辛坊治郎氏、海上であわや爆発炎上の危機!沈没を回避した偶然の出来事とは?

辛坊さん①
 

無謀とも言われた大阪・淡輪港~アメリカ・サンディエゴ間の太平洋単独ヨット往復横断を、4ヶ月半をかけ見事に成功させたジャーナリストの辛坊治郎さん。しかしその航海中、何度も身の危険を感じるトラブルに襲われたと言います。そんな辛坊さんは今回、先日掲載の「辛坊治郎氏のヨット船内に軽油が流出の大ピンチ!初日に受けた太平洋の“洗礼”」に引き続き、一歩間違えば確実に命を落としていたというアクシデントを、自身のメルマガ『辛坊治郎メールマガジン』で紹介しています。

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往路の航海で恐ろしかった事

さて、シリーズ「太平洋横断で怖かったことワースト5」、今日はワースト2です。

【関連】辛坊治郎氏のヨット船内に軽油が流出の大ピンチ!初日に受けた太平洋の“洗礼”

「ガスボンベ爆発の危機」

これに気が付いた瞬間、まさに背筋が凍りました。

太平洋横断を終えるまで「素人のクルーザー乗り」だった私は、出航前、今思い出しても冷や汗が出るほど覚悟も技術もなく、大した波でもないのに搭載品が船内を縦横無尽に暴れまわることに驚愕するほど、出航後1週間くらいまではすべてにおいて「何が何だか分からない」状況でした。

船内の物品の固定もいい加減でしたから、船が大きく揺れるたびに様々なモノが船内を飛び交い、どこから発生しているのか分からない騒音と轟音に船内は満ちていました。

その後、大きな音の発生源を一つずつ探し当てて音を消して行く作業こそが、私が「まともなクルーザー乗り」になる第一歩だったように思います。

音は重要です。積載品に由来する音があらかた消えた後、船内で異音が聞こえる時は、トラブルの予兆であったり、トラブルそのものであったりするわけで、その音に対処することが命に係わる問題を解決する最も効率のいい方法だったんです。

勿論、冷蔵庫の中の瓶が触れ合う音とか、元々スウィングする構造になっているコンロが揺れる音などのように、「放置しておいても大丈夫な音」は航海中ずっと続くわけですから、ヨット乗りがヨットの魅力を説く時に吐く決まり文句の「エンジンを切ると風と波の音だけが聞こえてくる」なんて状況にはなかなかなりません。

往路の航海前半はとにかく、私の荷物の積み込み方が悪かったことや操船ミスに起因する異音が船内に満ちていたんですが、航海後半になると、すぐに対処しないと航海が危うくなるような異音はほとんどなくなりました。

そんな航海後半のある日、船が大きくローリング(船が左右に揺れること)する度に「ゴツッ」と何か硬いものが船体に当たる音が船内に響き始めたのです。

これは一大事です。明らかにハル(船体)を構成するFRPの外殻そのものに何かが衝突している音が聞こえるんです。ローリングの度に規則正しく音がしますから、ハルに近い場所に収納してある重量物がハルに当たっていることは間違いありません。

ところがその音の発生源が分からないんです。放置しておいてハルが損傷するのは何としてでも避けなくてはいけません。

可能性のあるものとして頭に浮かんだのは、スタン(船尾)ロッカーとコックピット(操船場所)ロッカーに収納してある二つの予備アンカーと船底に収納してあるバッテリーでした。共に10キロを超える鉄と鉛の塊で、ローリングの度に船体に当たる可能性があります。

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