リクルート事件級にまで発展か?パー券「裏金疑惑」で東京地検が狙う大物議員たち

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朝日新聞が12月1日付の朝刊で放った、自民党安倍派の政治資金パーティー券を巡る裏金疑惑をすっぱ抜いたスクープ。「事実」を知りうる議員たちは一様に口ごもり、メディアの追求から逃げ回るかのような姿勢を取り続けていますが、今後この問題はどのような展開を見せるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、メディア各社の報道を総合し疑惑の概要を解説するとともに、全国から応援検事を集めるという東京地検特捜部の「本気度」を紹介。さらにどこか他人事であるかのような岸田首相の言動に対して、「危機感が足りない」との苦言を呈しています。

裏金作りの抜け道に。派閥パーティーの営業マンと化す国会議員たち

派閥からノルマを課せられ、政治資金パーティーのチケットを血眼になって売りさばく。ノルマを超えた分は、帳簿に記載しない裏金としてポケットにおさめ、好き勝手に使う。いわば権力をバックにした「たかり」のたぐいであり、脱税行為だ。

自民党の「安倍派」と「二階派」で、派閥パーティーをめぐる巨額の裏金づくりが長年にわたって行われていた疑惑が浮上し、東京地検特捜部が捜査を進めているという。むろん、他の派閥も怪しい。

国民からインボイス制度などで厳しく税金を取り立てるくせに、国から160億円近い政党交付金を受け取っている自民党の国会議員が、政治資金を掠め取り、自分のフトコロに入れて知らんぷりをしているのである。

年に1回開かれる自民党各派閥のパーティー。安倍派(清和政策研究会)が提出した令和4年分の政治資金収支報告書によると、約3億8,700万円の収入総額のうち、「清和政策研究会との懇親の集い」と題して昨年5月、東京プリンスホテルで開いたパーティーによる収入は9,480万円である。パーティー券は1枚2万円なので、単純計算すると、4,740枚を売りさばいたことになる。

当然のことながら、ホテルの会場に収容できる数ではなく、チケットを購入する側からすれば、参加費というよりほとんどは事実上の政治献金に等しい。お付き合い上、断り切れないケースもあるだろう。

派閥としては、簡素な飲食費と会場費を支払えばよく、売上の9割近くが利益になる勘定だ。それだけに、議員によるチケット販売レースは派閥への貢献度の評価につながるわけで、カネの無心が上手だったり、政治的腕力の強い者にとっては好都合だが、そのようなことが苦手な議員はノルマを達成できず、自腹を切って差額分を派閥に差し出すのが慣例のようだ。

むろん派閥もその辺は考慮して、当選回数とか、役職によって販売ノルマに差をつけてはいる。安倍派の場合、ノルマの金額は、座長の塩谷立氏や最高顧問の衛藤征士郎氏ら重鎮で750万円、“五人衆”といわれる実力者たちが500万円、あとは50万円~100万円が多いとされている。

問題はノルマを超えた分を裏金化していることだ。かりにノルマが100万円で、支援者らに200万円買ってもらった場合、ノルマの100万円だけ派閥の収入として収支報告書に記載、残る100万円は記載せず、議員にキックバックされていた。

派閥と議員側、それぞれの収支報告書に記載していれば、キックバックに法的な問題はないのだが、少なくとも安倍派の場合は、どちらにも記載がなかったようだ。つまり、キックバック分が裏金になっていたということだ。

なかには、議員側がノルマを超えた分を派閥に申告せず、こっそり私的流用してしまうケースもあったことがわかっている。

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