なぜ自民党と争わない?『枝野ビジョン』外交・安全保障の危険性

 

(5)自衛隊もポスト冷戦に向けて再編

それまでの間、現行の日米安保条約はもちろん堅持するが、一部に議論が出ているような「集団的自衛権」のなし崩し的な拡大解釈によって自衛隊を域外での作戦行動に従事させるようなことは、冷戦時代への逆行であり、認めることはできない。仮に上述のような「極東有事」を発生させないような外交努力が実らず、米軍が日本を基地として第三国に対して作戦を行う事態が生じた際には、あくまでも現条約第6条に沿って、まず事前協議の対象とした上で、その基地提供義務とそれに伴う物資役務提供の取り決めに従って協力する。

こうした方向をとる中で、自衛隊のあり方も大いに見直す必要があろう。私は、2010年の段階では、自衛隊は、海空兵力を中心とした精強な国土防衛隊と、それとは区別して主に陸上兵力によって編成され訓練された国際平和協力部隊、および機動力を持った災害救援部隊とに再編されるべきだろうと考えている。国際平和協力部隊は、日本の国益とは無関係の立場で、国連のPKOや将来創設されるかもしれない東アジアの共同警察軍などの活動に積極的に参加する。

いずれにしても、外交・安全保障の中心目標は、「紛争解決の手段として武力を用いない」という日本国憲法および国連憲章の精神がますます広く行き渡るような世界を作り出すために、先頭に立って行動し、そのことによってアジアはじめ世界から信頼される国になることである。


これが、旧革新あるいは左翼とは異なるリベラルの外交・安保政策の競い方の一例である。そこに知恵を発揮することなく、最初から外交・安保は「中心的な対立軸にすべきでない」と言ってしまっては、そこですでに「政権交代」の意味は半減する。

もちろん枝野も、地位協定の改定、辺野古新基地建設の中止を言ってはいるけれども、「日米同盟基軸」の下でそれをどうやって現実化していくというのだろうか。「日米同盟基軸」の自民党政権だからこそ何十年かかっても出来てこなかったことを、同じ「日米同盟基軸」の立憲民主党中心の政権だとどうして出来るのか。まったく冗談としか思えない。

また「核兵器禁止条約」に関しても、「まずはオブザーバー参加の余地はないか」と中途半端なことを述べている。自民党政権がこの条約の批准に後ろ向きなのは、フクシマまで含めれば3度まで核被爆を体験した国として「核なき世界」実現への先頭に立つという世界史的な使命感よりも、目先の対米「核の傘」依存の方が大事だと思っているからだが、同じ「日米同盟基軸」の下では立憲民主党もまた核抑止力論の幻想から逃れられないのではないか。

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