なぜロイヤルホストの業績はコロナ禍前を上回ったのか?炙り出された企業の強さ

 

「地域の店」に食事目的のファンが来店

それはまず、店舗の立地環境が挙げられる。「ロイヤルホスト」は1971年北九州の黒崎に1号店がオープンしてから50年以上の歴史がある。当初はモータリゼーションが発達途上で、車で来店できるように駐車場を数多く抱えた店舗にした。このような形で30年くらい経過したが、人の集まり方が都市や繁華街にシフトするようになり、店舗もロードサイドタイプからビルインタイプに変わっていった。

しかしながら、コロナ禍で一番影響を受けたのは都心タイプであった。繁華街や駅前には全く人がいない状態。一方、コロナ禍にあっても強かった店はロードサイドに象徴される「地域の店」。元々食事を目的に来店されるお客が多い店で、コロナ禍が悪化していきながら逆にこのような利用目的のお客が増えていった。そして、これまで以上に食事を楽しんでいた。そこで客単価も上がった。

ファミリーレストラン50年の歴史の中で「ロイヤルホストは少し高いけれど、おいしい店」というポジションを得るようになったが、コロナ禍での閉塞感が漂う中でこの「おいしい」という部分が「行きたい店」という目的来店の動機をもたらしたようだ。つまり、普段からの「ロイヤルホスト」のファンが身近にある同店に足を運ぶようになった。

最も特徴的なことは、フードメニュー人気上位の「オニオングラタンスープ」の出数が1.5倍になったこと。これは新婚旅行中のマリリン・モンローがこのメニューを好んで続けて来店したという伝説があり、「ロイヤルホスト」に日ごろ親しんでいるお客が好んで注文するメニューの一つである。

そして「ロイヤルホスト」が強みとする「洋食」に磨きをかけた。それを象徴するのが、昨年導入した「洋食小皿」シリーズ。その一つとして「シーフードリクームオムライス&煮込みハンバーグ」2,398円(税込、以下同)で、ネーミング通りに洋食の楽しみを一つのお膳の中にセットにして、人気を博している。また「海老と蟹のグラタン&ビーフシチュー」2,288円もあり、同店のファンにとって「あれもこれも食べたい」という欲求を満たしてくれる。

「洋食小皿」シリーズ。その一つとして「シーフードリクームオムライス&煮込みハンバーグ」2,398円

「洋食小皿」シリーズ。その一つとして「シーフードリクームオムライス&煮込みハンバーグ」2,398円

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