アメリカ国防総省も恐れる、中国「サイバー民兵」10万人の脅威

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先日掲載の「『米は中国を止めることなど出来ぬ」米中首脳会談の直後ある筋から届いた衝撃の一報」等の記事でもお伝えしているとおり、台湾を巡り激しいつばぜり合いを展開し続けている米中両国ですが、習近平政権は“台湾併合”に向けた準備を着々と進めているようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、中国が仕掛けんとする「ハイブリット戦争」の全貌を白日の下に晒すとともに、台湾有事が起きうるタイミングについて考察。さらにこれまでほとんど語られてこなかった、日米を始め各国が台湾を防衛する側につく理由を明らかにしています。

【関連】「米は中国を止めることなど出来ぬ」米中首脳会談の直後ある筋から届いた衝撃の一報

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New Typeの紛争を仕掛ける中国の戦略と危機

「もう大規模な軍事的侵攻は必要ではない」

先日、私も参加した国際安全保障系の会議で出た発言です。

これまで戦力といえば、陸海空軍をイメージし、そこに大量破壊兵器(Weapons of Mass Destruction)であるABCまたはNBCで略称される核・生物・化学兵器を扱う特殊な部隊が加わる内容でした。そこに最近、宇宙軍とサイバー対策軍が加わってきました。

それらをすべて駆使した新しい戦争を、最近、ハイブリッド戦争と呼んでいるのは、皆さんもご存じかと思います。

特にロシア、北朝鮮、中国…などの国々発のサイバー攻撃が世界各地で多発してくると、アメリカ軍や英国軍などではサイバー部隊を、総合安全保障戦略を担う組織に格上げする動きが活発化しました。日本の自衛隊も、規模こそ小さいとされるものの、サイバー部隊の編成を本格化しています。

日本周辺の地域、つまり朝鮮半島や台湾、南シナ海などで、安全保障環境が大きく変わり、そして地政学リスクも変容してきています。

表向きには米中対立の激化によって、台湾海峡が米中開戦の舞台になるのではないかとの話題ですが、この台湾をめぐる両陣営の攻防は、実は大いにハイブリッド戦争の様相を呈していると言えます。

先の発言は、中国関係の参加者から出たものですが、その裏には、「台湾有事の際には、国際社会が全面的な反応をする前に、短期的な地域紛争として片づけてしまいたい(台湾を併合したい)」という“本音”が見え隠れしているように感じます。

言い換えれば、米国や日本、そしてその同盟国が軍事的な介入をし、本格的な戦争にまで発展してしまう前に台湾を取りに行きたいという意図でしょう。

どうして日中米はもとより、欧州各国も台湾にこだわるのかはまた後で触れるとして、先に挙げたような“意図”を実現するための手段は、「物理的な攻撃を最低限にとどめ、メインはサイバー攻撃やフェイクニュース、そして噂の流布などを絡めた情報戦を組み合わせた戦略」である【ハイブリッド戦争】であると考えられます。

中国でそれを全軍的に支えるのが中国人民解放軍の中で格上げされた17万5,000人規模の戦略支援部隊と、軍の支持を得て作戦を遂行するAPT40(民間のハッカー集団からなるサイバー攻撃グループ)などの10万人規模の“サイバー民兵”と言われています。

アメリカの国防総省もその存在を恐れており、「台湾有事の際には、このサイバー部隊が台湾世論に影響を及ぼし、台湾に対する政治戦および心理戦の中心を担う」と分析し、急ぎ対策を練っているようです。

この戦略支援部隊は、1999年に人民解放軍大佐らが発表した『超限戦』という論文で示された【政治、経済、文化、思想、心理など社会を構成するあらゆる要素を非軍事の戦力として用いる】という考えから2015年に生まれた部隊ですが、これは予てより戦略として存在する「興論戦・心理戦・法律戦」(合わせて三戦)のコンセプトをより情報戦の実戦で用いることを目的とされています。

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