韓国初のフィールズ賞受賞者が日本の数学者から受けた大きな影響

 

―最近も詩を書いていますか

「書きはしませんが、たくさん読みます。最近は詩人デビッド・ホワイトの作品を好んで読んでいます。彼の散文「慰め」は特にオススメ!言語をとても精巧に使ってじっくり読みながら読む楽しさがあります」

―人文学的素養が多そうです

「数学は人文学だと思います。天文学、物理学などは自然が作った対象を研究しますが、数学は人が作り出したことを研究します。そのような面で哲学、文学とむしろ性格が似ています」

―まだチョークを使っているようです

「数学者はチョークと黒板を愛する最後の人々です。大学でも黒板をなくそうとしているのに数学科だけは屈せずにいます。数学者たちが最高に好きなチョークブランドが日本の『はごろも』です。数年前、同社が廃業するというニュースが伝えられ、全世界の数学者たちがチョークを買い占めしました。ところが、韓国人がこの会社を買収したそうです。今は『メイド・イン・コリア』のチョークが全世界の数学者の心理的安定に大きく寄与しています」

―数学者たちだけのロマンでしょうか

「チョークで黒板に書く行為は、頭の中を漂う考えを凝固させる行為です。演奏者が曲を演奏するように、何か物理的に具現化するという楽しさも感じます。答えが見えなくても一行書き始めると見えなかった解決策が見えたりもします。もう一つ。板書は必ず消される宿命を持っています。死ぬという事実を認知する時、現在をより豊かに送るように、黒板に書かれている筆記がすぐに消えることを知っているので、その瞬間より集中するようになります」

―数学者としての夢があるとしたら?

「そういうのはちょっと…。誰かに聞かれたからという理由で人為的に夢を出力するのは、正しくないようです。ただ、現在に充実した人生を送りたいです」

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年7月7日号)

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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