辛坊治郎氏がライドシェア「12年遅れの解禁論」に呆れるワケ。タクシー議連に足を奪われた日本人、岩盤規制のヤバい実態とは?

 

「タクシー議連」が日本人の足を奪っている

しかし、このサービスが日本で普及しなかった構造はよく分かります。日本で客を乗せて営業する場合、二種免許とタクシー等の営業許可が必要です。このあたりは精緻にシステムが構築されていて、国土交通省の役人がしっかりと監督しています。

タクシー会社、運転免許発行組織、監督官庁などが堅固な業界組織を構築し、「タクシー議連」を名乗る政治家集団がその業界組織の擁護者になっているのは常識です。

車を持つ運転者が自由に客を乗せて営業できるようになったら、既存の業界秩序が崩壊するのは間違いありません。営業車は緑地に白い文字のナンバープレートを付けていますが、普通の自動車は白地に緑色の文字ですよね。白地のナンバープレートを付けた車が闇で客を乗せる商売は「白タク」と呼ばれ違法行為です。

最近この白タクが結構蔓延っていて、空港で中国人の団体客向けに安い料金で日本在住の中国人がマイカーを提供するサービスが時々摘発されています。数十年前には、日本人同士でもこの商売は結構あったんですが、業界団体の意を受けた警察の摘発でほぼ姿を消しました。

ライドシェアは、業界団体から見たら、この「白タク」を合法化することを意味しますから、そんなもの絶対に受け入れられません。

そこで「タクシー議連」の出番となるわけです。日本の政界は網の目のように張り巡らされた「何とか議連」で成り立っていますから、その一角が崩れると、第二次大戦後の日本を支えてきたありとあらゆる構造が崩壊する危機を迎えてしまいます。だから12年前にウーバーがアメリカで誕生した際、役人や政治家は徹底的に日本でこのシステムが拡がらないように世論誘導したのです。

「日本には世界に誇る安全で良質なタクシーサービスがあるのだから、無法で危険な白タクサービスであるライドシェアが日本に上陸するのは絶対に認めない」というわけです。私の個人的経験で言うと、タクシーよりライドシェアの方が確実に安心安全で便利ですけどね。

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