ギリシャ 一部で砂漠化のおそれ
酷暑がつづく欧州では、とくにエーゲ海にあるギリシャのロードス島で山火事が発生、観光客を含む2,000人以上が避難する事態に(*5)。
18日に発生した山火事では、強風にあおられて延焼が広がり、現地メディアによると、3つのホテルが燃えて観光客などの避難が船により進められている。
救助には沿岸警備隊や海軍の船のほか、20隻以上の民間の船も加わった。消火活動や170人以上の消防隊員やヘリコプターなどにより続けられた。
ギリシャでは、ロードス島のほか、首都アテネの近郊などでも山火事が発生。この事態を受け、ギリシャでは“砂漠化”まで懸念される事態に(*6)。
事実、ギリシャのほか、スペイン、ポルトガル、イタリア、ブルガリア、ルーマニアなど欧州南部および南東部に位置する国々は気温上昇と降雨減少で山火事が増え、砂漠化しやすくなっている状況だ。
また国連環境計画(UNEP)によれば、地中海沿岸では影響がより深刻で、世界平均を20%上回るペースで温暖化が進行し、すでに半乾燥地域となっている。
とくにギリシャは気候変動の影響を受けやすく、国中で降雨量が減少し、海面上昇で土壌の塩分濃度が高まるといった、砂漠化を加速させる現象が今、まさに起きている(*7)。
アテネを囲むアッティカ地域を先週襲った山火事では家屋が焼失し、住民や観光客は近くの海辺に避難を余儀なくされた。
地球温暖化が進むにつれ、熱波や火災がより頻発するようになり、アテネ周辺のオリーブ畑や松林が十分に再生するのに必要な時間が奪われている(*8)。そのことが、砂漠化か懸念されている理由だ。
アメリカ アスファルトで転んだだけで「やけど」
酷暑に襲われているのはアメリカでも同様。米アリゾナ州マリコバ群では、重いやけどを負って緊急搬送される人が続出している。
原因は、ここ3~4週間で記録的な熱波に見舞われ、道路で転んだだけでやけどを負う人が相次いだからだ。
「夏は繁忙期なので予想はしていたが、これは本当に異常だ。患者の多さも、重傷者の多さも。けがの程度ははるかに重い」(*9)
この病院では熱傷病棟の45床が満床になり、3分の1は地面に転んでやけどを負った患者が占めている。同地の病院で熱傷の治療にあたるケビン・フォスター医師はそう語る。
「患者の数も、重傷者の数も増えている。理由は説明がつかない」(*10)
集中治療室(ICU)にもやけどの患者が入院しており、およそ半分は転んでやけどした患者だという(*11)。
フォスター医師によると、アリゾナ州では夏の晴れて暑い日や夏の午後は、アスファルトやコンクリートの温度が82℃になることもあり、ほんの一瞬触れただけでも重いやけどを負いかねない。
舗装道路に10~20分間接触すれば、「皮膚が完全に破壊され」、皮膚の深部まで達する3度のやけどを負うこともあると警鐘を鳴らす。そうした患者は住宅火災に遭った人のようなやけどを負っているという(*12)。
アリゾナ州では平年を超す暑さが続いており、専門家によると、地面に皮膚が触れれば危険な状態にある。とくにアスファルトは太陽の光を吸収して熱せられ、日没後も熱がこもった状態が続く。
7月20日の気温は約48℃を観測し、フェニックスの気温は22日まで6日連続で46℃を上回った(*13)。
アメリカでは気温が上がる中、エアコンのない刑務所で、監房に閉じ込められた受刑者らと、警備の職員らが苦しんでいる(*14)。
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