売り上げ過去最高の衝撃。ジャパネット2代目「脱カリスマ経営」の全貌

 

商品選びから売った後まで~「脱カリスマ経営」とは?

脱カリスマ経営2「社員に任せる」

明の時代、仕入れでも頼っていたのは明の直感だった。何をどれだけ仕入れるかはすべて明が決めた。バイヤーの役割はメーカーと社長をつなぐだけだった。

「ABC案があって『どれがいいですか社長』と聞かれ、うちの父が『Bがいいね』と言うと『Bでいきます』というのが、父が好むやり方でした」(旭人)

それに対して旭人は、バイヤーに権限と責任を持たせた。特別大きな案件でなければ、社長の決裁なしで仕入れを可能にした。

掃除機担当のバイヤー、種村塁が日々チェックするのは、購入した客のコメント。「ダスト容器が小さすぎてすぐいっぱいになる」「もう少し重くてもいいからバッテリーを長持ちタイプに」という声をメーカーに伝え、改良を要望するのもバイヤーの仕事だ。

「いい声はどんな声か、悪い声はどんな声か。それをメーカーとも共有して『次のモデルではこうしていきましょう』というのを行っています」(種村)

この日は新商品を社長に確認してもらうことに。種村がメーカーに要望して、ジャパネット専用に改良してもらった日立のスティッククリーナーだ。LEDライトを白から緑にかえた。緑の方が床のゴミがくっきり見えるのだという。

「『生活を変えられた』と実感できたときに喜びを感じます」(種村)

脱カリスマ経営3「商品を選び抜く」

旭人は社内に、ジャパネットで扱う全ての商品を展示するスペースを作った。社員がいつでも実物を確認できるようにするためだ。また、以前は商品数が8,500もあったが、それを最大でも777点までに絞った。

「ここにあるものしか売らないというルールです。うちを信じて買ってもらった方が『いまいちだった』というのは嫌なので、結構厳しく絞っています」(旭人)

そのメリットはネット通販にも波及している。以前は写真が主だったが、すべての商品に動画を掲載。特長がひと目で分かるようにした。

東京・江東区のジャパネットコミュニケーションズ。コールセンターに掃除機のお手入れに関する問い合わせがあった際は、オペレーターが客と同じ商品を持ってくる。本体からダストケースを外し、実際に手に取って説明。商品数を減らしたことで一つ一つの商品に詳しくなり、丁寧さがアップした。

脱カリスマ経営4「売った後まで丁寧に」

以前はテレビでの明のトークに魅かれて商品を買っていた客が多かったが、テレビ通販で買った客にカタログを送ることを徹底し、リピーターを獲得。今やカタログやチラシによる売り上げが全体の4割を占めている。

さらに売った後にもこだわった。その象徴が自前の修理部門。スタッフを各メーカーに派遣して研修を受けさせ、修理の8割以上は自社でできるようにした。メーカーに修理を頼むと1~2週間かかるが、それを3日ほどで客に送り返せるようにしたのだ。

「ジャパネットである意味とか、ジャパネットで買っていただいた方を裏切らないためには、みんなでジャパネットのこだわりを共有する。アイデアを出し合う」(旭人)

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