アメリカ国防総省も恐れる、中国「サイバー民兵」10万人の脅威

 

その危険性を欧米諸国が非常に重大な内容だと自覚していることが分かるエピソードが最近、英国でありました。

日経新聞でも報じられましたが、お読みなったでしょうか?

英国国際戦略研究所(IISS)で行われたMI6長官(ムーア氏)が、通常の秘密主義の方針を変えてまで、中国によるサイバー攻撃、スパイ行動、情報操作、そして情報遮断が無視できない脅威となり、今、同盟各国はサイバー対策を強化し、連携を強化する必要があることを強調する演説を行ったことです。

内容的には、100%そのまま受け取ることができないと私は考えますが、このムーア長官の異例の演説は、同盟各国間の連携を高めるための情報操作と世論対策という側面はもちろんのことながら、中国が国際安全保障に対して与える脅威が、もう看過できるものではないレベルにまで高まったことを示していると思われます。

ちなみに台湾有事が起きうるタイミングはいつかといえば、いくつかのシナリオが考えられます。

一つは、来年の全人代で習近平国家主席が再選されて3期目を務めるという前提であれば、2024年1月の台湾総統選挙時でしょう。

蔡英文総統もしくはほかの民進党のリーダーが有利であることが分かったら、台湾封鎖や台湾への侵攻が実行される可能性があります。

そうなると、米国などが反応する前に、台湾が中国の手に堕ちることになりかねません。

物理的な侵攻を限定的なレベルにとどめ、作戦のほとんどを情報操作や不安の造成、世論の操作と政治不安の演出などでの内部からの破壊で遂行することで、想定以上に短期間で勝負がついてしまうかもしれません。

そしてこのシナリオの不都合な真実は、物理的な侵攻が起きなかった場合、米国をはじめとする中国包囲網は反撃の正当性を示しづらい状況に追い込まれるということです。

それを防ぐためには、台湾や米国などに対するサイバー攻撃を何らかの形で感知することができれば、迅速な対応と反撃を加えておく必要があります。

菅前総理がバイデン大統領との間で結んだ首脳宣言で台湾へのコミットメント強化を約束していますが、介入が遅れると、もう巻き返しがつかない事態に陥るかもしれません。

海底ケーブルが切断された場合の即応策も準備しておく必要があるでしょう。

二つ目は、仮に習近平国家主席が3期目を迎えることが出来なかった場合、次のリーダーへの権力移行のプロセスの中で、台湾への侵攻のタイミングが早められるかもしれないシナリオです。

今のところ、あまり考えづらいのですが、仮にこのシナリオになったとしても、すでに人民解放軍の戦略支援部隊による戦略は出来ており、よほど次のリーダーが反対して方針を覆さない限りは実行に移る可能性があります。

しかし、この場合、日米などが黙ってみているとは思えず、何らかの対抗策を講じてくるでしょう。

そして、同時にこのシナリオが成立しているということは、中国お得意の情報操作が逆に日米などのサイドから仕掛けられ、中国国内で習近平国家主席を失脚させる方向に動いたということも予測できるため、中国を止めることが出来るようになるかもしれません。

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