「糖質を制限すると筋肉は減る?」糖質制限食の提唱者に聞いてみた

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炭水化物を控えたり摂取しない「糖質制限食」はダイエットなどでも注目されていますが、脂肪だけでなく筋肉も減ってしまうのではないかという話も聞こえてきます。真相はどうなのでしょうか。糖質制限食の提唱者としても知られる医師の江部康二先生が、メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』で読者の疑問に答えています。先生は摂取カロリーが充分で適度な運動量を保っていれば筋肉は減らないと「糖新生」への誤解を解きます。その証として、100m走などの最高強度以外のほとんどの競技でパフォーマンスが向上しているとする論文の存在も示しています。

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糖質制限で筋肉が減る?

Question

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「糖質を制限すると筋肉から無理やり糖質を作り出して、それが血液に流れる。なので、糖質制限をすると筋肉も減る」。このような意見をよく見聞きしますが、正しいのでしょうか?

江部先生からの回答

これは「糖新生」についてのよくある誤解です。糖新生は、普通に糖質を摂取している人でも、肝臓・腎臓などで日常的に行っています。例えば、睡眠時などの長時間の空腹時は、誰でも糖新生しています。

すなわち、全ての人類は、700万年間の進化の過程で、赤ちゃんも小児も大人も、誰でも毎日普通に糖新生しているのです。当然、糖新生で、筋肉が減るようなことはありません。糖質制限食実践中の人は、糖新生が、さらに活発になるというだけのことです。

カロリー制限をすると筋肉が減る可能性がありますが、糖質制限は「高タンパク食」になるので、日常生活のなかで適度の運動量を保てば筋肉は減りません。
運動量は、
男性で「8000歩/日、その内速歩20分」
女性で「7000歩/日、その内速歩15分」
が目安です。

そして、糖質制限食で将来の糖尿病発症が予防できます。肝臓・腎臓などで、アミノ酸、乳酸、グリセロール(中性脂肪の分解物)などからブドウ糖を作ります。これを「糖新生」と言い、人体は自力でブドウ糖を生産できるわけです。

従って、「必須アミノ酸」「必須脂肪酸」はありますが、「必須糖質」はありません。国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では、「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同じ意味)の理論的な最小必要量はゼロである」(☆)と明記されています。

実際には、普通に三食糖質を摂取している人でも、睡眠時や空腹時は、誰でも糖新生しています。このように糖新生は「特殊な現象」ではなく、ごく「日常的な生理的活動」の一つなのです。糖質制限食実践中の人は、糖新生が、さらに活発になるというだけのことです。

糖質摂取開始後数時間くらいまでは心筋・骨格筋の主たるエネルギー源はブドウ糖です。食事開始後から2時間くらいまでは、身体は食事由来のブドウ糖を利用します。2時間経過すると肝臓のグリコーゲン分解で血糖値を保ちます。

糖質摂取開始後数時間くらい経過すると、肝臓の糖新生で血糖値を保つようになりますが、その頃には心筋・骨格筋など体細胞の主たるエネルギー源は<<脂肪酸-ケトン体>に切り替わっていきます。

従って糖質を普通に摂取している人においても、夜間睡眠時や、日中の空腹時は、心筋・骨格筋などの主たるエネルギー源は、実は<ブドウ糖-グリコーゲン>ではなく<脂肪酸-ケトン体>なのです。ケトン体は脂肪酸の分解物で肝臓で作られます。

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