LGBTQの「理解」を社会全体で進めるために必要な“足掛かり”とは何か?

Tokyo,,Japan,-,28,April,2019,:,Lgbt,Parade,鍍okyo
 

LGBTへの理解や配慮が足りないと内外から指摘される日本で、今年6月に施行された「LGBT理解増進法」。国や自治体、事業主に行動が求められていますが、国においても基本計画策定中の段階で、具体的な動きはこれからのようです。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、LGBTQに限らず生きづらさを抱えた人たちの支援に取り組む引地達也さんが、自ら企画しているシンポジウムについて紹介。LGBTQへの「興味本位」を「理解」へと深めるためには、当事者から学ぶ必要があるとの考えのもと、事業主の責任として向き合うことになる人たちの参加を呼び掛けています。

LGBTQの「理解」を考えるための「対話シンポジウム」

LGBT理解増進法(LGBT法)が6月に施行され、内閣府に基本計画の策定や実施状況の公表を担当する部署が設置された。LGBT法は当初、東京五輪前に成立させる予定が、与野党の一部から根強い反対意見により、今年6月まで可決がずれ込むことになった。

施行を契機に、社会や企業でも理解推進が求められているが、その「理解」を考えたときに、国会の審議でも、理解の前提となる認識の違いが露わになったこともあり、私たちの社会全体が理解を進める上では何らかの足掛かりが必要だ。

経済産業省での当事者への対応に関する判決が出され、性的マイノリティーの事実に関するアウティング(暴露)による心的苦痛の労災認定等の動きも出てきた。私自身も「理解」するという行為を主体的に行わなければいけないと考え、当事者から学ぶことを基本としたシンポジウム「LGBTQを考える ダイバーシティー雇用とインクルーシブなかたち」(9月22日)を企画した。

登壇してもらうのはゲイの立場でパートナーシップ契約公正証書を結んだ夫と「LGBTコミュニティ江戸川」を立ち上げた七崎良輔さん。著書「僕が夫に出会うまで」(文藝春秋)は世界8ヶ国語に翻訳、マンガ化もされるなどの反響を呼んだ。

子供のころから「女性っぽい」仕草から「オカマ」と呼ばれいじめられたこと、男性に恋愛する心苦しさ、初めての彼氏、彼女。赤裸々に綴られた夫に出会うまでの道のりは、物語としても面白い。一方でその反響とは珍しいゆえの結果であって、まだ理解に結びついていない社会の興味優位のメンタリティーでもあろう。

このシンポジウムは私自身、企業に理解を深めてもらうことを目的に、「ダイバーシティ雇用」という枠組みを設定し、SDGsの取り組みの一環としても位置付けてみた。さらに障がい者雇用の枠組みの中で援用できる議論にし、理解を広げたいという狙いである。

現在、内閣府は厚生労働省、文部科学省、法務省などからの10人ほどの職員で構成するグループで社会の理解促進に向けた基本計画を策定中という。LGBT法は罰則のない理念法で「性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならない」と定めるが、国会でも議論になった「不当な差別」をめぐっての議論は今後も続くと思われる。

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