「サプリメントを常用しても死亡リスクは低下しない」は本当か?

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ビタミンやミネラルなど、不足する栄養素をサプリメントで補っている人も少なくありません。食習慣や体の状態によって、必須栄養素を錠剤などで補給することに意味はあっても、「死亡リスクを下げる効果」については、あるとは言えないようです。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖質制限食の提唱者として知られる糖尿病専門医の江部康二医師が、今年4月にアメリカで発表された調査結果を紹介。食品から摂取した場合に死亡率を下げるとされる栄養素についても、サプリメントからでは同様の効果は期待できないと、意外な結果を伝えています。

サプリメントに死亡リスク低減効果なし?

少し前ですが、毎日新聞医療プレミア、ヘルスデーニュースに、サプリメントに死亡リスク低減効果なし?」という記事が載りました。当該記事へのリンクは切れているので、下に要約を転載しておきます。

私は、サプリメントは、飲んでいませんし、患者さんに奨めることも、ほぼ無いので、そんなものかなという感想です。米タフツ大学准教授のFang Fang Zhang氏らが「Annals of Internal Medicine」4月8日オンライン版に発表ということですので、信頼度は高いと言えます。

アナルズオブインターナルメディスンは、ニューイングランドジャーナル、ランセット、ブリティッシュメディカルジャーナルなどに次ぐランクの医学雑誌で、インパクトファクターも高いです。

「ビタミンAとビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に食品から摂取すると、全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下するが、サプリから摂取しても効果はない」

食品から摂取すると効果があるのに、サプリからでは効果が無いという事実は、とても興味深い報告です。

高雄病院の推奨する「スーパー糖質制限食」においては、

  • 魚介類、肉類、卵、卵製品、乳製品
     ⇒ 糖質はほとんどなし
  • 豆腐、納豆
     ⇒ 糖質はほとんどなし
  • 葉野菜、ブロッコリー、ゴーヤ、ピーマンなど
     ⇒ 糖質が少ない
  • 海草、茸
     ⇒ 糖質が少ない
  • くるみ、アーモンド
     ⇒ 糖質が少ない

など、幅広い食品を満遍なく食べるので、糖質だけは制限していますが、必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、全て食材から摂取可能なので、サプリは必要ないのです。

「サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない」というのは、けだし名言と思います。

一方、ベジタリアンの場合には、ビタミンB12、ビタミンD、EPA・DHAが不足しやすいのでそれらを、サプリで補充することには意味があります。また、生理のある女性や出産後の女性の鉄欠乏性貧血には、保険内で鉄剤を処方することも必要です。

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