イヌイットの遺伝子を持たない日本人も「高脂肪食で心配ない」は本当か?

 

最後に、人類全体の進化の歴史を考察してみます。約700万年前にチンパンジーと分かれて以降、多くの人類が生まれては消えて、現在残っているのは、我々「ホモ・サピエンス」だけです。

最後に絶滅したネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に13万年前から3万年前まで生存していました。10万年前は、ホモ・サピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人、ホモ・フロレスエンシスが生存していました。

多くの人類が生まれては消えていきましたが、脳が急速に大きくなったのはホモ・ハビリスやホモ・エレクトゥスからです。ホモ・ハビリスは、約200万年前に生存していて、脳の容量は800ccくらいです。ホモ・エレクトゥスは、約190万年前に生存していて、脳の容量が950ccと大きくなっています。700万年前に人類が誕生して、450万年間は脳は大きくなりませんでした。ちなみに、チンパンジーの脳容量は、350~400ccくらいです。

ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人・旧人)の脳容量は1600cc、ホモ・サピエンス(現生人類)の脳容量は1500ccです。脳はエネルギーを多く使うので、エネルギー効率の良い肉を多く食べるようになって脳が大きくなったと考えられます。

脳組織の50から60%は脂質が占めていますので、肉食による高タンパク・高脂肪食が必要だったと考えられます。従って、700万年間の人類の進化の歴史のなかで、当初は植物食が主だったと思われますが、250万年前頃から、動物性食品摂取が増えていき、ホモ・ハビリスもあるていど肉を食べていたと思われます。

190万年前のホモ・エレクトゥス以降は、肉をしっかり食べて、高タンパク・高脂肪食で、脳が大きく発達していったと考えられます。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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