【書評】元証券会社社員が書く、老後を見据えた人向けの投資指南

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年金制度に対して全幅の信頼を置くことが難しいと言わざるを得ない今、頼りになるのはこれまで積み上げてきた自己資金とこれから受け取る予定の退職金、という方も少なくないと思われます。ではその大切な資産、どのように運用すべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』で取り上げられているのは、元証券会社社員のフィナンシャルアドバイザーによる、老後資産の安全な運用法を紹介した一冊。何より大切なのは「減らさないこと」に尽きるようです。

【一日一冊】老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門

sk20211112老後資産の一番安全な運用方法 シニア投資入門
西崎努 著/アスコム

著者は証券会社の社員だったので、証券会社は業績を上げるために、担当者にノルマを課して、顧客に手数料の高い商品を売りつけている実態が垣間見れる一冊です。

証券会社社員の反応には3種類あって、たんたんと商品を売ってノルマを達成する社員と、顧客のためにならない商品を売ろうとしない社員がいます。ノルマを達成しないということは、出世を諦めていることになります。

3番目の証券社員は、そうしたジレンマに耐えきれずに、証券会社を辞めて独立して顧客のためにアドバイスをする道を選びます。ただ、独立して十分な収入を得られるかどうかは保証されません。著者は最後の道を選び、独立系フィナンシャルアドバイザーとなったのです。

証券会社は…新規公開する企業の要望に沿ってなるべく高値で株を売ろうとします…販売する担当者としては、顧客に損をさせたくない。(p99)

投資の運用コストは最大でも年1%以下。株式より債権。儲けようとしないなどシニア投資として老後を見据えた人向けに良心的で妥当なアドバイスだと思いました。

若い人であれば、30年、40年といった長期投資できるので、上下するリスクがあっても長期的に成長が期待できる株式投資はインフレ対策としても合理的なのです。その一方で、10年20年で資産を使っていくであろう高齢者は、資産を増やすのではなく減らさないことが大事なのです。

退職金で数千万円の小金を持ったときも証券会社や銀行の担当者の言いなりにならず自分で勉強したうえで、お金の配分を考えたいものです。

減らさないことが第一です。収入も時間も限られている中で、高いリターンを狙うのは失敗したときのリスクがあまりにも大きすぎます。(p49)

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