【高城剛の未来予測2023】北朝鮮のミサイルも台湾有事もすべては“演出”。日本は武器商人の草刈り場になる

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メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者で、世界を股にかけ様々なメディアで活躍しているクリエーターの高城剛さん。コロナ禍前には恒例となっていた年一回のロングインタビューが、このたび約4年ぶりに復活しました。2022年の大ニュースを振り返りつつ、2023年以降に日本は、世界はどうなるのか。高城さんが私見たっぷりに語ってくれました。インタビューの全文(約1万8000字)は1月中に高城剛さんのメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』にご登録されれば読むことができます。

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台湾有事は起きない、中国防衛費は現行維持。なぜ日本は防衛費を増やすのか?

──まず2022年を振り返っていただきたいのですが、安倍晋三元首相が銃弾に倒れたことは世界的にも大きく報じられましたね。

高城「お亡くなりになられたこと、心よりお悔やみ申し上げます。その後、さまざまな変化が起き始めていると感じますね。格段、裏の事情を熟知しているわけではありませんが、東京オリンピック・パラリンピックや、統一教会の問題や日銀の金利引き上げまで、これまで隠されていたことが表出してきたのは間違いありません。かつては、アンタッチャブルなものとして、見て見ぬふりをしていた事柄が少しずつ明るみに出てきています。

端から見ていて興味深く感じるのは、安倍派の人たちが、ここ最近の防衛費増を意外にも反発していることです。日本が真剣に台湾有事に備えるなら、もう二十年以上、この可能性を説いてきた石破茂が表に出てこないのはおかしいでよね。つまり、現在台湾有事の可能性が浮上してきているのは、中国の動向も日本の国防も関係ない、ポストコロナ時代の与党における新しい利権、つまり安倍派利権の奪い合いだと考えざるを得ません。
それゆえ、安倍派の議員が踵を返すように、増税による防衛費に反対しているのです。安倍派閥は、基本的には対米従属な方針かつ国内では愛国を振りかざすという、ある意味二律背反的な政権でした。なのに、なぜ防衛費増に反発するのか。端的に言えば、安倍派の利権が他の派閥に動いたということだと思います。防衛費があがっても、旨味がなくなったわけです」

──政治のパワーバランスが変わったと。

高城「岸田政権は中国をけん制して5年で43兆円防衛費の総額を上げると血気盛んですが、中国の防衛費をGDP換算で見ると過去20年ほぼ変わっていません。金額的に大きくなっているのはGDPが上がっているためです。昨年の台湾地方選挙を見る限り、国民党が制しましたので、中国が武力攻撃するより実質的に経済支配が進むと考えます。
つい数週間前の台北市長選で勝利したのも、元総統蒋介石のひ孫で国民党から立候補した蒋万安でした。
また、日本では報道されませんが、台湾軍の現職大佐が中国のエージェントに取り込まれていたのが発覚しています。そのエージェントも台湾軍の退役士官で、台湾軍は中国のスパイだらけだと考えた方がいいでしょう。
すでに台湾は、表も裏も親中ですから、中国から仕掛ける必要がありません。

一方、昨年、北朝鮮からのミサイル発射数がこれまでの最多記録を更新するなか、DIA(アメリカ国防情報局)によれば統一教会が4500億円もの巨額の資金を北朝鮮に送金していたことが明らかになったと発表されました。以前からお話し申し上げていますように、「米国=反共の砦である表の自民党+裏の統一教会=北朝鮮」のホットラインの存在が明らかになったのです。
現実的な東アジアの有事は、自衛権でも警察権でもないゾーンの法整備と「太平洋版NATO」の設立なのでしょうが、なぜか予算から取り沙汰されるのは、政権維持と財務省をはじめとする利権のためだと推察します。安倍派の衰退と共に経済産業省主導だった官邸のあり方も変わりました。

これはあくまで私見ですが、増やした防衛費でテクノロジー開発推進に充てられるのであれば、まだ理解できます。そもそもインターネットやgoogleアースも、そうした軍事技術から民間にスピンオフしました。ですが、残念なことに日本の場合は、防衛費を増額しても、単にアメリカのミサイルを買うだけになるでしょう。しかも旧式の武器を言い値で買うことになる。軍事関連は儲かるビジネスですから、ここ最近は武器商人…いわゆるブローカーのような人たちが、プライベートジェットで東京にたくさん訪れていますね」

──防衛費を増額しても、他国のようにテクノロジーの進歩には至らない?

高城「残念ながら、そうだと思います。ところで、なぜアメリカは台湾を守る必要があるのか?それに対して、明確な答えは示されていません。にもかかわらず、米中間選挙前にはペロシ下院議長などが台湾を訪問するなど、パフォーマンスを忘れていません。一般的には、対中戦略と言われていますが、それは表向きのこと。本当の理由のひとつは、アメリカの第五世代戦闘機に使われる基幹部品の一部を、台湾で作っているからです。このあたりは、日本では作ることができず、台湾からの機密事項の流出を避けたいというのが本音でしょう。

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そもそも日本は台湾を守る協定を結んでおらず、守る義務もありません。ですが、先に述べたように、アメリカの意向に従って武器を買い続けなければならない。そのためのもっともらしい理由付けとして、台湾に緊張感があるような過度な報道をしたり、なぜか理由を探らずに北朝鮮がミサイル撃っているのを騒いでいます。在日米軍の威嚇もコメントもありません。まるで、本土を攻撃しないことを知っているかのように。
ちなみに、台湾が親日国である理由は、語られることは滅多にありませんが、遺伝子が近いからです。日本人の大多数と台湾人の大多数は、韓国人や中国人より極めて近いのです。」

──台湾有事はある種のプロパガンダのようなものだと?

