年間1万円のダウン。なぜ物価は上がっているのに年金額が減るか

2022.07.07
 

賃金が上がると国民全体がハッピーになる

長期的にいうなれば、現役世代の賃金をアップさせることこそが、じつは、高齢者の年金を支えることにもつながるのです。

現役世代の賃金がアップすれば、高齢者の年金額もアップします。さらに厚生年金は、賃金により変動するので、現役世代の賃金がアップすれば、将来に受け取れる年金額もアップするということにつながるのです。

OECD加盟国の年間平均賃金の2020年のデータを見ると35ヶ国中22位です。韓国よりも下です。

この20年以上、日本はほとんど賃金が上がらない状態が続いていることが問題なのです。

賃金を上げるには、企業の生産性を上げるということが重要です。ところが日本は「1人当たりの労働生産性(2019年)」では、世界の中で37位になってしまっています。

つまり、現役世代の給与を上げるということが、国民全体をハッピーにすることにつながるわけです。そうなると年金支給額もアップします。

もちろん、賃金を上げるというのは、そんなに簡単ではありませんし、単純な話ではないとは思います。しかし、そういった施策を、政府も企業も本気になって取り組むことが喫緊の課題だと私は思っています。

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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長尾 義弘

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