(南極除く)と200近い国があり、推定人口約78億人ですから、人口14億人(世界の18%)の中国だけで2~3割以上を占めるというのは、はっきり言って多いですね。それだけでなく、さらに国際機関のトップを占めようとして各国から顰蹙を買う事態になっています」

「2020年2月以降にWHO問題がクローズアップされ、アメリカのトランプ政権が批判を強めたので、中国が国際機関に手を出しはじめたのは最近のことと思うかもしれませんが、そうではありません。あとで述べるように21世紀に入って数年たったころからトップを狙う姿勢を強めています。国際社会に貢献するといった〝きれい事〟ではなく、戦わずして勝つ“三戦”(輿論戦・心理戦・法律戦)にも通じるきわめて戦略的な動きと見なければいけません。以下、WHOの問題から見ていくことにします」

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