退職代行サービスに潜む危険なワナ。悪徳業者にダマされぬための注意点

 

このような慰留ハラスメントを避けたい人や、職場の人間関係が悪いためにそもそも退職を言い出しづらい人、出勤自体が苦痛で今すぐ辞めたい人などを中心に利用が広がっているのが「退職代行」サービスだ。文字通り、依頼者に代わって退職手続を代行するサービスであり、依頼者は会社側と一切コミュニケーションをとる必要がなく、精神的プレッシャーやハラスメントと無縁で退職できることを売りにしている。

「自分で選んで入った会社なのに、自分で辞めると言い出せないなんて根性がない!!」

「『逃げの転職』を助長するのではないか!?仕事を引き継ぐ人の立場も考えろ!!」

などと、このサービスの存在自体と利用者のマインドを疑問視する声は以前から存在するが、一方で退職代行へのニーズは根強いものがあり、利用者数も拡大基調にある。民間調査機関の調査によると、20代~30代における退職代行サービスの認知率は63.9%におよび、「退職代行の利用を検討している」と回答した割合が44.7%、そして「辞めるときには退職代行を利用する」と確定的に回答した人は約2割も存在していることが明らかになった。実際に、専門業者や弁護士事務所など運営母体は様々だが、退職代行を名乗るサービスはすでに30以上も展開しているのだ。

【日労公式】退職代行の認知率は63.9%「退職代行サービスに関するアンケート」結果発表

サービスの流れ自体は各社ほぼ同様だ。Webサイトのフォームや電話、LINE等で問い合わせをおこない、雇用形態や退職希望日、退職にあたってのハードルや悩みなどを伝える。打ち合わせ終了後、代行業者に料金支払を済ませれば、依頼者は会社や上司と直接やりとりをすることなく、自動的に退職手続が完了するという仕組みだ。ちなみに料金は専業の代行業者で2万円~5万円程度、弁護士事務所が運営するサービスではその料金に+1万円~3万円といったところが相場のようである。また「退職できなかった場合は料金を全額返金する」との保証をつけているところがほとんどであった。

会社側と直接やりとりする精神的負担を忌避したい利用者にとっては、全ての手続きを代行してくれ、返金制度もあるのならば、利用のハードルも低いに違いない。実際、各業者は「退職は労働者に認められた権利」として、辞めることは自由であり、基本的にトラブルも存在しないと謳っている。では、はたして退職代行は本当に低リスクのサービスなのだろうか。

「退職代行サービスを運営している母体は様々」と先述したが、実はこの母体の違いによって、各社が提供できるサービスの幅にも違いが出るのだ。しかも、場合によっては法律に抵触するリスクも存在する。ここからは、退職代行サービスの適法性について検証していこう。

現在、退職代行サービスを運営している母体は大きく「民間業者」「労働組合」「弁護士事務所」に分類できる。このうち、もっとも対応可能領域が広いのは「弁護士事務所」だ。彼らは退職希望者から委任を受けた代理人として、退職意志伝達のみならず、有給休暇の買い上げや退職日調整、未払金支払いや損害賠償請求など、あらゆる交渉をおこなうことができるためである。その代わり料金はもっとも高額で、基本料金に加えて別途相談料や、未払金が回収できた際の成功報酬などが発生する可能性がある。

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