高城「そうとも言えますね。たとえば、読売新聞の創設者である正力松太郎氏や、安倍元総理の祖父、岸信介氏は巣鴨プリズンに収監された戦犯です。死刑を免れる代わりに、米軍のために働く道を選んだ。メディアも政治も、結局は戦後のレジームを脱却できてない中で、私たちは生きているのです。

そのことは法律1つ取ってみてもわかります。日本で米兵が事件を起こしても、日本の法律で裁くことすらままなりません。日本と同じ敗戦国のドイツは、自国の法律で裁けるのに、日本には認められていない。つまり、日本はいまだに緩やかな占領下にあるようなものなので、米政府は日本を「保護国である」と何度も発言しています。
個人的には文化的側面も含めた親米ですが、日本の現状を冷静に見る必要があるでしょう。
なにしろ、米軍という虎の威を借り、日本国民の富を収奪しようとする人も少なくないので。

かつてはアメリカの核の傘の下で、経済が発展した側面もありましたが、それも東西冷戦時代までの話。今は世界構造が大きく変わりましたから、国富や預貯金をソフトに米国に流す構図になってしまっています。防衛費増額を続け、その実、使途が定まらない便乗増税するんじゃないでしょうか。そのために、東アジアに緊張が必要なわけです。」

東京の人が一番貧しい。明白になった格差社会の現実

──先進国では、日本だけがこの30年近く国民の所得が右肩下がりです。ここにきて増税やインフレなど、明るさが見出しにくい状況が続いています。

高城「いま、申し上げたようにソフトな内戦状態にあることが原因です。

僕の実感をお話し申し上げれば、たまに日本に戻ってくると、一番貧しいと感じるのは東京です。国土交通省が発表したデータによれば、中間層に限れば、東京の経済的豊さは、47都道府県で実は東京が最低なのです。地方は過疎化こそ進んでいますが、豊かに暮らせる余地がある。お金のない地方の若者は東京に出てきますし、都内は家賃も物価も高い。ですから、国を支えるはずの中間層が一番貧しいのは、東京になるのです。全国的にも景気はさらに落ちると感じます。」

──そんななかで、景気のよい業界はありますか?

高城「たとえば、デベロッパーを含む不動産業界、つまりは古くからの土建国家に携わる人たちは、オリンピック招致決定以降、それなりに調子がいい。不動産価格も金融緩和の余波もあって上がったままだし、株価も円安と連動してきましたから、株や不動産関連の人たちはそれなりに景気がいいと思います。つまり、自民党の支持母体である資産を持つ人だけに富が流れています。ここで恩恵を受けた人たちは、こぞって高級な有名店にご飯を食べに行きたがるので、有名寿司店なんかはまったく予約が取れませんね。こういう光景は、まさに僕が学生の頃に見たバブル末期と同じです。」

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政治主導で作られた和牛ブランドという虚像

高城「和洋問わず、近年、飲食店では和牛のA5ランクは非常にもてはやされていますが、そもそもは1980年代の日米貿易摩擦に起因しています。当時、日本はアメリカに大量の自動車を輸出しており、貿易黒字が大きくなるばかりでした。

そこでアメリカからオレンジと牛肉を買うよう圧力をかけられたわけですが、安い米国産牛肉に価格で和牛は太刀打ちできない。そこで、日本は独自にサシの入った牛を作るようになりました。いまでは脂が60%を超えていて、肉の味がしなくなりましたね。和牛の評価は、味ではなく脂量になりましたので。それが、A5の12番という最高級和牛の真実です。」

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──いわゆる牛肉オレンジ問題が、和牛誕生のきっかけだったとは。

高城「ブランド牛は、日本全国に本当にたくさんあります。でも、人間を含めた生き物全ては遺伝子と最近のコンディションで決まるというのが僕の持論です。血統と馬体重を見る競走馬などは、最たるものですよね。

そのなかに、かなり強引にブランド化した場所がありました。山口県です。冒頭に話題に出た安倍元首相の地元ですが、以前にも力に任せて県内に世界遺産の認定を取り付けたりしていました。同じよう見島牛を天然記念物に指定。こうすると、農林水産省からの補助金だけでなく、天然記念物だから文科省からも補助金がもらえ、さらに離島防衛補助金も出て、「補助金漬け牛」が出来上がりました。島内では、保存会なる利権団体が睨みを利かせ、補助金を奪い合っています。こうして地元に補助金がたくさん下りる仕組みを作れば、それに関わる人たちは当然、強い政治家に票を入れるわけです。日本の政治の仕組みは、もう何十年も変わっていませんね。」

【関連】【高城剛の未来予測2023】五輪汚職事件の捜査のメスは電通どまり。東京地検も壊せぬゼネコンの堅い壁

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