福岡30万円カツアゲいじめ事件「学校擁護が7割」報告書の異常な中身

 

到底納得できない被害者

被害側はこの報告書を見て愕然とした。ただ1つわかったことがあった。

それは、この第三者委員会のメンバーが誰だったのかの記載があったということだ。

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実は、被害側が第三者委員会の設置を求めた際、すでに常設の第三者委員会は調査に入っているということを知った。

本誌では再三別の記事でも書いているが、国が定めたガイドラインでは第三者委員会を設置するときは少なからず被害側への説明や合意を取り付けるように要請をしている。

また、いじめ防止対策推進法立法時には、第三者委員会の中立公平性は、被害側から見てのことであり、この担保のためにしっかり対応しなければならないことが、話し合われているのだ。

ただし、これを無視して勝手に進めたり、設置をしないと勝手に決めてしまう自治体はあるのだ。少なからずと表記したいところだが、少なくはないと言える異常な状態が発生している。

本件においては、早々に第三者委員会の中立公平性を担保するためにも、委員が誰かを明らかにするように求めていた。しかし、市教育委員会の回答は「報告書に記載します」であったのだ。

被害者側の大きな懸念は、加害グループの中心人物が教職員一家であり、その長とも言える人物が、地元教育行政においては大いに力があると判断できる立場にいることであった。

そもそも、報告書に市の教育委員会の対応や学校の対応が記載されるということは、学校や市の教育委員会自体も調査対象になった ということを意味する。

この調査に当たる上で、人事交換や連携があると一般的に考察できる県に関連する職業の人物が委員になることは、その段階で懸念されるべきことになり得る。

私は一般企業の不正問題などで調査役を務めることもあるが、第三者委員会における中立性の担保としては論外であるし、その委員会のガバナンスの維持という観点では不可能と判断せざるを得ない。

そもそもの設計で、事務局は市の教育委員会ということになるが、調査対象に当たる組織が、事務局をしたり、設置権限を持つということ自体がナンセンスなのだ。

いじめの内容については、過小評価しつつも結果的に否定できないほど酷いものだということから認めているが、これでは、被害側が大いに不満が残り、さらに、この調査量、その体制はどこの調査委員会をとっても不十分かつ杜撰と言わざるを得ないものであった。

2021年7月9日現在、被害者の少女は今の気持ちを再調査権限のある市長に知ってもらうために、吐いたり、泣いたりしながら、手紙を書いている。

この声が届くかは未知数であるが、一応の専門家として付け加えるとすれば、「こんなふざけた対応は、加害者のためにも、傍観者のためにも、学校全体のいじめ防止のためにもなっていない。ましてや、被害者の立場になってを、全てにおいてのいじめの対応の大前提とするいじめ防止対策推進法を守っているとは言えないのである。こんなもののために、市民も血税を使うのであれば、いっそのこと、全部やめて子育て難しい自治体ですと宣言した方がいい。そうでないのであれば、今すぐ、全ての見直しを含め、教育行政としての根本的な問題を調査し改善する権限を持つ特別委員会を設置し、可及的速やかに問題に対応することが望ましい」

まあ、今できていない首長ができるとは思えないが。

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