辛坊治郎氏がライドシェア「12年遅れの解禁論」に呆れるワケ。タクシー議連に足を奪われた日本人、岩盤規制のヤバい実態とは?

 

ライドシェアは日本の将来を占う試金石

最近始まった議論を主導しているのは菅元総理と河野太郎、小泉進次郎氏らです。彼らは元々ライドシェアに理解があったものの、政治的損得から12年間黙ってきたのだと思います。こういうことは政界ではよくあります。

なぜこのタイミングかと言うと、最近の都市部におけるタクシー不足が背景にあります。コロナの時期に、「客もいないし、感染も怖い」と考えた多くの年金受給世代の高齢運転手が運転手業を放棄してしまい、今どのタクシー会社でも運転手不足で車が余って困っています。確かに東京でタクシーは捕まえ辛いです。逆に真面目に働くタクシー運転手さんにはチャンス到来で、結構稼いでいる人もいます。

菅氏らは、「日本でライドシェアの議論を進めるには、タクシー不足の今しかない」と考えたのでしょう。しかしさっそく「タクシー議連」の政治家さんたちが反対の大合唱を始めました。この話が今後どうなって行くのか、私は今後20年の日本の行方を占うに際して試金石になるだろうと考えています。

もしかすると、ライドシェアの運転者に二種免許取得を義務付けたり、ライドシェア会社を認可制にするなど、日本の利権構造を残す方向が模索されるかもしれません。

ちなみに、客から料金を取ると明確に違法ですが、東阪間など長距離を移動する際に見知らぬ数人をネットで結び付けて、高速料金やガソリン代をシェアする形のライドシェアならギリギリ合法のようです。この日本流のライドシェアサービスが、すでにネット上で始まっています。今検索したら、東阪間の片道移動で5000円弱が標準的な価格のようです。

ところで「役所と政治家と業界団体とが精緻な利権構造を構築している」のは別にタクシー業界に限ったことではありません。日本の発展を妨げる岩盤規制は特に国土交通省傘下でよく見られます。次週以降、引き続きお話します――

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