なぜロイヤルホストの業績はコロナ禍前を上回ったのか?炙り出された企業の強さ

 

テイクアウトと外販に力を入れる

次に、コロナ禍にあってテイクアウトに着手したことも業績を押し上げた要因の一つとなっている。コロナ前にもテイクアウトを行なっていたが、カレーやサンドイッチの類で数品であった。しかし、ステーキやハンバーグといった「ロイヤルホスト」の強い部分もテイクアウトで楽しんでいただこうと、テイクアウトメニューのラインアップを抜本的につくり直した。

これらの価格が低いメニューでは「ベジタブルカレー&雑穀ごはん」1,382円、「アンガスサーロインステーキ重」1,650円というのがあるが、「200gアンガスサーロインステーキごはん」3,218円という3,000円を超えるものや、「アンガスサーロインステーキ(450g)」5,162円というホームパーティの需要を見込んだ商品もある。「手作りフライドチキン」410円や「天然海老フライ&紅ずわい蟹のクリームコロッケ」730円といったサイドメニュー的なメニューもあり全21品目となっている。

これらの容器はそれまでプラスチック製であったものを、お重のような形状のものを採用してテイクアウト商品の価値を高めた。

コロナ禍が始まったころ、店の売上が低かった中でテイクアウトは10%を占めていた。いまイートインが増えてきてテイクアウトの占有率は低くなったが、売上の金額は変わっていない。つまり、テイクアウトは売上のプラスになっている。生田氏は「ロイヤルホストのメニューをテイクアウトで楽しむというパターンが定着してきたのではないか」と述べる。

調理済みフローズンミールの「ロイヤルデリ」を「ロイヤルホスト」で販売するということも根付いてきた。コロナ禍にあってイートインの客数が少なかったことから、従業員がお客にこの商品の魅力を積極的に告知するようになった。

当初はレジ周りに「ロイヤルデリ」のための冷凍設備がない店もあり、注文をいただいたらキッチンの冷凍庫に入れてある「ロイヤルデリ」を取りにいくということを行っていた。そんな中で、レジ周りに冷凍設備がある店より、ない店の方が「ロイヤルデリ」の売上が高いといった成功事例が現れて盛り上がりを見せたという。こうして「ロイヤルホスト」にとって「ロイヤルデリ」の販売は定番化するようになり、全店でレジ周りに冷凍設備を入れるようになった。

調理済みフローズンミールの「ロイヤルデリ」の冷凍施設をレジ近くに設置することは標準装備となっている

調理済みフローズンミールの「ロイヤルデリ」の冷凍施設をレジ近くに設置することは標準装備となっている

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