福岡30万円カツアゲいじめ事件「学校擁護が7割」報告書の異常な中身

 

常任の第三者委員会はもはや第三者ではない

いじめに関する第三者委員会には大きく分けて2つの種類がある。

多くの人は個別のいじめに対して第三者委員会を設置するものをイメージするであろうが、2021年現在は市区町村、都道府県といった自治体の教育委員会直下に組織される「常任の第三者委員会」の方が多くなっているのだ。

いじめ防止対策推進法でも、委員会を常設することで、個別の委員会設置で問題となりやすい設置までに要する期間の問題などを解消できるのではないかと期待されていた。

その背景には、腐っているところが多いとは聞くが、それでも公務員である以上、法律の要請にはしっかりを従い、常識を逸脱するようなことはしないであろうと思っていた節がある。しかし蓋を開けてみたら、常設される委員会には、法律の専門家がいなかったり、いても学校関係者であったり、専門性があるとは思えない民生委員のおばちゃんが名だけ貸しているというものが出てきたりしたわけだ。

現状を見ていると、常設された第三者委員会は、構成メンバーの開示に応じなかったり、関係者の聞き取りがほとんどされなかったり、会議をいつしているのか不明であるといった秘密会である問題を含め、関係者が委員に入ったままという第三者性を一発で損なう問題が多発しているのだ。

そもそも、これは、中立公平性の判断基準を教育委員会が持つのだという専横的思い込みが根本問題だと言える。

なぜそれがダメなのかという指摘は専門的に学術的にもできるが、小学生でもわかるように説明すれば、いじめ問題は各校など様々な学校で起きる。

つまりは、その関係者は多発するいじめにおいては、件によって多岐に及ぶわけだ。

実は加害者の親戚が委員であたる人物であったということも発生し得るわけだ。もちろんその逆もある。仮に、その委員にあたる人物が正義感にあふれ物事の融通が利かず、一切の人間関係を切ることができるような人物で、親類縁者だからといって容赦なく物事を判断することができるとしても、物事の担保とは、その人間性のみで判断するのではなく、各条件の中で中立と言える関係性が重要になるわけだ。

常設委員会で素早く対応していくというのは異論はないが、生命の危機や財産上の被害など深刻な被害である重大事態いじめにおいて、しっかりとした調査を進めていくには、この委員会の第三者性や中立公平性は全てにおいての基礎になるのだから、メンバーが中立公平かどうかについては、少なからず被害側には確認を取らなければ、その土台がないことになるわけだ。

ここまでだと加害者の関係者がという観点で考えがちだが、仮に、被害者の父親と委員が友人であったり、仕事関係では上司部下に当たる関係であったらということも、設置の権限がある教育委員会などの学校の設置者は考えなければならないということだ。

その実、私のところには第三者委員会の委員となってほしいという要請が毎月あるが、私は被害側の相談を受けて動いてしまっている関係上、教育委員会が認めていても、中立性の担保は難しいと考えて委員を辞退している。また、私は被害側につくことが多いため、いじめ被害側の人間だというイメージが強くある。交渉などが始まると中立的な位置になることも多いが、こうしたイメージから、被害側と加害側に争いのあるいじめ行為の認定で、被害側有利の結論を出せば、そこにどんなにエビデンスがあっても、加害側は私が居ることで被害側に有利になったのだと言いやすいであろう。

こうした側面からも、すでに関与している案件でなくとも、中立性を担保してもらうためには、私は委員になるべきではないと考えている。

ただし、会の中立性担保のために被害側推薦委員がどうしても必要なのだという場合はその限りではない。

ここで言えることは、エリート意識の強い教育関係者が、その実、馬鹿にしてみている探偵稼業が本業の者ですら、センシティブで重要なことだと思え説明できることへ、配慮の気配すらないのが、強引な常設委員会の専横なのである。

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